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次男-リバージュ バーミリオン-
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「貴方!私は本気よ!
この子を私達の子にするわ!」
ヒナが私の執務室に押しかけ、
書類を渡してきた。
ヒナは冷静さを失っているので、
ゆっくりゆっくりお茶を飲みながら話を聞く。
ヒナはアッシュ 元スノーホワイト伯爵の令息を息子にすると言い張っていた。
話を聞いて、私は正直
どうでもよかった。
よくある話だ。
安定した国や裕福な貴族では
見られないが、
国の情勢が悪化したり、
貧しい地域や
金遣いが荒い懐具合が良くない貴族では普通にあり得るのだ。
戦争になったりすれば、
親が、子を捨てることもあり得る。
まあ、ヒナが言うならそれでいい程度だった。
しかし、療養を経てやってきたアッシュに実際に会うと俺は考えを改めた。
ビクビクして、体調も悪そうだ。
暫くご飯もままならなかったのだろう。
6歳から7歳にしては細すぎる。
そして涙ながら、懇願するように、
「なんでもします。だから捨てないで。」
俺はこの言葉を聞いて、
俺は電気を受けたような衝撃だった。
俺自身もシルビア様に俺も同じ言葉を言ったことを思い出した。
目が覚めるような感覚だった。
俺は、悟った。
今度は俺が彼を幸せにするんだと。
俺は、息子のヒスイに連絡を取る。
ヒスイは反対したり嫌な顔をするかと思いきや、
「俺は、もう6年生だ。
だから大丈夫だ。
それに、父上、母上から沢山の愛情を注いで貰った。
俺の話をたくさん聞いて来れて、
俺のやりたい事を沢山させてくれた。
親のエゴだと気がついた時は、2人とも誤魔化さず謝って来れた。
俺を尊重して大切にしてくれた。
俺は俺でいる事が出来た。
俺は、父上や母上が別な子供にその愛情を向けても、
俺は父上、母上を信用している。
愛情が無くなったとは思わない。
だから、俺もその子の兄になれる。」
そう語ってくれた。
ヒナはその言葉を聞いて嬉し泣きで大泣きしてしまう。
しかし、桃橘國の着物と化粧をしたヒナの顔は、白粉が一部取れ、怖かったようで、ヒスイは真剣に、
「母上泣かないで!怖いから!」
慌てて言う姿に、俺は爆笑してしまう。
ヒナに睨まれてしまった・・・。
バーミリオン男爵家にやってきたアッシュは、友達も居るだろうという事で、早急に、再度第一王立学園に通う事になった。
それがいけなかった。
暫くして、ヒスイから連絡があった。
アッシュを心配して、様子を見ていたヒスイから、急ぎの連絡が届いた。
アッシュが学園で孤立している事を連絡してくれたのだ。
アッシュには、アッシュ自身を友人と思う友達は居なかったのだ。
彼らは、スノーホワイト伯爵令息の友人だったのだ。
「よるなよ。お前は平民だ。」
「友人?俺と?冗談はよせよ。」
「男爵の使用人だろ?」
「男爵の子供?ないない。だって、あそこにはとっても優秀な令息がいるからな。お前を引き取るメリットなんてないだろ。」
第一王立学園にも、差別しない子供達はいる。
しかし、スノーホワイト伯爵家の両親から、友人を選ぶことすらも介入されていたアッシュは、
階級や身分にステータスを感じる価値観を持った子供と友達だった為、身分を失ったアッシュは友を失っていた。
アッシュは、本来ならグループで行う魔法の課外授業を一人でやり、迷子になったのか学園に戻ってこなかった。
ヒスイから連絡があり、
私達も急いで捜索に向かう。
アッシュは本来のコースから大きく外れ、魔物に襲われていた。それをヒスイが食い止めた。
アッシュから話を聞くと、クラスメイトの悪口を聞きたく無いことから、あえてコースを外れた所をあるいてたらしい。
泣きながら謝る。アッシュをヒスイは手を握りながら、
「大丈夫だ。大丈夫だ。」
と話しかけ、
そんな2人をヒナは抱きしめた。
そういう事もあり、一旦学園は休学することになった。
アッシュはそれ以降、私達から距離を置くようになる。
不思議に思いながら、
とにかく、物理的に側に居させようとしたら、今度は自分は私のお付きの使用人だと盛大に勘違いしてしまったようだ。
俺とヒスイとヒナで話し合い、
アッシュに第二王立学園を提案すると、
アッシュは、
「言葉に従う。」という。
俺は
「言葉に従わなくてもいい。
お前の気持ちは?どうなんだ?」
と聞くと、
「わからない。
・・・。
僕はどうすればいいか分からない。
・・・。
今まで決めた事がなかった。
・・・。言われた事も無かった。
・・・・・。
今の学校は、辛い。
新しい学校は、行ってみたい。
でも、いじめてた子がいる。
本当は、ずっと謝りたかった。
でも
どうすればいいか分からない。」
俺は、
「まず学園に行ってみよう。
いじめてた事が気がかりなんだね。
謝ってダメだったらまたその時考えよう。」
そう言うと、
アッシュは目を潤ませた。
不安そうなので、
俺は、アッシュと謝り方を練習した。
すると、だいぶ落ち着いた。
アッシュは、学園に行き顔合わせをするとまず謝ったそうだ。
俺は、よく頑張ったと伝えた。
アッシュは少し笑った。
同級生の子達は、どうしようかと戸惑っている感じだったと言う。
私達も子供達が受けいれてくれるかどうか不安だった。
マリーベルちゃんがいるから、
大丈夫だと心で落ち着かせている自分がいた。
今までは別の教室で遅れを取り戻していたが、暫くすると教室で授業を受けることになる。
大丈夫かな?心配だ。
すると、
王都の別荘に滞在している所に、
アッシュのクラスになる子供達が訪ねてきたいと申し出がある。
俺は許可した。
「この度は・・・。」
「オッサン!俺は、アイツのこと気に入ったぜ!
皆んなの前で謝るなんてなかなか出来ないぜ!
皆んなで、歓迎会するんだ。だから手伝ってください!」
「おい!黙れ!テラー!失礼だぞ!
頼みをするのに、その言い方はなんだ!」
「そうよ!失礼よ!」
「予定と違う事しないで!」
「初めにジェフくんが、挨拶するっていってたよ。ヤバいよ。それは。」
ワイワイと小さな子供達が
応接間で言い合う姿は微笑ましかった。
冷静なバイオレット嬢が淡々と経緯と歓迎会の計画を伝えてくれた。
ヒナは計画を知り、
「人は捨てたもんじゃ無い!
えっ?全校生徒?なんで?
本当はクラスだけでやる予定だったのに
皆んな参加したいって?
収集がつかなくなってこうなった。
親御さんや近所の農場のおじさんまで・・・。
ありがとう!」
と言ってまた、嬉し泣きと大泣きをしている。
子供達は、ヒナの泣き顔を見て、恐れ慄いている。
「叔母さん怖い・・・。」
と呟いたテラー君を
フーちゃんと言う女の子が
ぶん殴る。
・・・。テラー君は思った事がすぐに声に出してしまうようだ。
早急に、涙で落ちない化粧品を開発しなければならないなと、俺は密かに思う。
子供達は度々相談にやってきた。
マリーベルチャンは何やらヒナとコソコソと話し
「花火?」
「やっちゃう?」
「やっちゃう?」
「大きいのは無理よ!」
「え~!じゃあ、小さいのでいいや。」
などと言っている。
最後には、
近所の農場おじさん達や
親御さん達もやって来て計画を立てる。
子供達は、
「だって、学校じゃバレるでしょ!」
ヒナは
「敵を欺くには内側から攻めるのが一番よ!」
などど、ヒナも子供達に混ざって楽しそうだ。
俺は、子供達から
歓迎会の会場にアッシュを呼んで来てくれと頼まれた。
アッシュを会場に連れて行くと、
アッシュは、
目を丸くして俺を見る。
俺は、
「大丈夫だ。」
そう言うと、
皆んなの方を見て、涙を堪えていた。
子供達の輪の中に入って行く
アッシュを見て、
俺は安心した。
楽しく子供達が食事をしている間に、
俺は、ヒナと花火を準備した。
打ち合わせの時に、
テラーくんが
「花火?!いいねー。
アイツは火魔法だ!
アッシュの象徴だぜ!
アイツ、辛い事があってから火魔法使いこなせて無いんだろ!
だから、森の中で迷子になって
魔獣に上手く攻撃できなかったって聞いたぜ。
魔法って、心と密接に繋がってるから、
自信を持てば、また上手く使えるようになるかな?」
そんな事を言っていた。
食事が終わると、
「そろそろあれやろうぜ!」
と花火の準備をする。
テラー君はアッシュに
火魔法で火をつけてくれと頼んでいた。
そして、
「お前の、火魔法でみんな笑顔になったな!
前は、火魔法の使い方を間違ってたけど、お前の魔法は人を幸せに出来るんだぜ!
自信持てよ!」
アッシュは、笑いながら涙を流した。
俺は、友達だと思っていた友人に奴隷になった時、
「よるな下賎な奴隷め。」
そう言われた事がある。
だから、友を失ったアッシュの心の痛みは痛い程分かった。
新しい友人ができて笑うアッシュを見た時、
過去の幼き日の自分が笑ってる姿が思い起こされた。
俺はシルビア様の言葉を思い出す。
「リバージュ。不思議ね。
仕事で自分がされた理不尽な事ってあるじゃない。
他人にどんなに同じ事をしても、心は晴れないの。
でもね、自分が困ったから、自分がこうして貰えたら良かったのにと思った事を、勇気を持ってやるとね。
清々しさと、過去の自分が精算されたような感じになるの。
リリーさんにも同じようにできるかしら。」
そう言っていたのを思い出す。
そうか。俺は過去の自分を清算できたんだな。
俺は、アッシュの頭を撫でながら
「良かったな!」
そう言うと、
アッシュは、花火の音で殆どかき消されていたが、
ニッコリ俺に笑いかけて、
「ありがとう。お父さん。お母さん。」
と言った。
俺は、何故だろう。泣いてしまった。
あの子の事が痛いほど分かるから、
この言葉を言うのにどれだけ勇気がいったのか分かるのだ。
ヒナは、すでに色んなことに感動して泣きまくり顔の化粧はスッピンとなっていたが、
アッシュの言葉を花火を配りながら地獄耳で遠くから聞き取り、大泣きである。
そんな私達を、皆んな温かく見守ってくれた。
その後、ヒスイから
「はぁ?!何で私も呼ばなかったんですか?!私も、別荘にいたときでは無いですか!
アッシュ!俺のことは?俺の事は?」
とアッシュに詰め寄る。
「俺のお兄様です。」
と笑いながら、嬉しそうに言うアッシュを見て、家族皆んなで笑った。
今回の件で、
我々の領地はさらに潤った。
手持ち花火を一般家庭にも買えるようにしたことで、夏の風物詩となっている。
マリーベルちゃんは、手持ち花火と浴衣を大量に買い付けて、
女性の使用人のたちに桃橘國の浴衣を着せて、花火を楽しんだ事から、
それを見た、領地の騎士達が浴衣が涼しげで、色っぽいと噂が広がる。
貴族の間で、浴衣と線香花火が爆発ヒットした。
そして、涙や汗で流れないウォータープルーフの化粧品はヒナを通して販売されて、爆発的なヒットとなった。
俺やヒスイが仕事に追われ、
会計や簿記の知識を持つ従業員が少なくて、
更には為替レートや外国税などを加味した処理に、ゼーゼー言っているのを見てアッシュは、
「俺は、父上や兄上の役に立てるよう、外国語、会計や簿記、財務の勉強をするんだ。」
といって、毎日精力的に勉強に勤しんでいる。
最近は、簿記の貸方借方を覚え、税の知識を覚えた事から事務の一部を任せてみた。
かなり年上の営業従業員に怯むこともなく、
「コレは経費で落ちません。」
と一刀両断で領収書を突き返す6歳の男の子。
あまりにも悪質な領収書を出すと、
火魔法で目の前で燃やされるのだと言う。
営業部からは密かに鬼経理と呼ばれている。
この子を私達の子にするわ!」
ヒナが私の執務室に押しかけ、
書類を渡してきた。
ヒナは冷静さを失っているので、
ゆっくりゆっくりお茶を飲みながら話を聞く。
ヒナはアッシュ 元スノーホワイト伯爵の令息を息子にすると言い張っていた。
話を聞いて、私は正直
どうでもよかった。
よくある話だ。
安定した国や裕福な貴族では
見られないが、
国の情勢が悪化したり、
貧しい地域や
金遣いが荒い懐具合が良くない貴族では普通にあり得るのだ。
戦争になったりすれば、
親が、子を捨てることもあり得る。
まあ、ヒナが言うならそれでいい程度だった。
しかし、療養を経てやってきたアッシュに実際に会うと俺は考えを改めた。
ビクビクして、体調も悪そうだ。
暫くご飯もままならなかったのだろう。
6歳から7歳にしては細すぎる。
そして涙ながら、懇願するように、
「なんでもします。だから捨てないで。」
俺はこの言葉を聞いて、
俺は電気を受けたような衝撃だった。
俺自身もシルビア様に俺も同じ言葉を言ったことを思い出した。
目が覚めるような感覚だった。
俺は、悟った。
今度は俺が彼を幸せにするんだと。
俺は、息子のヒスイに連絡を取る。
ヒスイは反対したり嫌な顔をするかと思いきや、
「俺は、もう6年生だ。
だから大丈夫だ。
それに、父上、母上から沢山の愛情を注いで貰った。
俺の話をたくさん聞いて来れて、
俺のやりたい事を沢山させてくれた。
親のエゴだと気がついた時は、2人とも誤魔化さず謝って来れた。
俺を尊重して大切にしてくれた。
俺は俺でいる事が出来た。
俺は、父上や母上が別な子供にその愛情を向けても、
俺は父上、母上を信用している。
愛情が無くなったとは思わない。
だから、俺もその子の兄になれる。」
そう語ってくれた。
ヒナはその言葉を聞いて嬉し泣きで大泣きしてしまう。
しかし、桃橘國の着物と化粧をしたヒナの顔は、白粉が一部取れ、怖かったようで、ヒスイは真剣に、
「母上泣かないで!怖いから!」
慌てて言う姿に、俺は爆笑してしまう。
ヒナに睨まれてしまった・・・。
バーミリオン男爵家にやってきたアッシュは、友達も居るだろうという事で、早急に、再度第一王立学園に通う事になった。
それがいけなかった。
暫くして、ヒスイから連絡があった。
アッシュを心配して、様子を見ていたヒスイから、急ぎの連絡が届いた。
アッシュが学園で孤立している事を連絡してくれたのだ。
アッシュには、アッシュ自身を友人と思う友達は居なかったのだ。
彼らは、スノーホワイト伯爵令息の友人だったのだ。
「よるなよ。お前は平民だ。」
「友人?俺と?冗談はよせよ。」
「男爵の使用人だろ?」
「男爵の子供?ないない。だって、あそこにはとっても優秀な令息がいるからな。お前を引き取るメリットなんてないだろ。」
第一王立学園にも、差別しない子供達はいる。
しかし、スノーホワイト伯爵家の両親から、友人を選ぶことすらも介入されていたアッシュは、
階級や身分にステータスを感じる価値観を持った子供と友達だった為、身分を失ったアッシュは友を失っていた。
アッシュは、本来ならグループで行う魔法の課外授業を一人でやり、迷子になったのか学園に戻ってこなかった。
ヒスイから連絡があり、
私達も急いで捜索に向かう。
アッシュは本来のコースから大きく外れ、魔物に襲われていた。それをヒスイが食い止めた。
アッシュから話を聞くと、クラスメイトの悪口を聞きたく無いことから、あえてコースを外れた所をあるいてたらしい。
泣きながら謝る。アッシュをヒスイは手を握りながら、
「大丈夫だ。大丈夫だ。」
と話しかけ、
そんな2人をヒナは抱きしめた。
そういう事もあり、一旦学園は休学することになった。
アッシュはそれ以降、私達から距離を置くようになる。
不思議に思いながら、
とにかく、物理的に側に居させようとしたら、今度は自分は私のお付きの使用人だと盛大に勘違いしてしまったようだ。
俺とヒスイとヒナで話し合い、
アッシュに第二王立学園を提案すると、
アッシュは、
「言葉に従う。」という。
俺は
「言葉に従わなくてもいい。
お前の気持ちは?どうなんだ?」
と聞くと、
「わからない。
・・・。
僕はどうすればいいか分からない。
・・・。
今まで決めた事がなかった。
・・・。言われた事も無かった。
・・・・・。
今の学校は、辛い。
新しい学校は、行ってみたい。
でも、いじめてた子がいる。
本当は、ずっと謝りたかった。
でも
どうすればいいか分からない。」
俺は、
「まず学園に行ってみよう。
いじめてた事が気がかりなんだね。
謝ってダメだったらまたその時考えよう。」
そう言うと、
アッシュは目を潤ませた。
不安そうなので、
俺は、アッシュと謝り方を練習した。
すると、だいぶ落ち着いた。
アッシュは、学園に行き顔合わせをするとまず謝ったそうだ。
俺は、よく頑張ったと伝えた。
アッシュは少し笑った。
同級生の子達は、どうしようかと戸惑っている感じだったと言う。
私達も子供達が受けいれてくれるかどうか不安だった。
マリーベルちゃんがいるから、
大丈夫だと心で落ち着かせている自分がいた。
今までは別の教室で遅れを取り戻していたが、暫くすると教室で授業を受けることになる。
大丈夫かな?心配だ。
すると、
王都の別荘に滞在している所に、
アッシュのクラスになる子供達が訪ねてきたいと申し出がある。
俺は許可した。
「この度は・・・。」
「オッサン!俺は、アイツのこと気に入ったぜ!
皆んなの前で謝るなんてなかなか出来ないぜ!
皆んなで、歓迎会するんだ。だから手伝ってください!」
「おい!黙れ!テラー!失礼だぞ!
頼みをするのに、その言い方はなんだ!」
「そうよ!失礼よ!」
「予定と違う事しないで!」
「初めにジェフくんが、挨拶するっていってたよ。ヤバいよ。それは。」
ワイワイと小さな子供達が
応接間で言い合う姿は微笑ましかった。
冷静なバイオレット嬢が淡々と経緯と歓迎会の計画を伝えてくれた。
ヒナは計画を知り、
「人は捨てたもんじゃ無い!
えっ?全校生徒?なんで?
本当はクラスだけでやる予定だったのに
皆んな参加したいって?
収集がつかなくなってこうなった。
親御さんや近所の農場のおじさんまで・・・。
ありがとう!」
と言ってまた、嬉し泣きと大泣きをしている。
子供達は、ヒナの泣き顔を見て、恐れ慄いている。
「叔母さん怖い・・・。」
と呟いたテラー君を
フーちゃんと言う女の子が
ぶん殴る。
・・・。テラー君は思った事がすぐに声に出してしまうようだ。
早急に、涙で落ちない化粧品を開発しなければならないなと、俺は密かに思う。
子供達は度々相談にやってきた。
マリーベルチャンは何やらヒナとコソコソと話し
「花火?」
「やっちゃう?」
「やっちゃう?」
「大きいのは無理よ!」
「え~!じゃあ、小さいのでいいや。」
などと言っている。
最後には、
近所の農場おじさん達や
親御さん達もやって来て計画を立てる。
子供達は、
「だって、学校じゃバレるでしょ!」
ヒナは
「敵を欺くには内側から攻めるのが一番よ!」
などど、ヒナも子供達に混ざって楽しそうだ。
俺は、子供達から
歓迎会の会場にアッシュを呼んで来てくれと頼まれた。
アッシュを会場に連れて行くと、
アッシュは、
目を丸くして俺を見る。
俺は、
「大丈夫だ。」
そう言うと、
皆んなの方を見て、涙を堪えていた。
子供達の輪の中に入って行く
アッシュを見て、
俺は安心した。
楽しく子供達が食事をしている間に、
俺は、ヒナと花火を準備した。
打ち合わせの時に、
テラーくんが
「花火?!いいねー。
アイツは火魔法だ!
アッシュの象徴だぜ!
アイツ、辛い事があってから火魔法使いこなせて無いんだろ!
だから、森の中で迷子になって
魔獣に上手く攻撃できなかったって聞いたぜ。
魔法って、心と密接に繋がってるから、
自信を持てば、また上手く使えるようになるかな?」
そんな事を言っていた。
食事が終わると、
「そろそろあれやろうぜ!」
と花火の準備をする。
テラー君はアッシュに
火魔法で火をつけてくれと頼んでいた。
そして、
「お前の、火魔法でみんな笑顔になったな!
前は、火魔法の使い方を間違ってたけど、お前の魔法は人を幸せに出来るんだぜ!
自信持てよ!」
アッシュは、笑いながら涙を流した。
俺は、友達だと思っていた友人に奴隷になった時、
「よるな下賎な奴隷め。」
そう言われた事がある。
だから、友を失ったアッシュの心の痛みは痛い程分かった。
新しい友人ができて笑うアッシュを見た時、
過去の幼き日の自分が笑ってる姿が思い起こされた。
俺はシルビア様の言葉を思い出す。
「リバージュ。不思議ね。
仕事で自分がされた理不尽な事ってあるじゃない。
他人にどんなに同じ事をしても、心は晴れないの。
でもね、自分が困ったから、自分がこうして貰えたら良かったのにと思った事を、勇気を持ってやるとね。
清々しさと、過去の自分が精算されたような感じになるの。
リリーさんにも同じようにできるかしら。」
そう言っていたのを思い出す。
そうか。俺は過去の自分を清算できたんだな。
俺は、アッシュの頭を撫でながら
「良かったな!」
そう言うと、
アッシュは、花火の音で殆どかき消されていたが、
ニッコリ俺に笑いかけて、
「ありがとう。お父さん。お母さん。」
と言った。
俺は、何故だろう。泣いてしまった。
あの子の事が痛いほど分かるから、
この言葉を言うのにどれだけ勇気がいったのか分かるのだ。
ヒナは、すでに色んなことに感動して泣きまくり顔の化粧はスッピンとなっていたが、
アッシュの言葉を花火を配りながら地獄耳で遠くから聞き取り、大泣きである。
そんな私達を、皆んな温かく見守ってくれた。
その後、ヒスイから
「はぁ?!何で私も呼ばなかったんですか?!私も、別荘にいたときでは無いですか!
アッシュ!俺のことは?俺の事は?」
とアッシュに詰め寄る。
「俺のお兄様です。」
と笑いながら、嬉しそうに言うアッシュを見て、家族皆んなで笑った。
今回の件で、
我々の領地はさらに潤った。
手持ち花火を一般家庭にも買えるようにしたことで、夏の風物詩となっている。
マリーベルちゃんは、手持ち花火と浴衣を大量に買い付けて、
女性の使用人のたちに桃橘國の浴衣を着せて、花火を楽しんだ事から、
それを見た、領地の騎士達が浴衣が涼しげで、色っぽいと噂が広がる。
貴族の間で、浴衣と線香花火が爆発ヒットした。
そして、涙や汗で流れないウォータープルーフの化粧品はヒナを通して販売されて、爆発的なヒットとなった。
俺やヒスイが仕事に追われ、
会計や簿記の知識を持つ従業員が少なくて、
更には為替レートや外国税などを加味した処理に、ゼーゼー言っているのを見てアッシュは、
「俺は、父上や兄上の役に立てるよう、外国語、会計や簿記、財務の勉強をするんだ。」
といって、毎日精力的に勉強に勤しんでいる。
最近は、簿記の貸方借方を覚え、税の知識を覚えた事から事務の一部を任せてみた。
かなり年上の営業従業員に怯むこともなく、
「コレは経費で落ちません。」
と一刀両断で領収書を突き返す6歳の男の子。
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