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26.街へのお出かけ3
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クラヴィスの怒っているような声に私が慌てているのとは裏腹に、クロルは一切焦っていなかった。
「クラヴィス様。失礼を承知で言いますが、マリーナ様をお一人にしたのは少し無用心かと」
クロルはそれだけ言って、その場を去っていった。
通常、礼儀に厳しいクロルが身分が上であるクラヴィスにあのようなことを言うなど考えられなかった。
それでもクラヴィスもあまり気にした様子はなくて、私と目を合わせて少しだけ不安そうな顔をした。
「一人にしてすまなかった。怪我はないか?」
「大丈夫ですわ。私こそ申し訳ありません」
クラヴィスは私に怪我がないことを知り、安心したようだった。
「ねぇ、マリーナ。次に行く場所だけれど、実は行きたい場所がもう一個あるんだ。付き合ってくれないか?」
クラヴィスの言葉に私が頷くと、クラヴィスは嬉しそうに微笑んだ。
クラヴィスが連れて行きたい場所までは結構距離があって、私たちは馬車で移動する。
馬車に乗って、20分ほどで目的の場所に着いた。
「わぁ……!」
その場所は、街が一望出来る高台だった。
クラヴィスが私の隣に来て、「最近、この場所を見つけたんだ」と景色を眩しそうに眺めている。
景色を見ているクラヴィスの横顔を見ていると、ずっと勇気を出せずにいたことを言えるような気がした。
きっともう話しても大丈夫だと思えた。
「クラヴィス、前に何故私が悪女と呼ばれているか聞きましたわよね。今、答えてもよろしいですか?」
私の言葉にクラヴィスは私と目を合わせた。
「私は、自分でユーキス国一番の悪女になることを選んだのです」
私はゆっくりとフリクのこと、フリクからの提案に乗ったことを話していく。
クラヴィスはただ静かに私の話を聞いてくれていた。
話し終えた私は、フードを手で押さえ、さらに深く被った。
クラヴィスの顔を見ることが怖かったから。
「幻滅しましたか……?」
そう小さな声で問いかけた私にクラヴィスは優しく微笑んだ。
「マリーナは前に私に言ったよね。自分の選択を後悔していないって。なのに、幻滅されると思うの?」
「確かに私は自分の選択を後悔していません。しかし、相手がどう思うかなど誰にも分からないはずです」
「幻滅なんてしない。君が自国を守るためにしたことだ。それに……きっと私だってその立場だったら、同じ選択をしただろう」
クラヴィスの言葉に私は顔を少しだけ上げた。
「ずっと怖かったのです。クラヴィスにこのことを打ち明けることが。でも、笑顔でいたいから。クラヴィスの前で偽りなく笑っていたいのです」
クラヴィスが私に一歩近づいた。
「笑顔でいるってそんなに大事?」
「え……?」
クラヴィスが私のフードに触れる。
「これから先、笑顔でいることが難しい時もあると思う。だから、無理に笑顔でいなくていいよ。だって……」
「私が笑顔にするから」
クラヴィスが私のフードをめくって、高台から景色を見えるようにする。
今朝、寮の前でもクラヴィスは私のフードをめくった。
それでも、今見えている景色はあの時よりさらに輝いていて。
「フードで視界を隠していては、この美しい景色を見逃してしまうよ。それと同じように、フードで隠していては君の笑顔にも涙にも気づけない」
私は高台からの景色を見た後に、クラヴィスに視線を向ける。
そうね。
きっとクラヴィスが正しいわ。
だって、フードを被っていては、今目の前にあるクラヴィスの笑顔すら見逃してしまうかもしれない。
それは嫌だから。
そんな私がクラヴィスの瞳に映っている。
「マリーナ、実は私は……」
クラヴィスの声に私が反応すると、クラヴィス「何でもない」と首を少しだけ横に振った。
だから、私はもう一度クラヴィスに向けて微笑んだ。
「クラヴィス、私、今日がとっても楽しかったですわ。本当に」
「ああ。私も楽しかった」
きっとこの日に見た景色を私は一生忘れないだろう。
「クラヴィス様。失礼を承知で言いますが、マリーナ様をお一人にしたのは少し無用心かと」
クロルはそれだけ言って、その場を去っていった。
通常、礼儀に厳しいクロルが身分が上であるクラヴィスにあのようなことを言うなど考えられなかった。
それでもクラヴィスもあまり気にした様子はなくて、私と目を合わせて少しだけ不安そうな顔をした。
「一人にしてすまなかった。怪我はないか?」
「大丈夫ですわ。私こそ申し訳ありません」
クラヴィスは私に怪我がないことを知り、安心したようだった。
「ねぇ、マリーナ。次に行く場所だけれど、実は行きたい場所がもう一個あるんだ。付き合ってくれないか?」
クラヴィスの言葉に私が頷くと、クラヴィスは嬉しそうに微笑んだ。
クラヴィスが連れて行きたい場所までは結構距離があって、私たちは馬車で移動する。
馬車に乗って、20分ほどで目的の場所に着いた。
「わぁ……!」
その場所は、街が一望出来る高台だった。
クラヴィスが私の隣に来て、「最近、この場所を見つけたんだ」と景色を眩しそうに眺めている。
景色を見ているクラヴィスの横顔を見ていると、ずっと勇気を出せずにいたことを言えるような気がした。
きっともう話しても大丈夫だと思えた。
「クラヴィス、前に何故私が悪女と呼ばれているか聞きましたわよね。今、答えてもよろしいですか?」
私の言葉にクラヴィスは私と目を合わせた。
「私は、自分でユーキス国一番の悪女になることを選んだのです」
私はゆっくりとフリクのこと、フリクからの提案に乗ったことを話していく。
クラヴィスはただ静かに私の話を聞いてくれていた。
話し終えた私は、フードを手で押さえ、さらに深く被った。
クラヴィスの顔を見ることが怖かったから。
「幻滅しましたか……?」
そう小さな声で問いかけた私にクラヴィスは優しく微笑んだ。
「マリーナは前に私に言ったよね。自分の選択を後悔していないって。なのに、幻滅されると思うの?」
「確かに私は自分の選択を後悔していません。しかし、相手がどう思うかなど誰にも分からないはずです」
「幻滅なんてしない。君が自国を守るためにしたことだ。それに……きっと私だってその立場だったら、同じ選択をしただろう」
クラヴィスの言葉に私は顔を少しだけ上げた。
「ずっと怖かったのです。クラヴィスにこのことを打ち明けることが。でも、笑顔でいたいから。クラヴィスの前で偽りなく笑っていたいのです」
クラヴィスが私に一歩近づいた。
「笑顔でいるってそんなに大事?」
「え……?」
クラヴィスが私のフードに触れる。
「これから先、笑顔でいることが難しい時もあると思う。だから、無理に笑顔でいなくていいよ。だって……」
「私が笑顔にするから」
クラヴィスが私のフードをめくって、高台から景色を見えるようにする。
今朝、寮の前でもクラヴィスは私のフードをめくった。
それでも、今見えている景色はあの時よりさらに輝いていて。
「フードで視界を隠していては、この美しい景色を見逃してしまうよ。それと同じように、フードで隠していては君の笑顔にも涙にも気づけない」
私は高台からの景色を見た後に、クラヴィスに視線を向ける。
そうね。
きっとクラヴィスが正しいわ。
だって、フードを被っていては、今目の前にあるクラヴィスの笑顔すら見逃してしまうかもしれない。
それは嫌だから。
そんな私がクラヴィスの瞳に映っている。
「マリーナ、実は私は……」
クラヴィスの声に私が反応すると、クラヴィス「何でもない」と首を少しだけ横に振った。
だから、私はもう一度クラヴィスに向けて微笑んだ。
「クラヴィス、私、今日がとっても楽しかったですわ。本当に」
「ああ。私も楽しかった」
きっとこの日に見た景色を私は一生忘れないだろう。
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