悪役を終えさせて

こうやさい

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 けれどそれすら偽りであると気づいてしまった。

 ある日、また石を投げられて、しゃがみ込む直前に彼の姿を見かけた。
 頭をかばいながらすぐにでも笛の音が響くだろうと思った。
 痛みを感じている時間は、そして待っている時間は実際に流れる時間よりも長く感じるという。
 それにしても長すぎる。
「っツ!!」
 普段は悔しいので絶対声を出さないように気をつけていたけれど、ひときわ大きな石が当たった衝撃でつい呻く。
 遠ざかる意識の中、やっと笛の音が聞こえた気がした。

「……わけありません」
 暗闇の中、どこか遠くから謝っている声が聞こえる。
 すぐに自分が目を瞑っているだけだと分かったけれど、何故か開けることが出来ない。
「時間をかけすぎました」
 聞き覚えのある声だった。
 どこか落ち込んでいるふうなので慰めたいと思うけれども体が動かない。
「殿下に許されているのはあれが痛めつけられるところまでだ」
 違う人の声が聞こえ、やっと動きそうになった体の動きが止まる。
「長期間庶民の不満の捌け口になってもらわなければならないのだからまだ殺すなと言われているだろう?」

 まだ頭が上手く働いていないのかと思った。
 けれどそれならば話は分かる。
 少なくとも今日笛がすぐ鳴らなかった理由ははっきりした。
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