婚約者に婚約破棄かお飾りになるか選ばされました。ならばもちろん……。

こうやさい

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 そのように混乱した状況ではどこかが甘くなってもしょうがないでしょう? 特にこちらは敵対している訳ではありませんし……他にも漏れていましたけれど。
 それに治療法探し・婿捜しの範囲は広いようですから、何もかも隠しては難しいですもの。
 その辺りを適当に説明します。

「……それが分かっているならわたしと結婚する利点がないことも分かっているだろう?」
 確かにお義姉さまの夫には存在を煙たがられるでしょうから、居心地が悪いでしょうし。
「そういう考えもありますわね」
 客観的には苦労するだけでしょうね。……お義姉さまはですけれど、どう染まるかはまだ分かりませんし。
「確かに婚約破棄をふっかけたのは悪かったと思っている。だが、早々に未亡人になるよりはまだいいだろう!?」
 お飾りと言われた以上子を為すことも……おそらく出来ないでしょうからいずれは子に家を継がせてとはいきませんし、将来の保証もないでしょう。不妊は女性の責任にされやすいことですし。
 場合によっては追い出される可能性もあります。
 出戻りと婚約破棄、どちらがましかは事情と状況と考え方にもよるでしょうけれど。
 物事が進んでからの方が取り消しはよりしづらいと言いますわね。

「そういう考えもありますわね」
 同じ言葉を返す。
「それでもいやならそちらから破棄でもいいし、解消でもいい。政略結婚の利点はないんだ。だから……」
「確かにわたくしどもの結婚は契約でなされるべきなのでしょうね」
 わたくし達が今の立場にいられるのはそれでもかかしよりましな目印になると思われているからですもの。その役目を継続しないというなら暗黙のとはいえそれこそ契約違反です。わたくしは家を継ぐわけではありませんが。


 本当に政略だけでしたら病気と分かって公表されていない時点で父に報告して然るべき行動を取りますわ。
「それが罪だというならわたくしが背負います。祝福も赦しも要りません」

「こ……いやだから」
 もしかしてわたくしが恋い焦がれていることをご存じなかったのかしら?
 行動に移すことが足りなかったからそんな誤解をされてこんなことになっているのかしら?
「た、たとえばわたしが死んだら追い出される可能性が――」
「そうなったら修道院に参りますわ」
 出来るならば縁の場所で弔いたいとは思いますけど。
「婚約破棄をされても向かいますから今行くか将来行くかの違いだけです」
 今更他の方に嫁ぐつもりはありませんもの。

「だが、それでは君の幸せが……」
「願って下さいますの?」
 完全な一方通行ではなくて良かったですわ。さすがに何もかもを嫌がられてまで傍にいるのは辛いですもの。
「君が不幸になるのを見たくない」
「あなたがいる限り幸せですから見ることはありませんわ」
 さすがのわたくしも何十年も後まで同じ気持ちで居られると思うほどお花畑ではないですけれど、そんな先の心配が出来るならそれはそれで幸せと今は思いますもの。
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