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07 対案
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「ねえ……待って。でも、貴方が私を連れて、ここから逃げれば。きっと、多くの優秀な追手がかかるわ。王家の影が、王太子妃となる女性を攫うのよ。王家の威信を掛けて、必ず探し出すでしょう。貴方が一際強かったとしても、多勢に無勢。それに、私にはとても追手とは戦えない。人を一人守りながら。長い距離を逃げ切るなんて、とても現実的ではないわ」
彼と私の逃避行は、危険極まりない道行きになることだろう。
恋に浮かれたままで、幸せに生きて死んでいくのも、それはそれで甘美な結末かもしれない。けど、私は出来ればやり直しの人生の中で、日陰の身分だったユーウェインと幸せになる方法を選びたかった。
「貴女の言い分には、一理ありますね。何か対案が?」
「ええ」
頷いた私を見て、彼は満足そうに微笑んだ。
◇◆◇
私は予定通りに婚約者リチャードとルイーゼ・ローランス男爵令嬢が親密になっていくのを、ただ何もせずに見守っていた。
そして、リチャードは私に、ルイーゼ嬢へのやった覚えのない嫌がらせや彼女を危害を加えようとしたという冤罪の責任を取り、大人しく婚約解消に頷くように言って来た。
なんだか、不思議なものだ。
一度目の時は、私のことを誰より知っているはずなのに、なんでわかってくれないのという怒りが身体の中を占めていた。
けれど、今はもう捨てられるとしても何とも思わない。リチャードと彼の隣で怯えた表情を見せつつ気丈に振舞っている演技をしているルイーゼ様を前にして、婚約解消をすることを甘んじて受け入れることにした。
そして、高い地位に居る父親を持つ公爵令嬢である私と、恙なく婚約解消をしたいのなら、王家の影であるユーウェインを王族へと復帰させて自分と婚約させて欲しいという取引条件を聞いて、リチャードは渋々ながら頷いた。
ユーウェインは王家にとってとても便利な存在だったと思うし、きっと汚い仕事もしていたはずだ。これから国を背負わねばならない王太子のリチャードにとっては、彼が自分の好きに使えなくなってしまうことは痛かったと思う。
それもこれも、愛しいルイーゼ様と結婚するため。どうぞ、愛する二人は何の曇りもなく幸せになって欲しい。
私も、同じようにそうするので。
彼と私の逃避行は、危険極まりない道行きになることだろう。
恋に浮かれたままで、幸せに生きて死んでいくのも、それはそれで甘美な結末かもしれない。けど、私は出来ればやり直しの人生の中で、日陰の身分だったユーウェインと幸せになる方法を選びたかった。
「貴女の言い分には、一理ありますね。何か対案が?」
「ええ」
頷いた私を見て、彼は満足そうに微笑んだ。
◇◆◇
私は予定通りに婚約者リチャードとルイーゼ・ローランス男爵令嬢が親密になっていくのを、ただ何もせずに見守っていた。
そして、リチャードは私に、ルイーゼ嬢へのやった覚えのない嫌がらせや彼女を危害を加えようとしたという冤罪の責任を取り、大人しく婚約解消に頷くように言って来た。
なんだか、不思議なものだ。
一度目の時は、私のことを誰より知っているはずなのに、なんでわかってくれないのという怒りが身体の中を占めていた。
けれど、今はもう捨てられるとしても何とも思わない。リチャードと彼の隣で怯えた表情を見せつつ気丈に振舞っている演技をしているルイーゼ様を前にして、婚約解消をすることを甘んじて受け入れることにした。
そして、高い地位に居る父親を持つ公爵令嬢である私と、恙なく婚約解消をしたいのなら、王家の影であるユーウェインを王族へと復帰させて自分と婚約させて欲しいという取引条件を聞いて、リチャードは渋々ながら頷いた。
ユーウェインは王家にとってとても便利な存在だったと思うし、きっと汚い仕事もしていたはずだ。これから国を背負わねばならない王太子のリチャードにとっては、彼が自分の好きに使えなくなってしまうことは痛かったと思う。
それもこれも、愛しいルイーゼ様と結婚するため。どうぞ、愛する二人は何の曇りもなく幸せになって欲しい。
私も、同じようにそうするので。
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