Proof

Yuki

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2章

戦の記憶

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 時は15年前、来率市を含む海戸府かいとふにて魔族との大防衛戦があった。魔界の国2つが連合を組み、人間界に攻めてきた。1週間にわたって続いたそれは、森野率いる旧エヴィデンスの前身である組織が相手を務め、防衛を果たした。

正史「ザキさんまでやられた。相討ちらしい。」
良長「あとはここのヤツらだけか。生き残りも…」
正史「ああ。こっちだけだな。」
良長「正史…。悪いが、俺は魔族を殲滅するまで死ねない。足がなくなっても手がなくなっても、首を切られてもこいつらは倒す。」
正史「なにを弱音言ってんだ?おまえだろ?俺ら2人を最強コンビとして売り込み始めたのは。責任とれよ。」
 良長と正史は背中合わせで囲まれている。敵との間合いとタイミングを測っている。
良長「とにかく、あっちに突破する。森野さんの方が決着ついてなくても、合流しない限り道はない。」
正史「残りのエネルギーは全部アレに使う。」
良長「…わかった。」
 良長の正面にいた魔族が痺れを切らして踏み込んだ。
 良長はタイミングを合わせ、カウンターの一撃をくわえ、胴を両断する。隙ができた良長の左側を正史がカバーする。
 そのまま抜群のコンビネーションで、後ろをかえりみず突き進む。4~5人ずつ切り抜けた先で、囲みを抜ける。
 囲みをぬけた2人は振り返り、剣を魔族の集団に背中合わせで向けた。
正史「いけ」
良長「燃やせ!薬研やっけん!」
 良長の鋒から炎が広がる。突如、2人の後ろから突風が吹き、その炎は急拡大して魔族を包む。
???「こんな威力がだせるのか?!」
???「こんなにエネルギーを?うわっ!」
 炎の勢いはどんどん増し、魔族を次々と戦闘不能に追い込む。
 エネルギーを使い果たした2人は、その場に座り込んだ。
良長「はぁ…はぁ…。燃え尽きろ。」
 しかし、炎の中から1人の影が突き進んできた。
???「ぉおおお!俺は火に強い!油断したな!」
正史「…っく!」
 もう2人には立ち上がる力も受け止める力もなかった。
 炎から飛び出た魔族が刀を振り上げる。
「2人とも、よく頑張った。」
 良長と正史の肩に手が置かれた。
良長「森野さん…」
 2人が森野の顔を見上げたときには、魔族の体は真っ二つになっていた。
正史「やっぱ、三日月国近は速いですね…。」
森野「バーカ。俺の剣速あってのものだ。これで、防衛達成だな。」
良長「森野さん…あいつを1人でやったんですか?」
森野「いや、速水が来てくれた。ただ…助けられなかった。」
良長「速水さんまで…。こっちも…俺らだけです…。」
森野「…そうか…。残りは7人だけか…。」

 海戸府防衛戦では、旧エヴィデンスに多数の死者を出した。
 しかし、一般市民への被害は軽傷に留まった。さらには、旧エヴィデンス隊員は総勢20名で約3000の魔族を相手取り、防衛を果たした。
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