我が罪への供物

こうやさい

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シンデレラの姉

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『妹の結婚を邪魔するために姉は婚約破棄される』の原形となります。ある意味ではネタバレなので両方読まれる方はどちらを先読むかお考えください。
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 私の一族は代々海神様に花嫁を捧げるという。その伝承を女性だけに伝えていくと。
 その花嫁は私が物心付く頃に妹に決まっていた。

 実のところ選ばれた事をうらやましく思った事は覚えている限り一度もない。花嫁だなんて言ってもいけにえただわりをくうだけだと既にうすうす分かっていたから。
 無邪気に「お嫁さんになるのー」などと言っている妹はきっと意味が分かっていないに違いない。

 ところでこの妹だが、私より大変に出来がいい。皆がそう言うので姉の欲目とかそういうものではないのだろう。
 何か理想の花嫁像があってそれに向かってひたむきに努力し、それが世間一般のよい子と重なっていた。
 とりあえずその花嫁像が昔私が持っていた少女漫画の一つをまだ完全に字が読めるわけでもないのに酷く気に入っていたという事実と関係あるのかどうかは置いておく。
 なので死なせてはいけないのだろう。
 ならばどうすればいいか。
 一番簡単なのは別のいけにえを捧げることだ。
 そしてその筆頭候補は私になる。

 そうと決めた日から私は学校に通うのはやめた。一日家に引きこもり、ネットをして、食っちゃ寝食っちゃ寝を繰り返す。
 これがずいぶんと性にあっていたらしくすこぶる快適であった。何より両親以外に妹と比べる声が聞こえない。
 その両親も最初は比べたり怒ったり励ましたりなだめたりしていたが諦め始めた。
 その分、妹に期待がのし掛かるのは分かったが、あの子は生きなければならないのだからしょうがないだろう。

 それでもしばらく妹を贄にする事は変わらなかったが、あまりにもぶくぶくと太り醜くなった姿を見て、このままでは私が結婚で出来ない可能性に母はようやく思い当たったらしい。
 今回美しい妹を捧げて、そこで伝承を途絶えさせるか。
 醜い姉をとりあえず水に放り込み、次代に期待するか。
 前者を選ぶようならば伝承はきっと既に途切れていただろう。

 半ば無理矢理車に乗せられたふりをして海に運ばれる。
 手足を縛られ埠頭から転がされ、海に落ちる。
 こんなに脂肪があっても浮かないんだなと莫迦な事を考える。
 そんな残念思考の女でも迎え入れてくれるというなら海神様は確かに優しいのかもしれない。
 憧れていた妹の気持ちがほんの少し分かったような気がした。

 けれどもう遅かった。
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