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戦士:秋宮魁斗

悟の強さ

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迎えた翌日。

城にはアダンとアルフレッドが呼ばれていた。

「話は聞かされたがのう。職業もわからない素人と戦うというのは本当かのうアルフレッド。」

「さぁ、わからん。」

会場には驚くほど多くの人が押し寄せていた。
上位魔獣を倒したことと、主席に喧嘩を売ったことが噂で広まったのだろう。
おそらく、悟と聖羅は生意気な奴らだと思われてるだろうな。優しい親友たちなのに。

「おはよ、魁斗。」

聖羅と悟が城に現れた。周りの視線がえげつないことになっている。

「対戦する人は、どの人だ?」

俺はアダンとアルフレッドを指さした。
強そうだな、とつぶやいた悟だが余裕を感じる。主席相手にどこまでやれるんだろうか。
ステータスは天地の差だが。

「よくぞ集まってくれた。では早速、試合を始めようか。」
ルービット王の号令。試合が始まる。

アダンとアルフレッド。悟と聖羅。握手を交わす4人。
話し合いの結果、アルフレッドと悟、アダンと聖羅が戦うようだ。

リングに立つアルフレッドと悟。確か悟の剣からは炎が出ていた。
炎の剣士対決だ。

「では、はじめ!」

飛びかかったのはアルフレッドだ。いきなりの炎閃暁。やはり容赦がない。
「相手は素人だろ!ステータスも雑魚だぞ!」

周りからは大声も聞こえるが、お構いなしだ。
その炎閃暁を、悟は片手ではじいた。

「ほ、本気でやれアルフレッド!」

ほとんどの人が何が起きたかわからない様子だ。
アルフレッドの目の色が確実に変わった。

先ほどとは明らかに動きが違う。壮絶な肉弾戦が始まった。が、悟が優勢のように見える。徐々にアルフレッドが押され始めている。やはり、悟の力は本物だ。

「お前、なんで魔法を使わない。」

アルフレッドが息を切らしながら聞いた。

「俺、魔法の使い方わかんないんだよね。」

悟が良い顔で笑う。会場は静寂に包まれる。魔法を使わずに主席を追い詰めていたという事実を理解するのにみんな時間がかかっているのだろう。

ぎりっと歯ぎしりすると、アルフレッドはリングを降りていった。

「あ、おい!」

悟が呼び止めるが、振り返らなかった。

「最近、負け続きだ。」

アルフレッドがボソッと呟いた。
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