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50 帰宅①
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「とにかく……落ち着きましょう。アメデオ」
よろめいた私は応接室へと案内しようと歩き出したけど、何もないところで躓いてアメデオに支えられた。
目が合って呆れた顔をしたアメデオは、はあっと大きくため息をついた。
「姉さん。大丈夫? ……僕はこの上なく、落ち着いているよ。馬鹿に対する怒りに、打ち震えてはいるけどね」
幼い頃から姉大好きなことを隠さないアメデオは、ショーンのことが本当に大嫌いだった。
「本当に信じられない。なんで、そんなことを? あれだけの人数の前でしたことなのよ。なかったことになんて出来ないでしょう?」
婚約破棄をしたあの瞬間、大勢の人たちが見ていた。それを「間違いでした」と言って、通常なら通じるものではないと思う。
「これは知らせない方が良いだろうと、姉さんは知らないことなんだ。あの馬鹿は騎士団に入ってから、姉さんとの派手な婚約破棄劇についても、あれはただの痴話喧嘩の一環だったと言い張っていたらしい。それを聞いた時には、僕も呆れて……幼稚なことしかしない馬鹿男が極まって、いよいよおかしくなったのかと思っていたけど……まさか、こんなことを考えていたとは……」
言葉を詰まらせてアメデオが絶句してしまうのも、無理はない。
だって、婚約破棄については、通常の場合、男性にそれをされた女性側が悪いとなってしまう。
それに、ショーンは婚約者の私には至らないところが多々あり、ただ自分と話していただけの隣に居た女性にも嫌がらせなどをしていたと、周囲に散々に言い散らしていたのだ。
あれが痴話喧嘩の一環だと言ったからと、誰が信じてくれるというの?
「そうね。確かにショーンは、私のことを嫌っていたわ。どうして、そんなことを……」
婚約破棄をした私のことなんて、気にすることもなく、今はご機嫌に楽しんでいると思い込んでいた。
「嫌ってなんかいるはずがないよ……ショーンは幼い頃から姉さんのことが、大好きだったじゃないか。だからこそ、虐めていたことに気がつかなかったんだね。姉さんらしいよ」
アメデオの眼鏡の奥の目は、私を見て心底呆れているようだった。
それには、到底納得出来ない。好きな女性にあれをする理由が、まずわからなさすぎる。眉を寄せて私は抗議した。
「……嘘でしょう? どこの世界に大好きな女性の着ているドレスを貶して、髪を引っ張る男性が居るの? しかも、ショーンはあの時二十歳だったのよ? 好きな女の子に意地悪するのなら、十歳の男の子ならまだしも、わかるけど……」
私よりも三つ年上のショーンは、なぜか十五歳を超えた辺りから、とても冷たくなった。
こんなことを言ってしまうのも悲しいことだけど、婚約破棄前の何年かのショーンは婚約者の私のことなんて、なんとも思って居ない様子だったのに。
よろめいた私は応接室へと案内しようと歩き出したけど、何もないところで躓いてアメデオに支えられた。
目が合って呆れた顔をしたアメデオは、はあっと大きくため息をついた。
「姉さん。大丈夫? ……僕はこの上なく、落ち着いているよ。馬鹿に対する怒りに、打ち震えてはいるけどね」
幼い頃から姉大好きなことを隠さないアメデオは、ショーンのことが本当に大嫌いだった。
「本当に信じられない。なんで、そんなことを? あれだけの人数の前でしたことなのよ。なかったことになんて出来ないでしょう?」
婚約破棄をしたあの瞬間、大勢の人たちが見ていた。それを「間違いでした」と言って、通常なら通じるものではないと思う。
「これは知らせない方が良いだろうと、姉さんは知らないことなんだ。あの馬鹿は騎士団に入ってから、姉さんとの派手な婚約破棄劇についても、あれはただの痴話喧嘩の一環だったと言い張っていたらしい。それを聞いた時には、僕も呆れて……幼稚なことしかしない馬鹿男が極まって、いよいよおかしくなったのかと思っていたけど……まさか、こんなことを考えていたとは……」
言葉を詰まらせてアメデオが絶句してしまうのも、無理はない。
だって、婚約破棄については、通常の場合、男性にそれをされた女性側が悪いとなってしまう。
それに、ショーンは婚約者の私には至らないところが多々あり、ただ自分と話していただけの隣に居た女性にも嫌がらせなどをしていたと、周囲に散々に言い散らしていたのだ。
あれが痴話喧嘩の一環だと言ったからと、誰が信じてくれるというの?
「そうね。確かにショーンは、私のことを嫌っていたわ。どうして、そんなことを……」
婚約破棄をした私のことなんて、気にすることもなく、今はご機嫌に楽しんでいると思い込んでいた。
「嫌ってなんかいるはずがないよ……ショーンは幼い頃から姉さんのことが、大好きだったじゃないか。だからこそ、虐めていたことに気がつかなかったんだね。姉さんらしいよ」
アメデオの眼鏡の奥の目は、私を見て心底呆れているようだった。
それには、到底納得出来ない。好きな女性にあれをする理由が、まずわからなさすぎる。眉を寄せて私は抗議した。
「……嘘でしょう? どこの世界に大好きな女性の着ているドレスを貶して、髪を引っ張る男性が居るの? しかも、ショーンはあの時二十歳だったのよ? 好きな女の子に意地悪するのなら、十歳の男の子ならまだしも、わかるけど……」
私よりも三つ年上のショーンは、なぜか十五歳を超えた辺りから、とても冷たくなった。
こんなことを言ってしまうのも悲しいことだけど、婚約破棄前の何年かのショーンは婚約者の私のことなんて、なんとも思って居ない様子だったのに。
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