6歳で死んでしまう少女は 精霊さんと共に生き延びる。

マキマキ

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蝗害2ークロードー

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「何だ?この大きなバッタの大群は?!」

俺と、王太子殿下アルベルトは驚く。

フランから報告を受けて、
各所から第二と第三、第二十二以降の騎士団が集まる。


第二は戦闘用精鋭、第三は魔術、第二十二以降は平民が多く危険なとこに突っ込んでいく前線としての、役割だ。

第二十二以降の隊で功績を上げると、貴族の地位が手に入り、さらに別な隊へ移ることも可能だ。

騎士団でも、貴族と平民の扱いは違う。食べ物も違う。俺は入隊試験は公平なのだから、騎士団での配属、昇格も実力主義に変えるべきだと思う。

そして、食べるものは一律にすべきだとも思う。


バッタのこの毒毒しい色、この大群。間違いない。
海の向こうで大問題になった、大きなバッタの蝗害だ。瘴気にあてられて、巨大になった。

森の半分が食べられている。

たった数時間なのに。

大きくて、硬いため
剣で切っても逆に、襲い掛かられて
あの大きな顎で噛み切られ大怪我をする。

迂闊にその場に倒れ込もうものなら、群れで食べられる。

魔法で攻撃しようにも、大きく大群すぎて魔力が尽きてしまう。

よその国では、迂闊に火を放ち逆に火を持ったバッタが街を襲い大火事になった。

取り敢えず、進行方向にある街の人たちを避難させた。

何よりも、ヤバいのが
このまま行くと、歴史的禍根のある東の隣国ベルトランの国境に向かっていることだ。戦争になる。

比較的早く見つかって良かったが

何も対応しないまま放っておいたらまずい事になる。

ーーーーーーー
もう2週間も同じ状態だ。
取り敢えずその場で抑えることしか出来ない。

バッタの気持ち悪い遺体は
積み上がるばかりだ。
殺しても殺してもキリがない。



騎士団では謎の奇病がチラホラ出てきている。

風邪のような症状があり、数日後、体に赤い発疹がお腹や背中に出始める。

咳や呼吸困難を引き起こし最悪の場合死に至る者も出た。

何故か貴族の患者が多い傾向だ。

原因は不明。


王太子アルベルトは、
戦いながら
闇魔法で洗脳し取り敢えず先頭のバッタの方向を他国に行かないようにしているが、

もう魔力が限界にきている。

迂闊に攻撃出来ず、バッタをコッソリ網で捕まえて、動けないようにして、処分する騎士たちは大怪我を負いながら2匹片付けるのが、やっとだ。

大群すぎて、騎士たちの怪我が増えるだけで、あまり効果はない。

薬剤はバッタがデカすぎて全く効かなかった。

俺も氷魔法でフローズンにしているが、網で捕まえるよりは効果があるが、そろそろ魔力が尽きそうだ。


みんな、ボロボロだ。バッタに、噛みつかれて大怪我を負った者も多い。

先の見えない戦いに、戦意が失われかけている。


すると、緑の羽がハラリと舞う。



後ろの方で、地響きを立てて

ドッシーン、ドッシーンと
音が聞こえる。


何だ?何だ?

皆、騒ぎ出す。




すると、1匹のでっかいオオムに乗った
緑の髪のお下げをした変な格好の女子が降りてくる。


麦わら帽子を被り、タオルを肩からかけて服に突っ込んでいる。
網を片手に持ち、肩から虫籠と水筒をかけ、作業用のズボンをソックスにインしている。
白い長袖の服をきており、これも手袋の中にインしている。

そして、歩きやすそうな紐のついた靴を履いている。

簡単に言うと、肌が露出せず
白い服をきている。


走って来ながら、バッタのおびただしい死骸を見て、

「うぇっ!キモっ!えっと、あの人が偉い人ね。」

と言いながらこちらにくる。


そして、
後ろから大きなカエルが

ドッシーン
ドッシーンと

やって来て女の子の後ろで待機する。
そして女の子は、俺の顔を見たと思うと顔を伏せて、

「間違えました。」

と言いながら、
反対側を向いて走って帰ろうとする。

その女の子の襟ぐりを
逃さまいと、アルベルトが捕まえた。

女の子はジタバタと暴れているが、


俺はしゃがんで、顔を見ると
俺と同じ、紫の瞳をしていた。

「マリーベル?」と聞くと、
諦めて大人しくなり、プランとバタバタさせていた手足を止めた。

髪の毛は緑になってたから気が付かなかった。

マリーベルはシルビア夫人や俺と同じ、珍しいシルバーの髪だ。


マリーベルは俺に
「虫を退治できる方法を見つけたの。一緒に戦わせてほしくて来ました。」

と懇願するように言ってきた。

俺は、
「危ないから駄目だ。お前はまだ6歳だろ?!家に帰れ!邪魔だ。」

といった。


マリーベルは、泣き出しそうな顔をしてしゅんっとしてしまった。


アルベルトはマリーベルを離して
しゃがみ込んでマリーベルに目線を合わせて話す。

「まぁまぁ、そんなに怒るなよ。君がマリーベルちゃんかー。色々フランから報告は受けてるよ。

どうしてそんなカッコしてるのかな。後ろの大きなカエルは何かな。うん?なんかスッとするスッキリする匂いがする。」


マリーベルは、

「あっ!これは虫採りの格好です。
まず、虫刺され対策に長袖長ズボン。

草むらに入るため、ダニに刺されないようにするためです。

ダニに刺されて、迂闊に引っ張って取っちゃうと血液中に虫が持ってる小さなばい菌が入るの。

初めは、風邪みたいな症状だけど、赤い発疹がでる。最悪死んじゃうの。

治療は抗生物質で治療するの。

ダニのバイ菌は、沢山あって
刺されたら、ダニのお腹の中にいる
菌を入れないように気をつけながらとる。
食いついた頭が残らないようにとるのがポイント。

吸血時期が早ければ、ワセリンや塩や酢などを浸してポロって取れるけど、

吸血期間が長いと取れない事がある。
その時は医者に相談して取ってもらうの。


私は刺されたくないから、ダニ対策の服装とこのダニが嫌いな匂いのするレモングラスやローズマリーのハーブの精油の匂いを霧吹きでつけてるの。

それから蜂に襲われないように、白い服。黒だと熊と勘違いして襲われるの。

麦わら帽子で熱中症対策も忘れてないよ。
因みに、水筒の中はレモネードなの。

鞄の鈴は熊対策ね。

バッチリでしょ。

それから後ろの子は

ゴリアスガエルのゴリちゃんです。
食っちゃ寝してたら
ちょっと大きくなりすぎたんだって。
冬眠してたんだけど寝過ぎて
1000年も寝てしまってたらしい。
ポルカが寝過ぎだって言って、
叩き起こしたの。


国境沿いで虫を踏み潰して防いでくれるらしい。

バッタは不味いから食べないって言ってた。」


可愛らしいお友達を紹介するように、建物くらいあるカエルを紹介してくる。

騎士や冒険者、学者達、アルベルトもポカンとしている。

マリーベルは虫籠からガサガサと何か出してくる。小麦の葉先にショウリョウバッタがしがみついた物をアルベルトの顔の前に突き出す。

アルベルトは、露骨に嫌そうな顔をした。
気持ちは分かる。
もうバッタはしばらく見たくない。

緑色で生きているようだが、死んでる?ミイラ?

隣にいる緑の偉そうなでっかいオウムが精霊王なのだろう。説明してくれる。

「コレはバッタカビだ。これを感染させてあの大群を殺す。しかし、他の動植物にも影響があるか分からない。

恐らく、乾燥した地帯だから大丈夫だと思うが、エリアを特定し、散布する。

そして、そのエリアを除菌する作戦だ。

マリーベルが腐敗魔法で増やしたり減らしたりできるよう訓練した。

このカビに感染するとバッタは夕方にかけて、植物の高いところでしがみついて死ぬ。

そして、一気に他のバッタへ感染させる怖いものだ。

水魔法が使えるものは、ミストで霧を作ってほしい。

カビが生えやすい環境をつくるのだ。

この作戦はどうだ?」


アルベルトは興味を持ったようだ。

謎の奇病は、ダニによるものだった。
ダニ対策の為に直ぐに対策が取られた。

平民の隊に奇病が少なかったのは、
農家出身のものが多く、隊へ自主的に対策を促していたからだ。

彼らは、初めは恐縮していたが、快く知識や技術を惜しみなく提供してくれた。

そして、バッタカビを採用してみることにした。


意外なことに、アッサリ1週間後には跡形もなく片付いた。

マリーベルがカビを魔法で抑制し、元の状態にもどす。

魔術に特化した第三騎士団と共に、森を森の精霊王とマリーベルで元に戻している。バッタは土魔法で埋めマリーベルが契約していると言う聖虫達が分解してくれている。

全てが終わった後、おれはふと思う。
国境付近を守った蛙は、

この国の伝説のカエル。ゴリアテじゃないか?国を飢饉から救った大蛙の話が、建国記トワイライト書記に記されている。


王太子アルベルトは、このデッカいカエルゴリちゃんと意気投合したようで、

第二騎士団の騎士に俺に断りもなく、勝手に任命していた。

騎士団員も共に戦った仲間として認めており、アルベルトと共に歓喜している。

騎士団の定期的な魔物狩りも、以前は嫌がる者が多かったが、

「おい、そんな小さな魔物じゃ!ゴリちゃんはお腹いっぱいにならないだろ!あのデッカいの捕まえに行くぞ!かかれー!!」

自ら襲い行っている・・・。

今ではゴリちゃんの餌狩りとして皆気合いが入っている。

ゴリちゃんは、ゴリちゃんで騎士に認められ、クビに勲章をつけてもらって誇らしそうだ。

多分このカエルは、本来なら教会とかに祭り讃えられるようなカエルだ。こんな騎士団に居るような子じゃないんだけど。

ゴリちゃんは、しれっと隊列にならんで他の隊員と決まり顔で整列して、隊長の俺の指示をキラキラした目で待っている。

やりにくい。


























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