最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第67話:英雄の覚悟

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⸻夜は、深く、静かだった。
風が止み、焚き火の炎だけがメルディナの石畳を赤く染めている。

篠原蓮は、ひとり地図の前に立っていた。
広げられた地図には、無数の印と線。
それは、これまでの戦いの跡であり――これからの戦争の未来だった。

「王国は教会に完全に吸収され、魔王軍の残党は北方で再集結中……」
蓮は低く呟く。
「ここから先は、“世界戦”だな。」

背後で、扉が静かに開いた。
「まだ起きてたの?」
リアの声。

彼女は軽装のまま、狼の耳を揺らして入ってきた。
その後ろには、セリナの姿もあった。

蓮が顔を上げる。
「寝られないのか?」

リアが苦笑する。
「こんな夜に寝られるわけないでしょ。
 明日、あんたが“宣戦”を出すんでしょ? 女神教会に。」

セリナが静かに頷いた。
「あなたの“再生連合”が、神に反旗を翻す日です。」

蓮は小さく息を吐く。
「……そうなるな。」



リアが焚き火の前に腰を下ろす。
「ねえ、蓮。
 あたしたち、どこまで行くつもり?」

「どこまでも、だ。」

「戦いが終わるまで?」

「違う。」蓮の声は静かだった。
「“再生”が終わるまでだ。
 壊された世界が、もう二度と同じ悲劇を繰り返さないように。」

リアが黙る。
その瞳に、炎が映っていた。
「……もし、誰かが死ぬとしても?」

蓮の指が止まった。

セリナがゆっくりと口を開く。
「リア、それは……」

「いいんだ、セリナ。聞かせてくれ。」
リアの声は震えていた。
「“誰も捨てない”って言葉、あたしも好きだよ。
 でもさ、それを守ろうとして、あんたまで壊れたら意味ないじゃん。」

蓮は静かに、火を見つめる。
「……リア。俺は、もう二度と選ばない。
 誰かを救うために、誰かを見捨てるなんて、もうしない。」

「だから、“全部背負う”って言うの?」

「ああ。俺がやる。」

リアが立ち上がった。
「バカだな、ほんとに。」

そして、微笑んだ。
「でも、そういうあんたが好きだよ。」

セリナが小さく息をのむ。
リアは振り返らずに言った。
「だから、今度は――あたしが守る番だ。」

蓮が目を細める。
「……何を言ってる?」

「明日、教会との戦いが始まる。
 あたしとセリナで、前線に出る。」

「待て、それは――」

セリナが一歩前に出た。
「決めたことです、蓮。
 あなたが“誰も犠牲にしない”と誓ったのなら……私たちは、“あなたを犠牲にしない”と誓います。」

蓮の瞳が揺れる。
「そんなの、順番が逆だ。」

「順番なんて、関係ありません。」セリナが微笑んだ。
「あなたが私たちを救ってくれた。今度は、私たちがあなたを守る番です。」

リアも頷く。
「そういうこと。」

蓮は拳を握り、俯いた。
「……お前たちを危険に晒すわけには――」

「危険? 今さら何言ってんの。
 あたしたち、もう何回死にかけたと思ってるの?」

リアの声が響く。
「蓮。あんたが作ろうとしてる“世界の再生”ってやつ。
 あたしたちも一緒に背負うから。」

セリナも、真っ直ぐ蓮を見つめる。
「あなたがどれほどの罪を背負っても――私たちは、共に行きます。」



沈黙が流れた。
焚き火がぱちりと音を立てる。

蓮はゆっくりと立ち上がり、二人の前に歩み寄る。
そして――右手を差し出した。

「なら、約束だ。」

リアがその手を握る。
「破ったら、殴るからね。」

セリナも手を重ねた。
「……これで、三度目の誓いですね。」

蓮が笑う。
「そうだな。
 “誰も捨てない”――そして、“誰も置いていかない”。」



その夜、メルディナの空は星で満ちていた。
嵐の前の静けさ。
けれど、その静けさが――彼らの覚悟をより強く、確かなものにした。

リアは焚き火のそばで、空を見上げながら小さく呟いた。
「蓮……あんた、ほんとにバカだよ。
 でも、あたしはそんなバカを信じてる。」

セリナはその隣で目を閉じた。
「明日が、最後の夜になるかもしれませんね。」

「なら、笑って迎えようぜ。」



翌朝。
メルディナの空に、金の光が差した。
再生連合の旗が掲げられ、数万の兵士たちが整列している。

蓮が壇上に立ち、静かに告げた。
「これより、“終結の戦い”を始める。」

兵たちの目が輝く。
リアが微笑む。
セリナが頷く。

蓮は剣を掲げ、宣言した。
「戦うのは、壊すためじゃない。
 ――再生のためだ!」



声が大地を震わせた。
その瞬間、世界が――ひとつの方向へ動き出した。
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