悪役を終えさせて

こうやさい

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 そうはいってもある程度暗黙で分かるものなのだが、中には分からないものもいる。
 そんな特待生の中に少女はいた。
 服装等の質がどうしても落ちるので特待生は見た目で目立つものは少ない。
 貴族の血を引いているものは一夜の遊びだったとしても選ばれた者を親に持つのだからよくよく見れば顔かたちは整っているものが多いのだが、それでも第一印象は強い。
 そしてその少女は最初から美しかった。
 具体的に誰に似てると一致する名前は出なかったが、そのせいで一庶民とは思えなかった。
 けれど彼女が目立ったのはその美しさのせいではなく、あまりにも学園にそぐわない振る舞いのせい。
 市井ならば別に普通のことなのかもしれない。
 けれど他の特待生は調子に乗っていたものすら貴族相手に強く出ることはないし、周りに他にも神童と呼ばれていたひとがいるわけだからいずれはおとなしくなる。
 建前の裏を知ってなお、自分が貴族の血を引いていない可能性、引いていても貴族として引き取られない可能性、貴族になったとしても下位である可能性を考え、作法を知るなら知るなりに知らないなら遠慮がちに振る舞う。

 けれど彼女はひたすら無邪気でそれ故傲慢だった。
 積極的な交流自体は実際の立場がどうかに拘わらずむしろ推奨すべきものだと思っている。
 けれどもあまりにも距離感も礼儀もわきまえなかったために特に女性徒の反感を買っていた。
 見かねて注意したことも度々ある。
 するとその注意をいじめだと彼女は殿下に泣きついた。
 上位者に訴えるというより殿方に媚びを売る方に近かった。
 確かに彼女の価値観にはそぐわないことを言ったのだろう。
 だからといってそんな事をすればますます事態が悪化するとは考えなかったのだろうか?
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