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3章 「碓見 千穂」
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【風紀違反の服装3名、風紀違反の行動8名、不純異性交遊1名。巡回が効果を発揮している。やはり、普通クラスの素行が悪い。次年度からは監視、点検の取り組みの強化が必要かもしれない。】
風紀委員長 碓見千穂の引き継ぎ資料より一部抜粋。
千穂は警察官の父親のもとで育った。正義感の強さと、それを実行できる父の心身の強さが好きだった。そして幼稚園の年中の時に、聡太と出会う。家が近所ということもあり、母親同士が仲良くなり、家族ぐるみの付き合いも増えた。千穂ら2人が年長に上がった時、事件は起こった。聡太の父が務める銀行に強盗が押し入り、立て籠った。そして、その場に居合わせ、人質となったのが千穂と聡太の母親。強盗は大勢の人質の中から聡太の母親を選び、嫌がらせのような命令を始める。その行動に腹をたて、我を忘れた聡太の父が強盗に飛びかかり、射殺される。泣き喚き、夫の亡骸に駆け寄る聡太の母の姿は強盗の気分を逆撫でし、夫の遺体の上で銃弾を打ち込まれる。その現実に耐えかね、千穂の母が立ちあがろうとした時、背後にいた人質が母を抑える。人質の中にも仲間がいた。次の瞬間、銃声が響き、母を抑えていた男の肩が赤く染まる。警官の突入が始まった。警官の先頭を切っていたのは千穂の父。そして、人質の先頭にいる妻を見つけ、一瞬、我を忘れ、盾の構えが緩む。次の瞬間には、激情した犯人2人によって千穂の両親は同時に撃ち抜かれていた。
それから千穂はさらにルールに固執するようになった。ルールを守らない人を毛嫌いするようになった。人の死に直面したのは幼稚園を卒園する頃に、病気で唯一の身寄りであった祖父が亡くなった。その瞬間に、千穂は気づかないところで能力に目覚める。
それからSCCの孤児院に入り、聡太と同じであることに少し喜びを覚えた。その気持ちを少しずつ恋心に変えながら小学校生活を終える。
中学校に上がった時、聡太に好きな女の子のタイプを聞くと、真面目な女の子と言われ、千穂の真面目さは加速する。宿題、発表、勉強、身だしなみ、全てをコツコツとこなしていく。そして廊下を走ったり、身だしなみを崩す生徒に注意して回る。生徒会役員に立候補した時、自分の真面目は人に受け入れられないことを知った。
高校に上がり、風紀委員として活動を始める。風紀委員のメンバーは似たような人物も多く、居心地が良かった。中学生の時に感じた疎外感もほとんどなかった。1年の時の委員長は千穂から見て素晴らしい人だった。カリスマ性を持ち、人に納得させることを最優先してルールを定着させていった。その姿に憧れ、千穂の真面目は少しずつ形を変えていく。
これは本編の少し先の話になるが、その委員長は卒業する時、千穂に言葉を残す。
「先輩!私は先輩の姿に憧れました。人もルールも大切にできる素晴らしい姿でした。私はまだまだ未熟だなと思うばかりでした。もっと、人にわかってもらうために努力をつん…いたっ」
委員長は泣きながら先輩への憧れを口にする千穂の頭にチョップを入れる。
「千穂、送辞受け取ったぞ。これは私からの答辞だ。人と人は分かり合えない。人の分だけ気持ちが、考え方がある。だから同じルールでも人の数だけ意味がある。だから押し付けるもんじゃない。守らせるものじゃない。私にとって、人のために行動したらたまたまルールに書いてあっただけ、くらいがちょうどいい。なんのために真面目であるか、考えてみな。少なくとも私は、人と真面目に向き合いたくて、人と人が真面目に向き合って欲しくて風紀委員長になった。私みたいな適当なやつの後を追うな。千穂は千穂の真面目を見つけてみろ。」
風紀委員長 碓見千穂の引き継ぎ資料より一部抜粋。
千穂は警察官の父親のもとで育った。正義感の強さと、それを実行できる父の心身の強さが好きだった。そして幼稚園の年中の時に、聡太と出会う。家が近所ということもあり、母親同士が仲良くなり、家族ぐるみの付き合いも増えた。千穂ら2人が年長に上がった時、事件は起こった。聡太の父が務める銀行に強盗が押し入り、立て籠った。そして、その場に居合わせ、人質となったのが千穂と聡太の母親。強盗は大勢の人質の中から聡太の母親を選び、嫌がらせのような命令を始める。その行動に腹をたて、我を忘れた聡太の父が強盗に飛びかかり、射殺される。泣き喚き、夫の亡骸に駆け寄る聡太の母の姿は強盗の気分を逆撫でし、夫の遺体の上で銃弾を打ち込まれる。その現実に耐えかね、千穂の母が立ちあがろうとした時、背後にいた人質が母を抑える。人質の中にも仲間がいた。次の瞬間、銃声が響き、母を抑えていた男の肩が赤く染まる。警官の突入が始まった。警官の先頭を切っていたのは千穂の父。そして、人質の先頭にいる妻を見つけ、一瞬、我を忘れ、盾の構えが緩む。次の瞬間には、激情した犯人2人によって千穂の両親は同時に撃ち抜かれていた。
それから千穂はさらにルールに固執するようになった。ルールを守らない人を毛嫌いするようになった。人の死に直面したのは幼稚園を卒園する頃に、病気で唯一の身寄りであった祖父が亡くなった。その瞬間に、千穂は気づかないところで能力に目覚める。
それからSCCの孤児院に入り、聡太と同じであることに少し喜びを覚えた。その気持ちを少しずつ恋心に変えながら小学校生活を終える。
中学校に上がった時、聡太に好きな女の子のタイプを聞くと、真面目な女の子と言われ、千穂の真面目さは加速する。宿題、発表、勉強、身だしなみ、全てをコツコツとこなしていく。そして廊下を走ったり、身だしなみを崩す生徒に注意して回る。生徒会役員に立候補した時、自分の真面目は人に受け入れられないことを知った。
高校に上がり、風紀委員として活動を始める。風紀委員のメンバーは似たような人物も多く、居心地が良かった。中学生の時に感じた疎外感もほとんどなかった。1年の時の委員長は千穂から見て素晴らしい人だった。カリスマ性を持ち、人に納得させることを最優先してルールを定着させていった。その姿に憧れ、千穂の真面目は少しずつ形を変えていく。
これは本編の少し先の話になるが、その委員長は卒業する時、千穂に言葉を残す。
「先輩!私は先輩の姿に憧れました。人もルールも大切にできる素晴らしい姿でした。私はまだまだ未熟だなと思うばかりでした。もっと、人にわかってもらうために努力をつん…いたっ」
委員長は泣きながら先輩への憧れを口にする千穂の頭にチョップを入れる。
「千穂、送辞受け取ったぞ。これは私からの答辞だ。人と人は分かり合えない。人の分だけ気持ちが、考え方がある。だから同じルールでも人の数だけ意味がある。だから押し付けるもんじゃない。守らせるものじゃない。私にとって、人のために行動したらたまたまルールに書いてあっただけ、くらいがちょうどいい。なんのために真面目であるか、考えてみな。少なくとも私は、人と真面目に向き合いたくて、人と人が真面目に向き合って欲しくて風紀委員長になった。私みたいな適当なやつの後を追うな。千穂は千穂の真面目を見つけてみろ。」
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