上 下
168 / 2,621

緑子、移籍。 Ⅲ

しおりを挟む
 夕食の準備は、主に亜紀ちゃんに任せてある。
 皇紀も手伝っている。
 御堂の家で教わったほうとう鍋だ。

 俺は亜紀ちゃんのタイミングで味見をするだけだった。

 緑子は双子の部屋に行き、遊んでくれた。
 俺もヒマだったので、部屋に乱入した。

 今日の土産のリボンで遊んでいた双子を抱え、ベッドに投げ飛ばす。
 いやぁー、と言いながら、二人とも喜んでいる。
 最近、大分重くなった。
 
 俺は緑子も抱えて投げてやった。
 「あんた、何するのよ!」
 双子は笑って、緑子を押さえ込んでくすぐろうとする。
 「やめて、ねぇやめてぇー!」

 緑子の空色のサテンのスカートがめくれた。

 「あ、なんかヒモだよ?」
 「あ、ほんとだ」

 緑子がすぐにスカートを直し、俺を睨みつける。
 「あんた、見てないわよね!」
 
 なんか、前にこんなことがあったような。




 夕飯は、予想通りの争奪戦だった。
 緑子は大笑いをしていた。

 俺は緑子に漬物を勧める。

 「人参? あ、でも美味しい」
 「そうだろ? 知り合いから一杯もらったんだ」
 「へぇー。でもなんだろう、普通の人参じゃないような」
 「その家で作ってる、特別なものらしいぞ」

 緑子は子どもたちの大騒ぎを楽しみながら、日本酒を飲み、人参を食べていった。



 「あ、皇紀くんが三人にやられてるよ!」
 「ああ、いつものことだから」

 「ねぇ、これってテレビで流したらウケるよね」
 「やめてくれ。そういうのはこりごりなんだ」

 俺は「フェラーリ・ダンディ」の話をしてやった。
 緑子は呆れ、そして大笑いする。

 「あんたも、いろいろと大変なのね」
 「そうだよ、だからそう言ってるじゃねぇか」

 「うん、そうよね。あんたはいつも同じことしか言わない」

 緑子は美味しそうに日本酒の猪口を空けた。
 俺が徳利からまた注いでやった。





 夕飯の片付けも終わり、風呂に入る。
 また、双子は緑子と一緒に入りたがった。
 今日は亜紀ちゃんも一緒だ。

 俺は緑子の吹き替えの映像を流してやる。
 幾つかの作品を編集したものだ。



 「いしがみぃー!」
 舞台俳優のでかい声がする。

 「すぐに映像をとめなさいー!」

 「あ、緑子さんの声だ!」
 「いえ、あのね」

 映像は宇宙人の吹き替えに変わる。

 「あ、なんかヘンな声」
 「いしがみぃー、お願いだから止めてぇー!」



 みんな風呂が終わり、リヴィングのテーブルで雑談した。
 双子が花岡家や御堂家の話を一生懸命に緑子にする。

 緑子は笑ってそれを聞いてくれていた。

 夜も遅くなり、俺は風呂に入った。

 やはり来た。




 「花岡家特性の高麗人参はどうだよ?」
 「あんたさ、これって冗談じゃ済まないわよ」

 緑子の顔が紅潮している。

 「リヴィングで話してた時に、もう我慢するのが大変だったんだから!」
 流石は女優だ。

 俺は笑って、湯船に入れと誘う。
 俺に背中を向け、身体をくっつけてくる。

 「本当になんなのよ、これは」
 「俺にも分からねぇ。花岡のじじぃに喰わされて、俺もびっくりしたよ」

 緑子は察したようだ。



 「まあ、あんたが誰と寝ようと構わないけどね。でも、私のことも大事にしなさいよね!」
 「だからお前にも喰わせたんだろうよ」


 「うん」


 「あんたもすごいことになってるじゃない」
 緑子は後ろに手を回し、俺を触った。
 「俺も食べたからな」

 「あんたのさ」
 「ああ」
 「大きいから、何度もやるとちょっと痛いの」
 「大丈夫だよ、潤滑剤もびっくりするほど出るから」
 「ばか」
 緑子のパンチは飛ばなかった。
 俺は手を前に回し、確認した。

 「ほらな」

 緑子はまた小さく「ばか」と言い、俺の上に乗り、自分で挿し込んだ。





 俺たちは風呂場で朝まで貪った。 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】華の女神は冥王に溺愛される

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:110

すきにして

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:454pt お気に入り:0

幼馴染にくすぐられる男の子

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:18

年下の夫は自分のことが嫌いらしい。

BL / 完結 24h.ポイント:917pt お気に入り:218

イアン・ラッセルは婚約破棄したい

BL / 完結 24h.ポイント:33,036pt お気に入り:1,570

俺、悪役騎士団長に転生する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,184pt お気に入り:2,504

処理中です...