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2章 「小川 真季」
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【他人の喜怒哀楽が見える能力者。髙野 遥希の覚醒実験時に、黒尾の手駒となる。その欲望から館に残ることに執着するも、欲望と友情の狭間で脱出を決意し、覚醒実験を終える。館での経験値は身体には影響せず、記憶にのみ残るため、黒尾を追い求めると思われる。】
SCCコーポレーション 報告書(夏目 真季)より一部抜粋。
真季の両親は教師である。小さな頃から勉強と友達の大切さを教えられて育った。どちらも将来、役に立つと。そして真季の将来の夢に反対したことは一度も無かった。将来は自分で掴むものだ、進路選択は自分のためにするものだ、と。そのための協力は惜しまなかった。世間一般では理想とされる親の姿だろう。事実、真季は親を慕い、尊敬し、大好きであった。しかし、親の職業が跡を継ぐ職業ではないこと、親が与えた将来の自由は真季にとって広すぎた。親は、子どものプレッシャーや進路の幅を狭めると考え、職業を勧めるようなことはほとんどしなかった。真季が迷うに足る環境だった。真面目に生きてきた真季にとって、迷っている自分が耐えられなかった。足元のおぼつかない現状がたまらなく不安だった。そして周囲の友達は少しづつ進路を口にする。ある程度のことを人並み以上にこなしてきた真季にとって、周囲に遅れをとっていると感じる環境が不安を加速させる。
その不安の中、館での生活は真季に安らぎを与えた。迷うことなどひとつもなかった。真季にとって優しい環境であった。
そして館での生活に必要なものを黒尾に出してもらうために部屋を訪ねるたびに、次第に飼い慣らされていった。黒尾の「もしも」の能力では、感情までは操れない。黒尾は少しづつ、真季の体に「もしも」を与え、真季の気持ちが従順になるようにコントロールした。
その真季の恋慕もしくは主従関係の感情は現実世界まで持ち込まれる。その気持ちが真季の運命を狂わせていく。それが良い渦なのか、悪い渦なのか…
SCCコーポレーション 報告書(夏目 真季)より一部抜粋。
真季の両親は教師である。小さな頃から勉強と友達の大切さを教えられて育った。どちらも将来、役に立つと。そして真季の将来の夢に反対したことは一度も無かった。将来は自分で掴むものだ、進路選択は自分のためにするものだ、と。そのための協力は惜しまなかった。世間一般では理想とされる親の姿だろう。事実、真季は親を慕い、尊敬し、大好きであった。しかし、親の職業が跡を継ぐ職業ではないこと、親が与えた将来の自由は真季にとって広すぎた。親は、子どものプレッシャーや進路の幅を狭めると考え、職業を勧めるようなことはほとんどしなかった。真季が迷うに足る環境だった。真面目に生きてきた真季にとって、迷っている自分が耐えられなかった。足元のおぼつかない現状がたまらなく不安だった。そして周囲の友達は少しづつ進路を口にする。ある程度のことを人並み以上にこなしてきた真季にとって、周囲に遅れをとっていると感じる環境が不安を加速させる。
その不安の中、館での生活は真季に安らぎを与えた。迷うことなどひとつもなかった。真季にとって優しい環境であった。
そして館での生活に必要なものを黒尾に出してもらうために部屋を訪ねるたびに、次第に飼い慣らされていった。黒尾の「もしも」の能力では、感情までは操れない。黒尾は少しづつ、真季の体に「もしも」を与え、真季の気持ちが従順になるようにコントロールした。
その真季の恋慕もしくは主従関係の感情は現実世界まで持ち込まれる。その気持ちが真季の運命を狂わせていく。それが良い渦なのか、悪い渦なのか…
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