Proof

Yuki

文字の大きさ
25 / 29
3章

クーデター

しおりを挟む
【エヴィデンス】司令室
森野「それで、見解を聞かせてもらおう、直江影達隊長。」
影達「はい、『アレストラ』との同盟がある人間界に攻めたとあれば、その国は魔界にて『アレストラ』より報復を承けます。そのリスクを負ってなぜ『クロライド』は攻めてきたのか、理由はいくつか考えられました。人間を攫いに来る必要があるほどの国力の低下、エネルギー不足などは、国民として潜入している隊員からの情報と一致しません。」
毛利「彼らからは国をあげて人間界への遠征が報道されていた、との情報が。そしてそれを国をあげて祝うほどの余裕があったらしい。」
影達「つまり、遠征をしてエネルギーを消費したうえで、『アレストラ』からの報復を受け止める準備ができている。」
森野「戦争でもする気か…。」
 影達「ここで、柿崎隊、および伊沖隊の通信を聞くと、話がつながります。」

成実「なんだよこれ…。」
 成実が駆けつけた隊員のもとにあった通信機からは、城外の様子が映し出されていた。
成実「『クロライド』が国民を扇動しているのか…」
 そのとき、重宗から成実へ通信が入る。
重宗『成実!やばい!とにかく、王の元へ!』
成実『は?やばいって…なにが?』
重宗『ネムリ…が…うぉっ!』
 通信が途絶える。
成実「なんだってんだよ…。」
 成実は葵を、柿崎隊の元へ寝かせ王室へ向かった。

ハーン「一体何が起こっていると言うんだ!」
 王室は混乱を極めていた。開けっ放しのドアから中を見た成実は、目を見開いた。
成実「ど、どういうことですか…」
ケーニヒ「ああ、伊沖隊長。すまない、恥ずかしいところを見られてしまったな。それが、国内で人間が暴れ、それを取り押さえたのが『クロライド』の兵士だと言う。そして、その兵士たちは国民を扇動しているんだ。王族は国民を裏切っている、とな。」
成実「そうじゃなくて…」
 成実が言いかけたとき、成実を驚かせていたモノは成実の目の前まで迫り、口を塞いだ。
ネムリ「あら、どうされたんですか?伊沖隊長。」
成実(なんで生きて…)
シャリゼ「とにかく、早くどうにかしないと…」
国王軍「失礼します!報告しますか!国民の暴動が激化し、軍を突破し王宮に向かっている街が点在、王宮前の暴動は衛兵を突破しました!」
ケーニヒ「何だと?!」
シャリゼ「ふざけるな!王に歯向かう国民などいらない!」
 シャリゼは激昂し、指を鳴らした。
「うわぁぁぁっ!」
 城の周りから悲鳴が上がる。
ケーニヒ「シャリゼ!何をした!」
シャリゼ「何って、城を守ったんですよ。」
ケーニヒ「シャリゼ…!」
伊沖(このままじゃまずい!絶対によくないことがおこってる…!ネムリ…がなにか企んでいるんだ…。この手振りほどかないと…。なんて力だ…)
ネムリ「きゃぁっ!」
 成実は強引に、口を塞ぐネムリを押しのけた。
ケーニヒ「伊沖隊長…その姿は…?」
成実「はぁ…はぁ…」
 成実の腕には黒い紋様が現れていた。
成実(くそ!生身で力を振り絞ったら…これだ…。ダメだ…まだ暴走するな…!)
成実「大丈夫です。それより…聞いてください。さっき、中庭で私たちは国王軍の姿をした者に襲われました。でも、最初に襲われたのはネムリさんで、しかも殺されたんです。それなのに…ここに…」
ネムリ「な、なんのことですか…伊沖隊長…。」
成実「それに、柿崎隊を宝物庫に呼び出し、俺らと離れるようにした!そして宝物庫でも柿崎隊は襲われている!」
ケーニヒ「ちょっと待ってくれ、伊沖隊長。私にはどちらの言うことも信じるしかない。だが、どちらも証拠がない。とにかく…」
国王軍「失礼します!報告します!柿崎隊、伊沖隊ともに拘束完了しました!あとは伊沖隊長のみです!」
成実「なっ!」
ケーニヒ「待ってくれ、伊沖隊長。街で人間が暴れている以上、君たちを城内で自由にはさせられない。命は保証する。」
成実「その国王軍に殺されかけたんだぞ!」
 成実の熱が頂点に達したとき、王室の前の廊下を、国王軍数人が吹き飛ばされ通り過ぎた。
???「ははははぁ!見つけたぞ!」
 王室に入ってきたのは
成実「お前…ヴァイツ…?!」
ヴァイツ「お?お前は。やったぜ。また戦えるのかぁ。でもまずは…」
 ヴァイツは一瞬、嬉しそうな表情を成美に向け、視線をケーニヒに向け思い切り床を蹴った。
シャリゼ「!!」
ハーン「おい!」
 ヴァイツの高速の正拳突きは、ケーニヒの直前で止められた。反射的に反応した成実は正面で受け止め、シャリゼとハーンがヴァイツを挟む形で剣を構える。
ヴァイツ「危ない危ない。これ以上進んだら腕と首が飛ぶところだった。人間、お前も速かったな。」
成実(くっ…こいつの…は電気を帯びてる…んだった…)
 生身に電気を受けた成実はその場に倒れる。
シャリゼ「てめぇ!いきなりなにしやがる!」
ヴァイツ「なにって、国民の暴動の理由も、我々の目的もひとつ、王族の失脚ですよ。」
ケーニヒ「『クロライド』か…。お前らの国が、この国を乗っ取る…と?」
ヴァイツ「そうだ。ここのやつは皆殺しだよ。ただ…」
 ヴァイツは動きを止めたまま、シャリゼに視線を移した。
ヴァイツ「お前は生かしてもいいらしい。新しい国の王として迎えるらしい。どうだ?」
シャリゼ「あ?そんな口車にのるかよ!」
ヴァイツ「考えてもみろ。このまま俺と戦って、お前達が勝ったとしても、まだ反乱分子と『クロライド』の戦闘員は流れ込んでくる。そいつらと戦って死ぬか?まあ、誰かさんが黒炎で城を囲ってしまったから時間はかかるだろうが。よしんばお前が勝ったとしてもお前についてくる国民はいない。それならば、新体制になったあとの国王として迎えられる方がいいだろう?」
ハーン「シャリゼ!聞くな!」
シャリゼ「うるせぇ!兄貴ヅラするな!」
ヴァイツ「ほら、剣を向ける相手が違うだろ?王になる道はすぐそこだ。」
 ヴァイツが言い終えたとき、シャリゼはヴァイツから剣を離し、ケーニヒに斬りかかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

処理中です...