悪役を終えさせて

こうやさい

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 私はこう見えてもこの間までは侯爵令嬢で、王太子殿下の婚約者だった。

 殿下と仲は政略としてもギリギリ無理という感じで決してよいとはいえなかった。
 けれどそれに関しては正直楽観視していた。
 幼いころは幼い関係ではあったものの仲はよく、ぎくしゃくし始めたのは学園に入って私の成績の方がよかったせいだから。
 確かに勉強は私の方が出来たけれど治政や人心把握という点では殿下の方が優れている。実務を始めれば殿下はみるみる実力を発揮し、私などに引け目を感じる必要はなくなるだろうから。
 そうなれば最低でも政略結婚をこなせる程度には関係が修復されると思っていたから。
 恋情は必要ないですし。

 この学園では学内において身分差を笠に着ることを禁止されている。
 表向きは身分の低いものの芽を不用意に潰さず、まだ身分にとらわれぬ友情や信用出来る存在を見つける貴重な機会を得るために。
 裏向きは特に専門職であるために貴族ではない教師を身分でどうにかしようとするものを止めるためと、身分の低いものがずっとそうだとは限らないために。
 きちんと爵位のある家の子弟は身分はその通りでしかないのだが、特待生として来ている庶民が本当に庶民だったことは外部が思うよりも少ない。
 大商人の子供などはとにかく、市井で神童と呼ばれていた子供とかいうものは字面はうさんくさいが実態はわかりやすかったりする。
 いわゆる大貴族の御落胤。
 捨て置かれることも多いが、一部何かの思惑により陰で支援を受けいろいろ学ばされながら育てられている人もいる。
 最低限生活出来るため以上の知識を知っている存在は当然飛び抜けてみえる。それで肝心の生活が破綻していれば印象は変わるだろうが、生活も最低限は保証されている。
 そんな理由で特待生は親に見捨てられるほどの莫迦は滅多にいないが本当に才能がある存在もほぼいない。そもそも特待生制度が家名を表に出さず貴族の学校に通わせるためにあると言われているくらい。
 だから庶民だと莫迦にしていたものが、気がついたら自分より上位貴族になっていて意趣返しされたなどということもまれに起こる。そんな状況は避けさせたいに決まっている。
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