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佐野原稔 Ⅱ
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前と同じく、稔の部屋のドアはノックされなかった。
そのままドアノブを回し、ドアが開かれた。
「慎独」、独りを慎むという最高の道徳が実践されている家なのだ。
稔が立ち上がって俺を迎えた。
俺にソファを勧める。
前もそうだった。
俺が座ると稔が向かいに座り、小夜さんは出て行った。
「石神さん、今日はわざわざすみません」
「いいよ、俺に話があるんだって?」
俺はそう言いながら部屋を眺めた。
以前には無かった多くの本がある。
医学関連、免疫学、細胞学、薬学などの専門書。
化学、細菌学、ナノマシンの本まであった。
稔が何を求め、どれほど求めているのかが分かる書棚だった。
「凄い本だな」
「自分で勉強していました。石神さんのお役に立ちたくて」
「大学は行かないのか?」
俺にはもう十分過ぎるほどに分かっていた。
以前に目指していた美大のためではないことは、一目瞭然だ。
稔は医学的な感染症の研究をしている。
そして、医学や生理学を大学で学ぶ必要も感じていない。
「はい。大学で学ぶことは無いと思います。もっと専門的に、いいえ、もっと急ぐ必要があります」
「なんだと?」
「「業」はきっと細菌兵器を作ります! 「渋谷HELL」や北海道での妖魔化する作戦は、いずれ細菌やウイルスを使った兵器に成り代わります! 僕はそれを止めたいんです!」
「おい……」
俺は驚いていた。
稔は自分が犠牲者となった妖魔の無差別憑依の事件はもちろん知っている。
しかし、そこからどうして「業」の《ニルヴァーナ》のことに思い至ったのか。
だが、稔の部屋を見て、確かに稔がそれに備えようとしていることは分かっていた。
稔の部屋にある膨大な専門書は、確かに細菌兵器に対する研究だったのだ。
「石神さん、僕は自分がやらなきゃいけないことが分かっているんです。石神さんは既にそういった兵器への対抗手段を研究していますよね?」
「おい、どうして君は「業」が細菌兵器を使うと思ったんだ?」
「白い少女に教えてもらいました」
「なんだと!」
ルイーサが《エイル》という神の話を俺にした。
渋谷で、そして蓮花研究所で稔は確かに《エイル》に会っている。
だがそれは稔にとっては「白い少女」であって、《エイル》という神だという認識はないはずだった。
俺は稔に《エイル》の話も、《ニルヴァーナ》のことも話していない。
「君はまた白い少女に会ったのか!」
「いいえ、思い出したんです。僕があの研究所で白い少女を見た時に会話したことを」
「なんだって? 君は「Ωカメムシ」を飲めばいいと言われただけじゃないのか?」
「そうなんです、家に戻ってから、あの時にもっと話していたことを思い出しました」
「……」
稔は蓮花研究所で《エイル》に会っているが、その後に「渋谷HELL」で逃げる際にも会っていたことを思い出していた。
獅子丸もそうだった。
俺に尋ねられてから、同じく「渋谷HELL」であいつも会っていたことを思い出した。
《エイル》というのは、どうもそのような存在らしい。
何重にも人間の意識の中に浸透するかのように刻み込まれ、その人間を深奥から動かしていく。
そしてある程度の段階で、本人に認識が甦る。
多くの人間は、明確な認識の後で行動が始まると思い込んでいる。
実際には人間はもっと深い。
本当に事象が認識されるには、それなりの準備、積み上げが必要なのだ。
だから人間には修行、鍛錬が必要なのだ。
また鍛錬を始め、続けるには多くの場合は強制力だ。
有無を言わさずに命じられて静かに自分の中で積み上げて行き、そこからやっと本格的な積み上げに入ることが出来る。
現代人が考えるように、希望や夢などというものが原動力なのではないのだ。
自分が積み上げてある程度の高みに登ってから、初めて見える世界があるだけなのだ。
積み上げそのものが、その人間の本当の夢となる。
《エイル》の認識もそのようなものなのだろう。
《エイル》の場合は強制力というよりも、もっと高度なものだ。
人間同士ではありえない「信仰体験」というものかもしれない。
それが意識の奥深くに刻まれ、自然と人間をある方向へ導く。
そうやってその人間が一定のレベルに上がってから、具体的な事柄を思い起こさせるのだ。
稔は少なくとも、そういう体験を経て、俺を呼んだ。
俺は稔に幾つか質問をした。
エンドサイトーシスに関する問題。
ウイルスの擬態突起に関する病理問題。
キラーT細胞の教育に関する問題。
稔は言葉に詰まることなく、俺のした質問に即答していった。
稔は病理研究者として、既に一定のレベルにあった。
高校生が誰にも教わらずに独学でここまでになったことに驚いた。
もちろん医大ではもっと多くの知識を学ぶだろうが、それは自分でも獲得する人間だろう。
「確かに大学に行く必要はねぇな」
「そうですか!」
やっと稔が明るく笑った。
「それで稔君はこれからどうしたいんだ?」
「はい、あの研究所で働かせて下さい」
「一応言うけどな、君には普通の暮らしをしてもらいたいと思っているんだ。君は「渋谷HELL」で大変苦しい思いをした。《湖坊小河流》の宗家となり、輝かしい未来に進むはずの道を断たれた。そればかりかお母さんや妹を襲ってしまう恐怖に必死に耐えていた。でも君は戻った。またその道に行けるのだし。みんなもそう思って喜んだ」
「はい」
俺はあの日、家に戻った稔と小夜さん、妹が抱き合って喜んでいた光景を思い出していた。
みんなが稔が「戻った」ことを喜んでいたのだ。
「それでも君は別な道を行くというのか?」
「はい、そうです。母や妹にも申し訳ないと思っています。でも、僕にはこの道以外にはない」
「俺が断ったらどうする?」
「自分一人でも進みます。そして石神さんに認めてもらいます」
「そうか」
俺は白い少女が《エイル》という神だと話し、「業」が創ろうとしているのは《ニルヴァーナ》と呼ばれていると話した。
「《エイル》については俺もよくは分かっていないんだ。ある高貴な人物から、少しだけ聞かされている程度でな。でも医療の神であり、俺の関係者に深い縁があるらしい」
「そうなのですか! 《エイル》! 素晴らしい名ですね!」
稔が興奮していた。
また稔の深い所にある何かと繋がったのかもしれない。
「もう一度だけ確認する。稔は「虎」の軍の研究所に入れば、しばらくはお母さんとも妹とも会えなくなる。非常に機密性の高い部署だからな。何年にもなるぞ」
「はい、覚悟しています」
「人間関係も制約される。外にも自由には出られない。電話もインターネットも使えなくなる。外との繋がりは一切遮断される」
「はい、構いません」
俺が言っているのは、まるで囚人のような生活だ。
もちろん俺は、家族には会わせてやるつもりだった。
蓮花研究所に出向いてもらえば、会うことくらいは出来るだろう。
稔は少しも躊躇しなかった。
「分かった。いつから来れる?」
「今日、これからでも」
「おい、別れはきちんと済ませろ」
「いいえ、もう十分に母と妹とは話しています。石神さんがおっしゃったようなことは二人にも、しばらく会えなくなると伝えています」
「そうか」
俺は稔を小夜さんたちの所へ連れて行き、稔を連れて行くと話した。
二人は泣いたが、引き留めることは無かった。
別れは済んでいたのだ。
弱冠18歳の少年が、自ら過酷な道へ入る。
俺は人間は自分で決めて進めばそれで良いと考えている。
「普通」の道でなくても構わない。
幸せを求めるのではなく、自分で決めて進むこと。
稔はそのことを分かっているのだ。
そのままドアノブを回し、ドアが開かれた。
「慎独」、独りを慎むという最高の道徳が実践されている家なのだ。
稔が立ち上がって俺を迎えた。
俺にソファを勧める。
前もそうだった。
俺が座ると稔が向かいに座り、小夜さんは出て行った。
「石神さん、今日はわざわざすみません」
「いいよ、俺に話があるんだって?」
俺はそう言いながら部屋を眺めた。
以前には無かった多くの本がある。
医学関連、免疫学、細胞学、薬学などの専門書。
化学、細菌学、ナノマシンの本まであった。
稔が何を求め、どれほど求めているのかが分かる書棚だった。
「凄い本だな」
「自分で勉強していました。石神さんのお役に立ちたくて」
「大学は行かないのか?」
俺にはもう十分過ぎるほどに分かっていた。
以前に目指していた美大のためではないことは、一目瞭然だ。
稔は医学的な感染症の研究をしている。
そして、医学や生理学を大学で学ぶ必要も感じていない。
「はい。大学で学ぶことは無いと思います。もっと専門的に、いいえ、もっと急ぐ必要があります」
「なんだと?」
「「業」はきっと細菌兵器を作ります! 「渋谷HELL」や北海道での妖魔化する作戦は、いずれ細菌やウイルスを使った兵器に成り代わります! 僕はそれを止めたいんです!」
「おい……」
俺は驚いていた。
稔は自分が犠牲者となった妖魔の無差別憑依の事件はもちろん知っている。
しかし、そこからどうして「業」の《ニルヴァーナ》のことに思い至ったのか。
だが、稔の部屋を見て、確かに稔がそれに備えようとしていることは分かっていた。
稔の部屋にある膨大な専門書は、確かに細菌兵器に対する研究だったのだ。
「石神さん、僕は自分がやらなきゃいけないことが分かっているんです。石神さんは既にそういった兵器への対抗手段を研究していますよね?」
「おい、どうして君は「業」が細菌兵器を使うと思ったんだ?」
「白い少女に教えてもらいました」
「なんだと!」
ルイーサが《エイル》という神の話を俺にした。
渋谷で、そして蓮花研究所で稔は確かに《エイル》に会っている。
だがそれは稔にとっては「白い少女」であって、《エイル》という神だという認識はないはずだった。
俺は稔に《エイル》の話も、《ニルヴァーナ》のことも話していない。
「君はまた白い少女に会ったのか!」
「いいえ、思い出したんです。僕があの研究所で白い少女を見た時に会話したことを」
「なんだって? 君は「Ωカメムシ」を飲めばいいと言われただけじゃないのか?」
「そうなんです、家に戻ってから、あの時にもっと話していたことを思い出しました」
「……」
稔は蓮花研究所で《エイル》に会っているが、その後に「渋谷HELL」で逃げる際にも会っていたことを思い出していた。
獅子丸もそうだった。
俺に尋ねられてから、同じく「渋谷HELL」であいつも会っていたことを思い出した。
《エイル》というのは、どうもそのような存在らしい。
何重にも人間の意識の中に浸透するかのように刻み込まれ、その人間を深奥から動かしていく。
そしてある程度の段階で、本人に認識が甦る。
多くの人間は、明確な認識の後で行動が始まると思い込んでいる。
実際には人間はもっと深い。
本当に事象が認識されるには、それなりの準備、積み上げが必要なのだ。
だから人間には修行、鍛錬が必要なのだ。
また鍛錬を始め、続けるには多くの場合は強制力だ。
有無を言わさずに命じられて静かに自分の中で積み上げて行き、そこからやっと本格的な積み上げに入ることが出来る。
現代人が考えるように、希望や夢などというものが原動力なのではないのだ。
自分が積み上げてある程度の高みに登ってから、初めて見える世界があるだけなのだ。
積み上げそのものが、その人間の本当の夢となる。
《エイル》の認識もそのようなものなのだろう。
《エイル》の場合は強制力というよりも、もっと高度なものだ。
人間同士ではありえない「信仰体験」というものかもしれない。
それが意識の奥深くに刻まれ、自然と人間をある方向へ導く。
そうやってその人間が一定のレベルに上がってから、具体的な事柄を思い起こさせるのだ。
稔は少なくとも、そういう体験を経て、俺を呼んだ。
俺は稔に幾つか質問をした。
エンドサイトーシスに関する問題。
ウイルスの擬態突起に関する病理問題。
キラーT細胞の教育に関する問題。
稔は言葉に詰まることなく、俺のした質問に即答していった。
稔は病理研究者として、既に一定のレベルにあった。
高校生が誰にも教わらずに独学でここまでになったことに驚いた。
もちろん医大ではもっと多くの知識を学ぶだろうが、それは自分でも獲得する人間だろう。
「確かに大学に行く必要はねぇな」
「そうですか!」
やっと稔が明るく笑った。
「それで稔君はこれからどうしたいんだ?」
「はい、あの研究所で働かせて下さい」
「一応言うけどな、君には普通の暮らしをしてもらいたいと思っているんだ。君は「渋谷HELL」で大変苦しい思いをした。《湖坊小河流》の宗家となり、輝かしい未来に進むはずの道を断たれた。そればかりかお母さんや妹を襲ってしまう恐怖に必死に耐えていた。でも君は戻った。またその道に行けるのだし。みんなもそう思って喜んだ」
「はい」
俺はあの日、家に戻った稔と小夜さん、妹が抱き合って喜んでいた光景を思い出していた。
みんなが稔が「戻った」ことを喜んでいたのだ。
「それでも君は別な道を行くというのか?」
「はい、そうです。母や妹にも申し訳ないと思っています。でも、僕にはこの道以外にはない」
「俺が断ったらどうする?」
「自分一人でも進みます。そして石神さんに認めてもらいます」
「そうか」
俺は白い少女が《エイル》という神だと話し、「業」が創ろうとしているのは《ニルヴァーナ》と呼ばれていると話した。
「《エイル》については俺もよくは分かっていないんだ。ある高貴な人物から、少しだけ聞かされている程度でな。でも医療の神であり、俺の関係者に深い縁があるらしい」
「そうなのですか! 《エイル》! 素晴らしい名ですね!」
稔が興奮していた。
また稔の深い所にある何かと繋がったのかもしれない。
「もう一度だけ確認する。稔は「虎」の軍の研究所に入れば、しばらくはお母さんとも妹とも会えなくなる。非常に機密性の高い部署だからな。何年にもなるぞ」
「はい、覚悟しています」
「人間関係も制約される。外にも自由には出られない。電話もインターネットも使えなくなる。外との繋がりは一切遮断される」
「はい、構いません」
俺が言っているのは、まるで囚人のような生活だ。
もちろん俺は、家族には会わせてやるつもりだった。
蓮花研究所に出向いてもらえば、会うことくらいは出来るだろう。
稔は少しも躊躇しなかった。
「分かった。いつから来れる?」
「今日、これからでも」
「おい、別れはきちんと済ませろ」
「いいえ、もう十分に母と妹とは話しています。石神さんがおっしゃったようなことは二人にも、しばらく会えなくなると伝えています」
「そうか」
俺は稔を小夜さんたちの所へ連れて行き、稔を連れて行くと話した。
二人は泣いたが、引き留めることは無かった。
別れは済んでいたのだ。
弱冠18歳の少年が、自ら過酷な道へ入る。
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