悪役を終えさせて

こうやさい

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 恐らく殿下は特待生が関わる以前から私の排除を考えていたのだろう。
 けれどそこまでの落ち度は私にはない。
 そこに特待生の訴えをこれ幸いと利用した。
 「いじめた」が理由ならば反論材料はいくらでもある。
 けれど「民の気持ちが解らない」と言われれば、特待生の考えることが理解出来なかったという意味では間違いではない。誘導によっては充分私がそうしたという証言は得ることが出来るだろう。特に私を煙たがっているものなら誘導するまでもなく喜んで証言をしただろうし。何せ嘘ではないのだから。
 そしてさらにあることないこと吹き込んで家族を黙らせたのだろう。

 殿下は同時に気づいていたんだろう。王族貴族の権威が民に対して低下している可能性を。
 特待生一人が特殊な可能性もあるが、いくら建前があろうとも好き勝手振る舞った上に、私の注意を無視し、あげく殿下に泣きつく。仮に陛下の御落胤だったとしても許されないことだろう。
 けれど他にも表面に出さないだけでその程度に思っている人がいたら?
 権威がないなら命令に従いたがる人はいない。
 過度の不満、場合によっては反感、それどころか反意すら持っていたならば?
 それをそらしあぶり出すために民を見下した元貴族という攻撃対象そんざいを必要とした。
 同時に王妃に上り詰める庶民という存在を。
 不満の矛先は私に、憧れは彼女に。
 そうして様子を見るつもりだったのだろう。
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