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02 見知らぬ天井
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あっつう……何なの。
なんだか今日はやけに、ベッド代わりの棺桶の中が暑い。
もう秋も過ぎて冬が近付く季節だというのに、信じられない温度。
お酒を飲み過ぎてガンガンして痛む頭を片手で抑えながら、自分が今ひどく喉が渇いていることに気がついた。
それに……何故か、やたらとお腹がすいている。お風呂に入ってないし着替えても居ないせいか、やたらと何か美味しそうな匂いが鼻をくすぐるし。
……あれ?
昨日、そういえば会社の新人歓迎会があって……その後の記憶が、どうしても思い出せない。
だけど、こうして棺桶の中に居るということは私……記憶はないけど、自分の部屋まで無事に帰って来られたみたい。
帰巣本能の強い私はとても偉い。けど、記憶がなくなるほど飲んだ飲み会中、何かやらかしてないか心配になった。
誰かからの呆れた連絡が来ていないか調べようにも、便利なスマホは棺桶の中には絶対に持ち込めない。
スマホの画面は真っ暗で消えているように見えて、常にかすかに光っているからだ。
暑苦しい空気の中で蓋を開けたところで、私は驚きに動きを止めた。
……え。ここどこなの? まじまじと見ても、私の住んでいる部屋と天井が違う。
うちは単に白くて丸いLEDだけど、今目にしている天井には、どう見ても高そうで豪華な照明がぶら下がっていた。
……ここ。本当に何処なの?
こうして棺桶の中で寝ているってことは、私は自室に居ると思い込んでいた。
だって……棺桶が部屋にあるなんて、日本でもそんなにないと思うし……必要ないでしょ。普通なら。
そう。普通なら、だけど。
「……え?」
「おはよ……起きた? びっくりしたよ」
思わず漏れた声に返事がして私が振り向けば、そこに座っていたのは別に知らない顔でもなくて、行きつけの近所のカフェの店員だった。
そのカフェはカフェと言っても、夜専門の夜カフェ。
十八時から早朝まで空いている珍しいカフェで、もうご飯作りたくないとか、飲みの後ですぐに家には帰りたくない気分の時とか……何もする気にも起きない、まったりしたい時に私は使っている。
彼はダブリエ姿もいかしたイケメンの店員さんだとこっそり注目していた人で……少しだけ喋ったことがあるのは、事前会計だからレジで注文した時と時間の掛かる料理をサーブして来た時くらい。
そのカフェのシンプルな制服には名札もないので、名前すら知らない。
どんなに早朝の近い深夜になっても彼は常に居るので、アルバイトではなく、もしかしたら正規に雇われた社員さんなのかなとなんとなく思って居たくらいだ。
だから、単なる店員と客という顔見知りでしかなく、間違ってもこんな風に家に来るような関係性では、私たち二人は絶対に有り得ない。
まるでアイドルのような童顔を持つ彼は、驚き過ぎて何も言えない私に八重歯の見える可愛らしい笑顔を見せた。
「あれ……この反応は。そうか。久しぶりに会えた同胞だと思ったのに、違うのか。なんだか、残念だったなー……」
「……え?」
なんか、良くわからないけど、私は彼にがっかりされた?
同胞……仲間? 一体、何のことなの?
なんだか今日はやけに、ベッド代わりの棺桶の中が暑い。
もう秋も過ぎて冬が近付く季節だというのに、信じられない温度。
お酒を飲み過ぎてガンガンして痛む頭を片手で抑えながら、自分が今ひどく喉が渇いていることに気がついた。
それに……何故か、やたらとお腹がすいている。お風呂に入ってないし着替えても居ないせいか、やたらと何か美味しそうな匂いが鼻をくすぐるし。
……あれ?
昨日、そういえば会社の新人歓迎会があって……その後の記憶が、どうしても思い出せない。
だけど、こうして棺桶の中に居るということは私……記憶はないけど、自分の部屋まで無事に帰って来られたみたい。
帰巣本能の強い私はとても偉い。けど、記憶がなくなるほど飲んだ飲み会中、何かやらかしてないか心配になった。
誰かからの呆れた連絡が来ていないか調べようにも、便利なスマホは棺桶の中には絶対に持ち込めない。
スマホの画面は真っ暗で消えているように見えて、常にかすかに光っているからだ。
暑苦しい空気の中で蓋を開けたところで、私は驚きに動きを止めた。
……え。ここどこなの? まじまじと見ても、私の住んでいる部屋と天井が違う。
うちは単に白くて丸いLEDだけど、今目にしている天井には、どう見ても高そうで豪華な照明がぶら下がっていた。
……ここ。本当に何処なの?
こうして棺桶の中で寝ているってことは、私は自室に居ると思い込んでいた。
だって……棺桶が部屋にあるなんて、日本でもそんなにないと思うし……必要ないでしょ。普通なら。
そう。普通なら、だけど。
「……え?」
「おはよ……起きた? びっくりしたよ」
思わず漏れた声に返事がして私が振り向けば、そこに座っていたのは別に知らない顔でもなくて、行きつけの近所のカフェの店員だった。
そのカフェはカフェと言っても、夜専門の夜カフェ。
十八時から早朝まで空いている珍しいカフェで、もうご飯作りたくないとか、飲みの後ですぐに家には帰りたくない気分の時とか……何もする気にも起きない、まったりしたい時に私は使っている。
彼はダブリエ姿もいかしたイケメンの店員さんだとこっそり注目していた人で……少しだけ喋ったことがあるのは、事前会計だからレジで注文した時と時間の掛かる料理をサーブして来た時くらい。
そのカフェのシンプルな制服には名札もないので、名前すら知らない。
どんなに早朝の近い深夜になっても彼は常に居るので、アルバイトではなく、もしかしたら正規に雇われた社員さんなのかなとなんとなく思って居たくらいだ。
だから、単なる店員と客という顔見知りでしかなく、間違ってもこんな風に家に来るような関係性では、私たち二人は絶対に有り得ない。
まるでアイドルのような童顔を持つ彼は、驚き過ぎて何も言えない私に八重歯の見える可愛らしい笑顔を見せた。
「あれ……この反応は。そうか。久しぶりに会えた同胞だと思ったのに、違うのか。なんだか、残念だったなー……」
「……え?」
なんか、良くわからないけど、私は彼にがっかりされた?
同胞……仲間? 一体、何のことなの?
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