4 / 10
-4-
しおりを挟む
その日は唐突に訪れた。
あるいは単純に彼女にたぶらかされたのかもしれない。
ただそこまで私が殿下に嫌われていただけなのかもしれない。
皆のいる前で「民の気持ちが解らないものは王妃にふさわしくない」と婚約破棄を突きつけられた。
それから退学、追放まであっという間で。
気がつくと町の隅にある貴族にしてはではないあばら屋で貴族にしてはではない粗末な格好をしてわずかな荷物とともに座り込んでいた。
民の気持ちは解らないとはいわれたが、このまま呆然としていてもまともに生きていけないことはそれでも分かっていた。
とりあえず食事は毎日必要で、それを手に入れるためにはお金が必要で、お金を得るためには働かなければならない事は分かる。換金できそうなものはほぼ取り上げられているわけだし。
なので仕事を探すことにする。
最初に当たったのは貴族としての知識が役に立ちそうな業種だった。
けれどみすぼらしい身なりのどこの誰とも分からない女を雇うようなところはなかった。
考えてみれば当たり前だ、私も逆の立場なら絶対に雇わない。下働きならまだしも貴族の作法を知っているとはとても思えないから。
ならばその下働きならどうだろうとあちこち当たってみたが、何故かすでに私がどこの誰でどういう経緯でここにいて未だ庶民を見下しているという話が広がっていて、どこも雇ってくれるところはなかった。
あの場にふさわしいとは思えなかっただけで別に見下したつもりは昔も今もないと弁解しても無駄だった。
それにしても迅速に話が広まりすぎている。しかも顔まで知られているなんて人相書きでも出回ったのだろうか?
その予想は正しかったらしく、名乗ってもいないのに道を歩いていると石を投げつけられたりした。
どうも私は殿下をだまし国家予算を使い込んでいた希代の悪女にされたらしい。殿下から個人的に贈り物をされたことなどここ数年ないというのに。
どこまでが尾ひれなのかが分からないがとても嗤える。私に貢いでいたように思われては殿下もさぞ不本意だろう。
あるいは単純に彼女にたぶらかされたのかもしれない。
ただそこまで私が殿下に嫌われていただけなのかもしれない。
皆のいる前で「民の気持ちが解らないものは王妃にふさわしくない」と婚約破棄を突きつけられた。
それから退学、追放まであっという間で。
気がつくと町の隅にある貴族にしてはではないあばら屋で貴族にしてはではない粗末な格好をしてわずかな荷物とともに座り込んでいた。
民の気持ちは解らないとはいわれたが、このまま呆然としていてもまともに生きていけないことはそれでも分かっていた。
とりあえず食事は毎日必要で、それを手に入れるためにはお金が必要で、お金を得るためには働かなければならない事は分かる。換金できそうなものはほぼ取り上げられているわけだし。
なので仕事を探すことにする。
最初に当たったのは貴族としての知識が役に立ちそうな業種だった。
けれどみすぼらしい身なりのどこの誰とも分からない女を雇うようなところはなかった。
考えてみれば当たり前だ、私も逆の立場なら絶対に雇わない。下働きならまだしも貴族の作法を知っているとはとても思えないから。
ならばその下働きならどうだろうとあちこち当たってみたが、何故かすでに私がどこの誰でどういう経緯でここにいて未だ庶民を見下しているという話が広がっていて、どこも雇ってくれるところはなかった。
あの場にふさわしいとは思えなかっただけで別に見下したつもりは昔も今もないと弁解しても無駄だった。
それにしても迅速に話が広まりすぎている。しかも顔まで知られているなんて人相書きでも出回ったのだろうか?
その予想は正しかったらしく、名乗ってもいないのに道を歩いていると石を投げつけられたりした。
どうも私は殿下をだまし国家予算を使い込んでいた希代の悪女にされたらしい。殿下から個人的に贈り物をされたことなどここ数年ないというのに。
どこまでが尾ひれなのかが分からないがとても嗤える。私に貢いでいたように思われては殿下もさぞ不本意だろう。
13
あなたにおすすめの小説
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
【完結】断罪された占星術師は、処刑前夜に星を詠む
佐倉穂波
恋愛
星は、嘘をつかない。嘘をついていたのは——わたし自身だった。
王宮の卜部に勤める十七歳の占星術師リュシア・アストレアは、ある日、王太子妃候補の婚儀に「凶」の星を読んだ。星が告げるままに報告したに過ぎなかったのに、翌朝には牢に入れられていた。罪状は「占星術を用いて王家を惑わせ、王太子暗殺を画策した」こと。
言いがかりだ。
しかし、証明する術がない。
処刑は五日後の朝と告げられ、リュシアは窓もない石の牢に閉じ込められた。
そこで彼女は気づいてしまう。占いが外れ続けていた本当の理由に。
道具も星図もない暗闇の中で、生まれて初めて、星の声を正しく聞いた。
瞼の裏に広がる夜空が、告げる。
【王太子が、明後日の夜に殺される】
処刑前夜に視た予言を、誰が信じるというのか。それでも、若き宰相クラウス・ベルシュタインは深夜の牢へ足を運び、断罪された少女の言葉に耳を傾けた。
二人の出会いは、運命をどう変えていくのかーー。
逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)
ラララキヲ
恋愛
平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。
そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。
メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。
しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。
そして学園の卒業式。
第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。
そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……──
※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑)
※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。
※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません)
※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
どうぞ添い遂げてください
あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。
ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
第三王子殿下の恐怖の婚約者
はぐれメタボ
恋愛
ミナント王国の第三王子であるハロルドには婚約者がいた。
メンヘル公爵家の令嬢フローラだ。
ハロルドはフローラとの婚約を破棄する為に奮闘する事になる。
全ては自分の身を守る為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる