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3章
備えあれば憂いなし
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城下では、暴動を起こした市民が立ち往生していた。
「この黒炎はシャリゼ王の能力だ…。やはり、国民を裏切っていたのか!」
「城に入れろ!【クロライド】の言っていたことを説明しろ!」
王室の中では、そのシャリゼがケーニヒ王へと斬りかかっていた。
シャリゼの振り下ろした剣は、成実が蹴り上げ、ケーニヒ王に届く前に弾かれた。
成実「っぶねえ!落ちてた!」
気絶から復活した成実はすぐに立ち上がる。
成実「なんだ?シャリゼ王がなんで…」
成実が見たシャリゼ王の目には、光がない。
シャリゼ「俺は…王になる…んだ…」
ヴァイツ「そうだ!さあ、殺せ!」
ハーン「させない!」
ハーンと成実が、ケーニヒ王の前に立ち、シャリゼとヴァイツに立ち向かう。
ハーン「すまない、伊沖隊長。ただ、今はあなたの力を借りないといけない…。たとえ生身でも。」
生身に電撃まで食らった成実は、既に弱っているが、身体に力を入れる。
成実「大丈夫です、そのつもりです。」
成実を覆う黒い紋様が拡大する。腕だけにあった紋様は、袖の中に広がり、首筋から顔まで覗かせた。
成実(身体が軽い…。力が溢れる…。ただ、自我を失わないように…)
ハーン「それは…魔力か…?」
成実「まだ上手く扱えないんですが…。暴走しないギリギリのつもりです。」
成実の身体に魔力が満ちる。
ヴァイツが開戦の火蓋を切る。繰り出されたストレートは、成実が受け止め蹴りを反撃で繰り出す。
シャリゼは剣に黒炎を纏わせ、再度ケーニヒ王に斬りかかるが、ハーンの剣が受け止める。
ハーン「操られているのか?!シャリゼ!」
シャリゼ「俺は王になる!!」
シャリゼ王の黒炎は、打ち合った剣を溶かす高温だが、ハーンは剣に魔力を通し、熱を受け止めることで防ぐ。
4人が組み合い、硬直した瞬間、ネムリがケーニヒに向けて走り出した。
ハーン「!!」
成実「まずい!」
瞬間、成実の魔力が高騰した。右手にありったけの魔力が込められ、ヴァイツを殴り飛ばした。
ヴァイツ「うぉっ!!」
ヴァイツを引き剥がし、ネムリを蹴り飛ばしてケーニヒを庇う。
ネムリ「なに…するんですか…。けほ…。私は、王を助けようと…。」
成実「はぁ…はぁ…。まだしらばっくれるのか…。」
成実の身体は限界を迎えていた。生身に受けた電撃、身体に魔力を流して戦ったうえに、高火力を出すため魔力を高めた。背後に襲いかかるヴァイツの動きには気づいたが、反応できなかった。
ヴァイツ「終わりだァ!」
ヴァイツが成実に迫る。
しかし、その1m手前、ヴァイツの動きが止まる。
ヴァイツ「っぐぅ!」
???「終わらせない。」
ヴァイツの背後には、高身長でスタイルのいい男が立っていた。
ヴァイツ「お前は…【クロライド】に向かったはずでは…。」
ヴァイツの動きを止めたのは、【アレストラ】第一支団の団長、スキャットだった。
ケーニヒ「第一支団には、向かったふりをしてもらった。人間たちから、忠告があってね。」
ケーニヒが激しく咳き込む。病体に負担をかける状況が続いている。
ケーニヒ「はぁ…もう…やめにしよう。君たちの負けだ。」
ネムリ「…あ?」
地べたに座るネムリが、鋭い目つきでケーニヒを睨みつける。
ネムリ「終われるわけないわ!私はこのために、何年ここに尽くしたか!乳母としてシャリゼにつき、反人間派の思想を刷り込み、王となるよう育てた!ケーニヒ王の嘘の演説動画などを国民に流し、王政への反発意識を高め、【クロライド】がつけ込む隙を与える!やっと成功したところなのに!」
ハーン「だから…国民が…」
ケーニヒ「シャリゼが王に即位し、それを裏から操ること、【クロライド】による【アレストラ】の乗っ取り、2つの作戦を同時進行させていたのか…。」
ネムリ「どちらに転んでも私の地位は磐石なものになる!じきに国民が押し寄せてくる。この【クロライド】の兵が負けたところで、王政は終わりだ…。【クロライド】の乗っ取りが…実現する!」
成実(確かに…。この印象操作は覆しようがない…)
ハーン「関係ない…!誠実に、説明するだけ…」
ハーンが言い終わる前に、王宮に轟音が響いた。
「この黒炎はシャリゼ王の能力だ…。やはり、国民を裏切っていたのか!」
「城に入れろ!【クロライド】の言っていたことを説明しろ!」
王室の中では、そのシャリゼがケーニヒ王へと斬りかかっていた。
シャリゼの振り下ろした剣は、成実が蹴り上げ、ケーニヒ王に届く前に弾かれた。
成実「っぶねえ!落ちてた!」
気絶から復活した成実はすぐに立ち上がる。
成実「なんだ?シャリゼ王がなんで…」
成実が見たシャリゼ王の目には、光がない。
シャリゼ「俺は…王になる…んだ…」
ヴァイツ「そうだ!さあ、殺せ!」
ハーン「させない!」
ハーンと成実が、ケーニヒ王の前に立ち、シャリゼとヴァイツに立ち向かう。
ハーン「すまない、伊沖隊長。ただ、今はあなたの力を借りないといけない…。たとえ生身でも。」
生身に電撃まで食らった成実は、既に弱っているが、身体に力を入れる。
成実「大丈夫です、そのつもりです。」
成実を覆う黒い紋様が拡大する。腕だけにあった紋様は、袖の中に広がり、首筋から顔まで覗かせた。
成実(身体が軽い…。力が溢れる…。ただ、自我を失わないように…)
ハーン「それは…魔力か…?」
成実「まだ上手く扱えないんですが…。暴走しないギリギリのつもりです。」
成実の身体に魔力が満ちる。
ヴァイツが開戦の火蓋を切る。繰り出されたストレートは、成実が受け止め蹴りを反撃で繰り出す。
シャリゼは剣に黒炎を纏わせ、再度ケーニヒ王に斬りかかるが、ハーンの剣が受け止める。
ハーン「操られているのか?!シャリゼ!」
シャリゼ「俺は王になる!!」
シャリゼ王の黒炎は、打ち合った剣を溶かす高温だが、ハーンは剣に魔力を通し、熱を受け止めることで防ぐ。
4人が組み合い、硬直した瞬間、ネムリがケーニヒに向けて走り出した。
ハーン「!!」
成実「まずい!」
瞬間、成実の魔力が高騰した。右手にありったけの魔力が込められ、ヴァイツを殴り飛ばした。
ヴァイツ「うぉっ!!」
ヴァイツを引き剥がし、ネムリを蹴り飛ばしてケーニヒを庇う。
ネムリ「なに…するんですか…。けほ…。私は、王を助けようと…。」
成実「はぁ…はぁ…。まだしらばっくれるのか…。」
成実の身体は限界を迎えていた。生身に受けた電撃、身体に魔力を流して戦ったうえに、高火力を出すため魔力を高めた。背後に襲いかかるヴァイツの動きには気づいたが、反応できなかった。
ヴァイツ「終わりだァ!」
ヴァイツが成実に迫る。
しかし、その1m手前、ヴァイツの動きが止まる。
ヴァイツ「っぐぅ!」
???「終わらせない。」
ヴァイツの背後には、高身長でスタイルのいい男が立っていた。
ヴァイツ「お前は…【クロライド】に向かったはずでは…。」
ヴァイツの動きを止めたのは、【アレストラ】第一支団の団長、スキャットだった。
ケーニヒ「第一支団には、向かったふりをしてもらった。人間たちから、忠告があってね。」
ケーニヒが激しく咳き込む。病体に負担をかける状況が続いている。
ケーニヒ「はぁ…もう…やめにしよう。君たちの負けだ。」
ネムリ「…あ?」
地べたに座るネムリが、鋭い目つきでケーニヒを睨みつける。
ネムリ「終われるわけないわ!私はこのために、何年ここに尽くしたか!乳母としてシャリゼにつき、反人間派の思想を刷り込み、王となるよう育てた!ケーニヒ王の嘘の演説動画などを国民に流し、王政への反発意識を高め、【クロライド】がつけ込む隙を与える!やっと成功したところなのに!」
ハーン「だから…国民が…」
ケーニヒ「シャリゼが王に即位し、それを裏から操ること、【クロライド】による【アレストラ】の乗っ取り、2つの作戦を同時進行させていたのか…。」
ネムリ「どちらに転んでも私の地位は磐石なものになる!じきに国民が押し寄せてくる。この【クロライド】の兵が負けたところで、王政は終わりだ…。【クロライド】の乗っ取りが…実現する!」
成実(確かに…。この印象操作は覆しようがない…)
ハーン「関係ない…!誠実に、説明するだけ…」
ハーンが言い終わる前に、王宮に轟音が響いた。
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