セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

待鳥園子

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08 気晴らし②

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「あの……何か、嫌なことがあったんですか? 僕らでも力になれるかもしれませんし、良かったら何があったか、言ってみてください」

 ヴァレリオはいつの間にか頼んでいた二杯目の酒を、ウェイトレスから受け取りながらそう言った。

 あの大きな杯には一杯だけでも、かなりの量のお酒が入っていそうなのに……冒険者である彼らは、私がこれまで会ったことのないほどに凄まじい酒豪のようだ。

「あ……なんだか、恥ずかしいわ。この前に友人と行き違いがあって、会うには気まずいんですが、もうすぐ国王陛下が主催する夜会があって顔を合わせることになってしまって……欠席することは許されないので、少し憂鬱になってしまいました」

 私はこれならば知られても問題ないだろうという部分だけを、ここでは話すことにした。叔父たちの要求だったり、オルランド様とクラウディアの話は、あまりにも個人的過ぎる。

 何も知らないヴァレリオとジョセフィンの二人は、顔を見合わせた。隣の席に座るイーサンは私の詳しい事情を知っているけれど、彼は何も言わなかった。

「ああ……それは、とても気まずいですね。ご友人との仲直りは難しい状況ですか?」

 ヴァレリオは言葉を選んでいる様子でゆっくりと言い、私は苦笑いしてから頷いた。

「そうですね……私からいくら手紙を送っても、返事は返って来ません。時間が経てば、落ち着いてくれて誤解が解ければ良いのですが……」

 クラウディアは、私を許してくれるだろうか。

 それに……オルランド様から好意を向けられたことを、私が謝罪するわけにもいかない。

 ただ、彼女の思って居ることは完全に誤解で、私にはクラウディアを傷つける意図など何もないと、わかってもらうことしか出来ない。

 余計なことを言ってしまえば、彼女のことを侮辱したことになりかねない。

 とても、難しい状況だった。

「夜会の日は、いつですか」

 隣のイーサンが不意にそう聞いた。そういえば、必要あって私を夜に訪ねて来る予定の彼らにも、その予定は伝えておいた方が良いかも知れないと思った。

「6日後の夜に。その日は、帰りは深夜になるかもしれません」

 社交界デビューしたばかりとは言え、国王陛下よりも、夜会会場を先に後にするわけにはいかない。

 まだまだデビューしたばかりで、勝手がわからないのだ。

 ああいった社交場に同行する介添人も叔父様の息が掛かった人なので、出来れば彼女の力は借りたくなかった。

「構いません。俺たちは迷宮攻略の日程を誰かに決められているわけでもなく、どうとでもなりますので」

 その時に三人は目配せをしていたように思うけれど、冒険者たちが挑む地下迷宮攻略については全く知らないので、その事だろうと私は暢気に思っていた。
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