Proof

Yuki

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1章

黒の奔流

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 盛也をすんでのところで助けたのは、成実だった。成実はヴァイツを殴り飛ばす。
盛也「成実…?」
 しかし、盛也のもとに現れた成実は様子がおかしい。
成実「ああ、大丈夫だ。これは…多分。」
 戦闘体が解除された成実は、半袖シャツの姿で駆けつけたのだが、袖から見える腕には黒い紋様が浮かび上がっていた。
ヴァイツ「戦闘体にエネルギーのほとんどを使うはず。戦闘体でなくなったお前に、なぜそんなにエネルギーが溢れている。」
成実「そんなの、俺が知りたいよ。」
 成実は、殴り飛ばしたヴァイツに向かって飛びかかる。
 ヴァイツに接近したとき、近くの瓦礫が動いた。
盛也「成実!!」
 盛也が危険を知らせた時には既に遅かった。
 瓦礫から飛び出たフードを被った魔族は、成実に触れる。次の瞬間、成実はビー玉程の大きさの玉になった。
盛也「…は?」
ヴァイツ「楽しい戦いだったが、仕方ない。本来なら、不意打ちしたこいつの首を今ごろ飛ばしてるが、任務なんでね。」
 フード付きが成実ビー玉を手中に収める。
盛也「おい!」
 盛也が駆け寄ろうとするが、立ち上がる体力もない。
【緊急!伊沖隊長の反応が消失!フード付きに遭遇し、ビー玉のようなものに変えられたと報告あり!】
 盛也がみた情報が隊員に共有される。
 ヴァイツが盛也にトドメを刺そうと、立ち上がりかけたとき、ヴァイツとフード付きの周辺に銃弾が降り注いだ。
フード付き「ぐっ!」
 シールドの展開が間に合わず、フード付きの右ひじが弾丸を受け、肘から先が離れる。
???「俺達も任務なんでね。不意打ち卑怯なんて言わないでくれよ。」
 銃弾が降ったあとの土煙に紛れて、ヴァイツとフード付きの耳に声が届く。
フード付き「近くにいる!」
 フード付きは声がした方に手を伸ばすが、何にも触れない。
???「悪いな。後ろなんだ。」
 声の主は、フード付きの左腕を切りつけた。フード付きの左腕も無くなる。そのまま背中を蹴りつけ、土煙から強引に外へ出す。
 外で待ち構えていた男がフード付きを掴み、地面にねじ伏せる。
盛也「高時たかとき先輩…。」
高時「この腕がビー玉にしてんのか?」
 フード付きを捕まえたのは、茂庭しげにわ隊、原田はらだ 高時たかとき。成実らと同じ、伊達軍の隊員だ。
 高時が手にした、切られたフード付きの左手を見ると、不思議な軍手をしている。
高時「これでビー玉の大きさになれば、抵抗もされないし大量に拉致することも可能になるわけか。岩橋隊も恐らく…。」

 そのころ、フード付きと交戦した直江影達は、魔族らの狙いを共有した。
【フード付きはこちらのレーダーをかいくぐる。存在に気づけなくなる。そして、両手に付けている軍手は人間をビー玉サイズにする。抵抗もできず、それを持って魔界に行くだけで拉致したことになる。岩橋隊を攫ったうちの1人を今、討伐した。このビー玉が戻せるか、本部に確認してもらう。】

高時『てことは、このビー玉が成実で、本部に運ばなければいけないのか。』
 高時は土煙から飛んできた、フード付きの右手から成実ビー玉を取り出す。
???『はいはい!私が持っていく!』
 飛び出してきたのは同じ茂庭隊、白石しらいし 奈実なみ
奈実『その右腕落としたのも私だし。』
高時『わかったよ。とりあえず、盛也たちも連れて茂庭隊で行け。俺と隊長も後を追う。』
 高時は成実ビー玉を奈実に渡した。
奈実『了解♡はぁぁ♡成実くん…』
高時『こんな姿でも興奮できるのか…お前。……舐めたりするなよ?』
奈実『失礼ね、成実くんから好きって言われてもないのに、その…き、…き…キス…なんて…できるわけないでしょ!なんだと思ってるのよ!』
 奈実は成実ビー玉を持って、盛也に駆け寄り戦線離脱する。
高時「何って…変態だろ…。」
 高時はフード付きにトドメを刺す。
 茂庭隊長が、飛び退いて高時の元まで来る。
高時『んで?つなさん、硬かった?』
綱『ああ。成実たちの通信の通りだ。俺が撹乱できたところで、刃が通らない。こっちの方が消耗が激しくなる。奈実たちの撤退に加勢する。』
高時『了解です。』
 高時らは撤退を始める。ヴァイツが追ってくるが、時折、見当違いな方向に突き進む。
高時『にしても、さっきの成実のエネルギー反応、なんなんでしょうね』
綱『そうだな。ありゃあ、…魔族、の反応だったな…。』
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