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2章
強くなりたい
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魔界には数十を超える国が存在する。そのほとんどが敵対しており、他国を侵略する隙を伺っている。
その多数の国のうち、3つの国の戦力が飛び抜けている。『アイルド』、『アレストラ』、『クルセリノ』の3つは、3大国として均衡を保っている。その他の小国も、大半は3大国の属国に入っている。
その3大国のうちの1つ『アレストラ』は、他の2国に比べて強大である。しかし、魔族の中で比較的温和な文化のため、他国と均衡を保っている。
その『アリストラ』の文化ゆえか、エヴィデンスは『アリストラ』と同盟関係にある。
森野「『アリストラ』の王が交代するとの報せがはいった。エヴィデンス側からの大使として、伊沖隊を向かわせる。」
成実「了解しました。俺の生まれた国…」
森野「そうだ。お前にしかわからないことが、あるかもしれない。」
成実「失礼します。」
成実は一礼をし、退室した。
成実(父の祖国…俺が生まれた地か。)
遥「いた!成実!」
廊下の奥から、遥が手を挙げて近づいてくる。
成実「遥?俺を探してたのか?」
遥「そうよ。次の任務、私たち柿崎隊と一緒じゃない。」
成実「そうなのか?!」
遥「え?聞いてないの?柿崎隊は、私が入る前だけど『アレストラ』に行ったことがあるし、伊沖隊と連携も取りやすいから任命されたの。」
成実「たしかに、俺らだけじゃ無理だな。」
遥「国王の任命式への出席と、成実の調査補助が任務だって聞いたから、どんなことなのかなって聞きに来たの。」
成実「ああ。そういうことか。それがな…」
成実は遥に、森野から聞いた親の事情を話した。
遥「そんなこと…。だからエヴィデンスの保護下で育ったのね。いいなぁ。」
成実「なにがだ?」
遥「特別な力があるってことじゃない。私も強くなりたいよ…。」
そう言った遥は、珍しく物憂げな顔をしていた。
成実「俺に勝ち越してるじゃんか。」
遥「それでもさ…。この前の防衛任務じゃ私は手も足も出なかった。」
成実「俺たちはまだまだこれからだってことだろ。」
遥「わかってる。これからもたくさん特訓して、さらに強くなってやる。でもいつか、限界が来るんじゃないかって思うんだ。どれだけ特訓しても、勝てないようなやつがいる…」
成実「そりゃあな。戦法とか能力に相性もあるし。だから組織で動くんだろ。」
遥「…そうだけど…。」
成実は腑に落ちない遥が気になりつつも、一緒に強くなるしかないという結論で、訓練室へ向かった。
謎の男「だめだ!あの娘を魔界に連れて行ってはいけない!」
織田「へぇ。お前たちは何をそんなに恐れているんだ。」
織田は薄暗い部屋で、拘束された男と向き合っている。
謎の男「それは言えない!だがダメなんだ!」
織田は刀を振った。拘束された男に向かって炎が走る。
謎の男「あっっ!」
織田「熱い程度で済ませているうちにペラペラ話せ。溶かすほどの温度を出したくないんだ。」
謎の男「と、とにかく、あの娘を魔界に連れて行ってはダメなんだ!目覚めてしまう!」
織田「それしか言わねぇな。お前ら、変な組織がエヴィデンスや俺たち【アルイコール】に働きかけてるのは知ってる。その目的が、目覚めさせないことってわけか?」
謎の男「そうなんだ!だから、エヴィデンスを襲撃して魔界に行くのは別の隊にさせるように…ああっ!!」
織田は再び男の身体を焼いた。
織田「襲撃なんてリスク、目的もわからないことのために冒せるか。話せ。なにが目覚めるんだ。」
謎の男「い、言えない!ともかく、魔界の戦力が上がるか、エヴィデンスの戦力があがるか、どちらにしろあんたらに不利なんだ!」
織田「娘ひとりが魔界に行くだけで、そんなに勢力図が変わるのか。」
謎の男「そうだ!人間側の勢力になったとしても、地球を滅ぼしかねない!やめさせろ!」
織田「まったく、話の要領が悪いやつだ。その娘を魔界に行く前に殺したらどうなる?」
謎の男「やめろ!せっかく掴んだ居所だ!その娘が死ねば、別の人間に憑依することになる!誰に憑依したか分からないなんてことになれば、さらに最悪だ!」
織田「注文の多いやつめ。肝心なことは1つも言わないくせに。」
織田が質問を投げようと口を開いたとき、織田の背後から現れた男が謎の男の心臓を刀で一突きにした。
【アルイコール】の男「なら簡単だ。その女を捕え、懐柔して我々の戦力とすればいい。」
謎の男「ふ…ふふふ…そんなことが…ごふっ!できたらな…。はは…ははは!『黒揚羽』万歳!!」
謎の男は高らかに吠えて息絶えた。
織田「結局たいしたことは分からなかったな。」
【アルイコール】の男「単純明快だ。加地 遥、その女を捕らえればいい。そしたら何かわかるだろう」
ヴァイツ「それで?計画は順調か?」
アンパート「そうだなぁ。レーダーに感知されないジャケット、エネルギー体を極小化するグローブ、実地試験は上々だ。」
ヴァイツ「そうかよ。お前の発明が役に立つわけか。それで?俺達が時間稼いで捕らえた人間たちはどんな感じだ?今回の捕虜は、エネルギー供給をさせるわけじゃないんだろ?」
アンパート「そうさ。それもいい感じだよ。」
ヴァイツ「なら、また戦えるのか。見てろよ、『アレストラ』」
その多数の国のうち、3つの国の戦力が飛び抜けている。『アイルド』、『アレストラ』、『クルセリノ』の3つは、3大国として均衡を保っている。その他の小国も、大半は3大国の属国に入っている。
その3大国のうちの1つ『アレストラ』は、他の2国に比べて強大である。しかし、魔族の中で比較的温和な文化のため、他国と均衡を保っている。
その『アリストラ』の文化ゆえか、エヴィデンスは『アリストラ』と同盟関係にある。
森野「『アリストラ』の王が交代するとの報せがはいった。エヴィデンス側からの大使として、伊沖隊を向かわせる。」
成実「了解しました。俺の生まれた国…」
森野「そうだ。お前にしかわからないことが、あるかもしれない。」
成実「失礼します。」
成実は一礼をし、退室した。
成実(父の祖国…俺が生まれた地か。)
遥「いた!成実!」
廊下の奥から、遥が手を挙げて近づいてくる。
成実「遥?俺を探してたのか?」
遥「そうよ。次の任務、私たち柿崎隊と一緒じゃない。」
成実「そうなのか?!」
遥「え?聞いてないの?柿崎隊は、私が入る前だけど『アレストラ』に行ったことがあるし、伊沖隊と連携も取りやすいから任命されたの。」
成実「たしかに、俺らだけじゃ無理だな。」
遥「国王の任命式への出席と、成実の調査補助が任務だって聞いたから、どんなことなのかなって聞きに来たの。」
成実「ああ。そういうことか。それがな…」
成実は遥に、森野から聞いた親の事情を話した。
遥「そんなこと…。だからエヴィデンスの保護下で育ったのね。いいなぁ。」
成実「なにがだ?」
遥「特別な力があるってことじゃない。私も強くなりたいよ…。」
そう言った遥は、珍しく物憂げな顔をしていた。
成実「俺に勝ち越してるじゃんか。」
遥「それでもさ…。この前の防衛任務じゃ私は手も足も出なかった。」
成実「俺たちはまだまだこれからだってことだろ。」
遥「わかってる。これからもたくさん特訓して、さらに強くなってやる。でもいつか、限界が来るんじゃないかって思うんだ。どれだけ特訓しても、勝てないようなやつがいる…」
成実「そりゃあな。戦法とか能力に相性もあるし。だから組織で動くんだろ。」
遥「…そうだけど…。」
成実は腑に落ちない遥が気になりつつも、一緒に強くなるしかないという結論で、訓練室へ向かった。
謎の男「だめだ!あの娘を魔界に連れて行ってはいけない!」
織田「へぇ。お前たちは何をそんなに恐れているんだ。」
織田は薄暗い部屋で、拘束された男と向き合っている。
謎の男「それは言えない!だがダメなんだ!」
織田は刀を振った。拘束された男に向かって炎が走る。
謎の男「あっっ!」
織田「熱い程度で済ませているうちにペラペラ話せ。溶かすほどの温度を出したくないんだ。」
謎の男「と、とにかく、あの娘を魔界に連れて行ってはダメなんだ!目覚めてしまう!」
織田「それしか言わねぇな。お前ら、変な組織がエヴィデンスや俺たち【アルイコール】に働きかけてるのは知ってる。その目的が、目覚めさせないことってわけか?」
謎の男「そうなんだ!だから、エヴィデンスを襲撃して魔界に行くのは別の隊にさせるように…ああっ!!」
織田は再び男の身体を焼いた。
織田「襲撃なんてリスク、目的もわからないことのために冒せるか。話せ。なにが目覚めるんだ。」
謎の男「い、言えない!ともかく、魔界の戦力が上がるか、エヴィデンスの戦力があがるか、どちらにしろあんたらに不利なんだ!」
織田「娘ひとりが魔界に行くだけで、そんなに勢力図が変わるのか。」
謎の男「そうだ!人間側の勢力になったとしても、地球を滅ぼしかねない!やめさせろ!」
織田「まったく、話の要領が悪いやつだ。その娘を魔界に行く前に殺したらどうなる?」
謎の男「やめろ!せっかく掴んだ居所だ!その娘が死ねば、別の人間に憑依することになる!誰に憑依したか分からないなんてことになれば、さらに最悪だ!」
織田「注文の多いやつめ。肝心なことは1つも言わないくせに。」
織田が質問を投げようと口を開いたとき、織田の背後から現れた男が謎の男の心臓を刀で一突きにした。
【アルイコール】の男「なら簡単だ。その女を捕え、懐柔して我々の戦力とすればいい。」
謎の男「ふ…ふふふ…そんなことが…ごふっ!できたらな…。はは…ははは!『黒揚羽』万歳!!」
謎の男は高らかに吠えて息絶えた。
織田「結局たいしたことは分からなかったな。」
【アルイコール】の男「単純明快だ。加地 遥、その女を捕らえればいい。そしたら何かわかるだろう」
ヴァイツ「それで?計画は順調か?」
アンパート「そうだなぁ。レーダーに感知されないジャケット、エネルギー体を極小化するグローブ、実地試験は上々だ。」
ヴァイツ「そうかよ。お前の発明が役に立つわけか。それで?俺達が時間稼いで捕らえた人間たちはどんな感じだ?今回の捕虜は、エネルギー供給をさせるわけじゃないんだろ?」
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