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3章
ヒント
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時は遡ること14年前
成実「遥ちゃん、そのアザどうしたの?」
成実は遊び場に来た遥の首元に、アザを見つけた。
遥「これ?これはね、生まれつきあるんだって。」
成実「へぇ…。そうなんだ。蝶の形してて、キレイだね。」
遥「キレイ…?…ありがと。」
遥は少し戸惑ったあと、はにかんだ。
遥「このアザは、特別なんだって。前に母さんが言ってた。来る時、このアザに手を当てて力を注ぐんだよ、って。なんの事なんだろう。」
成実「来る時…って、なあに?」
遥「私もわかんない。ただ、お母さんが何回も言ってた。」
成実「そっか…。じゃあ、僕が力を注ぐね!」
遥「ふふっ!でも、注ぐって、何するの?」
成実「こう、ぶぅわぁっ!って!」
成実「来たる時、このアザに手を当てて力を注ぐ…」
遥のアザを再び目にした成実は、14年前の会話を思い出した。
成実「やってみるか!」
成実は手を伸ばし、遥のアザに手を乗せた。
成実「力を注ぐって…エネルギーの受け渡しはできねぇし…。とにかく、力を込めるか!」
成実は身体の力を振り絞って手に集中させた。2人の身体が淡い光に包まれる。
遥の背にあった羽が徐々に小さくなり、それに伴って遥の意識が薄れる。
浮力を失った2人は落下していく。
ハーン「っ!」
ハーンは空中を移動し、遥ごと2人を抱えた。
ハーン「いま、エネルギーが、彼女に流れた…?どうなってる?!」
成実「わかりません…。俺も何が何だか…。…ハーン王子、空飛べたんですね。」
ハーン「それが…。私も何が何だか…。」
ハーンは苦笑いを返す。
何はともあれ一段落した状況に、2人は胸を撫で下ろす。
ハーンが空中移動で窓から王室に戻ると、場は第一支団に抑えられていた。
スキャット「シャリゼ王子には眠っていただきました。『王になる』という類の言葉をトリガーワードに、洗脳が発動するようになっていたと思われます。」
ハーン「シャリゼ…。俺たちは道具として裏で育てられていたのか…。」
ハーンはネムリの方を向いた。ネムリは拘束され、壁に追いやられている。
ハーン「ネムリさん、私は感謝してます。忙しいケーニヒ王に変わり、ここまで育てていただいて、ありがとうございます。シャリゼを産んですぐ亡くなった母の代わりとして、たくさんの愛情をもらいました。」
ネムリ「ふっ。勘違いよ。私は、この国を潰して次どんな地位に立つか、それだけを考えて動いただけよ。」
ハーン「…。そうですね。でも、今になるまで気づけなかったんだから、私にとっては愛ですよ。」
ネムリ「そ…う…」
ネムリはゆっくり目を閉じた。
ハーン「ネムリさん?」
ネムリの様子に違和感を感じたハーンはネムリに駆け寄る。
ハーン「なん…で?」
ハーンの顔は絶望に染る。
成実「ハーン王子?」
ヴァイツ「はーあ、これでやっと俺の役目も終わりかな。」
ヴァイツが大きな声で愚痴を漏らした。
ヴァイツ「裏切り者には死を、当然だろ。」
ヴァイツが不敵に笑うと、つぎの瞬間、ヴァイツのお腹が膨れた。
ヴァイツ「ぅおおおおえ!!!」
ヴァイツの吐き出した泥のようなものは、ヴァイツ自身とシャリゼを包んだ。
スキャット「うぉっ!」
罠を警戒したスキャットは後ずさる。
2人を包んだ泥はそのまま地面に溶け込むように消えていき、2人がいた場所には跡形もなく、床だけがあった。
成実「遥ちゃん、そのアザどうしたの?」
成実は遊び場に来た遥の首元に、アザを見つけた。
遥「これ?これはね、生まれつきあるんだって。」
成実「へぇ…。そうなんだ。蝶の形してて、キレイだね。」
遥「キレイ…?…ありがと。」
遥は少し戸惑ったあと、はにかんだ。
遥「このアザは、特別なんだって。前に母さんが言ってた。来る時、このアザに手を当てて力を注ぐんだよ、って。なんの事なんだろう。」
成実「来る時…って、なあに?」
遥「私もわかんない。ただ、お母さんが何回も言ってた。」
成実「そっか…。じゃあ、僕が力を注ぐね!」
遥「ふふっ!でも、注ぐって、何するの?」
成実「こう、ぶぅわぁっ!って!」
成実「来たる時、このアザに手を当てて力を注ぐ…」
遥のアザを再び目にした成実は、14年前の会話を思い出した。
成実「やってみるか!」
成実は手を伸ばし、遥のアザに手を乗せた。
成実「力を注ぐって…エネルギーの受け渡しはできねぇし…。とにかく、力を込めるか!」
成実は身体の力を振り絞って手に集中させた。2人の身体が淡い光に包まれる。
遥の背にあった羽が徐々に小さくなり、それに伴って遥の意識が薄れる。
浮力を失った2人は落下していく。
ハーン「っ!」
ハーンは空中を移動し、遥ごと2人を抱えた。
ハーン「いま、エネルギーが、彼女に流れた…?どうなってる?!」
成実「わかりません…。俺も何が何だか…。…ハーン王子、空飛べたんですね。」
ハーン「それが…。私も何が何だか…。」
ハーンは苦笑いを返す。
何はともあれ一段落した状況に、2人は胸を撫で下ろす。
ハーンが空中移動で窓から王室に戻ると、場は第一支団に抑えられていた。
スキャット「シャリゼ王子には眠っていただきました。『王になる』という類の言葉をトリガーワードに、洗脳が発動するようになっていたと思われます。」
ハーン「シャリゼ…。俺たちは道具として裏で育てられていたのか…。」
ハーンはネムリの方を向いた。ネムリは拘束され、壁に追いやられている。
ハーン「ネムリさん、私は感謝してます。忙しいケーニヒ王に変わり、ここまで育てていただいて、ありがとうございます。シャリゼを産んですぐ亡くなった母の代わりとして、たくさんの愛情をもらいました。」
ネムリ「ふっ。勘違いよ。私は、この国を潰して次どんな地位に立つか、それだけを考えて動いただけよ。」
ハーン「…。そうですね。でも、今になるまで気づけなかったんだから、私にとっては愛ですよ。」
ネムリ「そ…う…」
ネムリはゆっくり目を閉じた。
ハーン「ネムリさん?」
ネムリの様子に違和感を感じたハーンはネムリに駆け寄る。
ハーン「なん…で?」
ハーンの顔は絶望に染る。
成実「ハーン王子?」
ヴァイツ「はーあ、これでやっと俺の役目も終わりかな。」
ヴァイツが大きな声で愚痴を漏らした。
ヴァイツ「裏切り者には死を、当然だろ。」
ヴァイツが不敵に笑うと、つぎの瞬間、ヴァイツのお腹が膨れた。
ヴァイツ「ぅおおおおえ!!!」
ヴァイツの吐き出した泥のようなものは、ヴァイツ自身とシャリゼを包んだ。
スキャット「うぉっ!」
罠を警戒したスキャットは後ずさる。
2人を包んだ泥はそのまま地面に溶け込むように消えていき、2人がいた場所には跡形もなく、床だけがあった。
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