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8.パーティー当日1
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カートル公爵家が主催する婚約記念パーティーまでの日々はあっという間だった。
パーティー当日、私は馬車で会場に向かいながら今回のパーティーのことを考えていた。
学園では社交も大切にしている。
今回のパーティーは公爵令嬢と侯爵子息の婚約であるので、学園からも多くの生徒が参加していた。
しかし、今回クロルはサート伯爵家の次男として招待状を貰っているので、私の側にいることは出来ない。
つまり……味方が一人も側にいない場所に向かうのだ。
私は会場に着いた馬車の中からすぐに降りることが出来なかった。
馬車で向かいに座っていたリーリルが心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「大丈夫よ、リーリル。心配しないで」
「しかし、私もクロルも側にいられない場所にお嬢様を行かせるなんて……!」
「リーリル、私は幼い子供ではないのよ?」
「分かっております。分かっておりますが……」
「リーリル、私ね、今日のドレスも髪型も素敵で大好きだわ。リーリルのおかげね。だから、美しく着飾っているドレスも髪型も今の私にとっては鎧なの」
私は馬車を降りた後に、もう一度リーリルの方に振り返った。
「行ってきます」
「ちゃんと笑顔で帰ってくるわね」とは最後まで言えなかった。
きっとどれだけ会場で強がっても、帰ってリーリルの顔を見たら泣いてしまうかもしれないから。
そして、私は窓からライトの輝きが漏れる会場に足を踏み入れた。
パーティ会場に入場した後は、学園と同じように皆が遠目にコソコソと私の噂を口にしていた。
エスコートすらなく会場に入場した私を笑っていた。
「王女のエスコートがないなど考えられる? どれだけ嫌われているの」
「悪女だから皆断るに決まっているわ。 よく恥ずかしげもなく来れるわね」
「頭がおかしいのではなくて」
嫌われ者の大悪女はエスコートがなくても、悪口だけで済む。
本当はクロルが伯爵家として届いた招待状を無視して、私のエスコートをすると名乗り出てくれた。
しかし、それでは火の粉がクロルに飛ぶことは目に見えていた。
「誰かあの王女を会場から追い出して欲しいくらいだわ」
「邪魔だもの」
「それにしても、言い返しても来ないなど気味が悪い。心の中で何を考えているのか」
ある意味、この会場での私への攻撃が悪口だけ済むのならば、正直有り難かった。
しかし……
そんなはずはなかった。
バシャっと、いう音と共に私のドレスにワインとかけた者がいた。
それが皮切りだった。
「悪政の根源が!」
「お前の課税のせいで苦しんだ人間がどれだけいると思っているんだ!」
「のうのうと自分だけパーティーに参加するなど烏滸がましいにも程がある」
貴族たちが一斉に私に飲み物をかけた。
髪を引っ張る者もいた。
私はその場で崩れ落ちるようにうずくまった。
私の鎧は……リーリルが選んでくれた鎧は簡単に崩れた。
パーティー当日、私は馬車で会場に向かいながら今回のパーティーのことを考えていた。
学園では社交も大切にしている。
今回のパーティーは公爵令嬢と侯爵子息の婚約であるので、学園からも多くの生徒が参加していた。
しかし、今回クロルはサート伯爵家の次男として招待状を貰っているので、私の側にいることは出来ない。
つまり……味方が一人も側にいない場所に向かうのだ。
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「大丈夫よ、リーリル。心配しないで」
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きっとどれだけ会場で強がっても、帰ってリーリルの顔を見たら泣いてしまうかもしれないから。
そして、私は窓からライトの輝きが漏れる会場に足を踏み入れた。
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「頭がおかしいのではなくて」
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本当はクロルが伯爵家として届いた招待状を無視して、私のエスコートをすると名乗り出てくれた。
しかし、それでは火の粉がクロルに飛ぶことは目に見えていた。
「誰かあの王女を会場から追い出して欲しいくらいだわ」
「邪魔だもの」
「それにしても、言い返しても来ないなど気味が悪い。心の中で何を考えているのか」
ある意味、この会場での私への攻撃が悪口だけ済むのならば、正直有り難かった。
しかし……
そんなはずはなかった。
バシャっと、いう音と共に私のドレスにワインとかけた者がいた。
それが皮切りだった。
「悪政の根源が!」
「お前の課税のせいで苦しんだ人間がどれだけいると思っているんだ!」
「のうのうと自分だけパーティーに参加するなど烏滸がましいにも程がある」
貴族たちが一斉に私に飲み物をかけた。
髪を引っ張る者もいた。
私はその場で崩れ落ちるようにうずくまった。
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