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2章
出会い
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その後、平行線を辿る伊沖成実の処罰問題は、政府機関へと判断を仰ぐことになる。
その間の拘留は首都でするため、成実は拘束状態で列車に乗せられ、首都へと向かう。
護送には、森野総司令を始め、織田軍隊長、織田軍の隊員が列車を貸し切り、務める。
森野『織田軍が彼を護送するなら、何も勘ぐる必要はあるまい。』
という森野総司令の案で、織田軍が護送に就く事が決まった。
~時は1度、20年前に遡る~
ある民家で物騒な物音がする。
魔族「オラァ!まだ立てんだろ?!」
父「がふっ!はぁ…はぁ…誰の差し金だ…」
父親は血を吐きながら、片膝をついて踏ん張る。傍らでは母親が腹部から血を流して倒れている。
魔族「あ?言わせてみろよ!」
魔族は持っている槍のようなもので父親の腹部を突く。
父「ぐはっ!」
魔族「そろそろ終わりだな。さぁて、後は息子がいたはずだが…」
息子はクローゼットに隠れていた。何があってもクローゼットに隠れておけ、という父親の言いつけを守り、クローゼットの中にあったものを握りしめて黙り込んでいた。
魔族は家探しを始め、ついにクローゼットに手をかける。
森野「これは…お前がやったのか?」
魔族出現の知らせを受け、森野が駆けつけた。
しかし、現場に魔族の気配はなく、炎上している一軒家があるだけだった。
燃え上がる家を黙って見つめる少年がうなずく。
少年「父さんも…母さんも…あの変なやつに刺されたんだ…。言われた通り、黙って待ってるしかなかったんだ…。」
森野「…すまない。間に合わなくて…。」
少年「気づいたら、この刀が…燃えてたんだ。そして…あっという間に…」
少年が刀を強く握りしめる。泣いているのだろうか、身体を震わせる。
少年「僕が…変なやつも…父さんも母さんも…殺したんだ…。この刀で…。まだ生きてたかもしれないのに…。全部…燃やしてしまった…。」
森野「…そうか。必死だったんだな。お前は悪くない。お前を襲った魔族が悪い。お前は必死に、守ろうとしただけだろ。」
森野は少年の刀をそっと握り、少年から離した。
森野「この刀は力をもっている。両親の願い通り、魔族からお前を守ってくれたんだよ。」
少年「…でも…」
森野「そうだな、全部燃えてしまったのは悔しいな…。なぁ、どうだ?俺たちと一緒に力をつけないか?」
少年「…え?」
森野「俺たちの組織は、魔族に抵抗できるように闘ってる。といっても、まだ小さな組織だが。魔族との戦い方も、この刀の正しい力の使い方も、俺たちと鍛えないか?」
少年は黙ってうなずいた。
少年が連れてこられたのは小さなアパートだった。
玄関を入ると突き当たりにリビングルームがあった。
森野「ここが共有スペースだ。今は、全部で6人だが。」
???「森野さん、遅いよ…。あれ?」
森野と少年の背後の入口から、目つきの悪い少年が入ってきた。
森野「すまん、正史。この子は、襲撃先の子だ。1人だけ生き残ったんだ。同い年くらいだろう?仲良くしてくれ。」
正史「へぇ。俺は伊達 正史。歳は?」
少年「織田…良長。11歳…。」
正史「ぴったり同い年か。強いのか?」
良長「ぜ、ぜんぜん…」
正史「ふん。ま、死なないようにな。森野さん、もう寝るぜ。」
森野「もっと愛想良くしろ。おやすみ。さて、良長くん、部屋を案内しようか。」
その間の拘留は首都でするため、成実は拘束状態で列車に乗せられ、首都へと向かう。
護送には、森野総司令を始め、織田軍隊長、織田軍の隊員が列車を貸し切り、務める。
森野『織田軍が彼を護送するなら、何も勘ぐる必要はあるまい。』
という森野総司令の案で、織田軍が護送に就く事が決まった。
~時は1度、20年前に遡る~
ある民家で物騒な物音がする。
魔族「オラァ!まだ立てんだろ?!」
父「がふっ!はぁ…はぁ…誰の差し金だ…」
父親は血を吐きながら、片膝をついて踏ん張る。傍らでは母親が腹部から血を流して倒れている。
魔族「あ?言わせてみろよ!」
魔族は持っている槍のようなもので父親の腹部を突く。
父「ぐはっ!」
魔族「そろそろ終わりだな。さぁて、後は息子がいたはずだが…」
息子はクローゼットに隠れていた。何があってもクローゼットに隠れておけ、という父親の言いつけを守り、クローゼットの中にあったものを握りしめて黙り込んでいた。
魔族は家探しを始め、ついにクローゼットに手をかける。
森野「これは…お前がやったのか?」
魔族出現の知らせを受け、森野が駆けつけた。
しかし、現場に魔族の気配はなく、炎上している一軒家があるだけだった。
燃え上がる家を黙って見つめる少年がうなずく。
少年「父さんも…母さんも…あの変なやつに刺されたんだ…。言われた通り、黙って待ってるしかなかったんだ…。」
森野「…すまない。間に合わなくて…。」
少年「気づいたら、この刀が…燃えてたんだ。そして…あっという間に…」
少年が刀を強く握りしめる。泣いているのだろうか、身体を震わせる。
少年「僕が…変なやつも…父さんも母さんも…殺したんだ…。この刀で…。まだ生きてたかもしれないのに…。全部…燃やしてしまった…。」
森野「…そうか。必死だったんだな。お前は悪くない。お前を襲った魔族が悪い。お前は必死に、守ろうとしただけだろ。」
森野は少年の刀をそっと握り、少年から離した。
森野「この刀は力をもっている。両親の願い通り、魔族からお前を守ってくれたんだよ。」
少年「…でも…」
森野「そうだな、全部燃えてしまったのは悔しいな…。なぁ、どうだ?俺たちと一緒に力をつけないか?」
少年「…え?」
森野「俺たちの組織は、魔族に抵抗できるように闘ってる。といっても、まだ小さな組織だが。魔族との戦い方も、この刀の正しい力の使い方も、俺たちと鍛えないか?」
少年は黙ってうなずいた。
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正史「ぴったり同い年か。強いのか?」
良長「ぜ、ぜんぜん…」
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