91 / 152
第一部
ナイトプール
「うわあっ、すごい! きれーい!! 子竜さんこのお部屋すごいです!」
私はプライベートプール付の部屋の大きな窓から見える、大きな満月が浮かぶ星空と海の共演に感動した。
ランチを食べたレストランからホテルへと移動した私たちはプールで遊んで疲れた後、せっかくだからとホテル内にあるエステでくつろいで夕飯を食べてから子竜さんにとっておきの景色があると言われてこの部屋へとやって来た。
「お褒めに預かり光栄です。今夜この部屋が空いてて良かったよ。どうする? また泳ぐ?」
大仰な礼をしながら聞いて来た子竜さんに、私はプライベートプールの水面に浮かぶ満月を見て大きく頷いた。
今度用意された水着はすごく可愛いけどやっぱり面積が少ない。
じっとそれを見てからなんとなく、まあ良いか、と思った。子竜さんは雄吾さんと違って場慣れしてそうだし、私が水着姿になったからってなんとも思ってなさそう。お風呂の脱衣所で手早く水着に着替えて髪をまとめると、プールのある部屋を覗き込む。
「……子竜さん?」
子竜さんはプールの中にいた。器用に仰向けになりながら、月を見ているのか目が遠くを見ている。
「子竜さん、お待たせしました」
「……いえいえ、女の子を待つのは慣れているって言ったろ?」
私と目を合わせず、月を見ている。その時私は気がついた。ふわふわと浮いている中に鮮やかな赤い尻尾も浮いているのだ。
くすくすと笑い出してしまう。
「もしかして、興奮してます?」
「好きな女の子のビキニ姿を見られると知っていて興奮しない雄はいないかな」
苦笑した顔をしながらも私の方を向いた。
私は微笑んでプールに浸かると、満月の浮いている水面の水をすくった。当たり前なんだけど、それで空の上にあるお月さまが手に入るわけじゃない。
「ビキニ用意したのって子竜さんですよね?」
「……いや、秘書だよ。報告は聞いていたけど、本当に良い仕事するな。あいつ」
じっと私の黒地に白の水玉模様のビキニを見てくる。
「見る目がいやらしいです」
「いやらしくない雄なんか居る?」
本当に不思議そうな顔をして聞くから私は吹き出した。
「子竜さんてそう言うことにあまり興味がないのかと思っていました」
「……それはどうして?」
「なんとなく……です。大人だから?」
「残念でした、俺は大人じゃないよ。臆病なだけ。透子ちゃんには絶対に嫌われたくないからね」
ふっと笑って水に潜った。ざばっと音がして、浮き上がると一気に泳ぎ出した。子竜さんて本当に泳ぎが上手いんだよね。それにフォームがすごく綺麗。もしかしたら学生の頃、水泳の選手だったのかもしれない。
あっという間にプールの端と端になってしまった。
「それって、私が何かしないと、何もしないってことですか?」
顔を上げたままの平泳ぎで着いて行く。
やっと追いついた子竜さんは鮮やかな赤い髪から水滴をぽたぽたと落としながら首を傾げた。
「もしそうだとしたら……してくれるの?」
私はプライベートプール付の部屋の大きな窓から見える、大きな満月が浮かぶ星空と海の共演に感動した。
ランチを食べたレストランからホテルへと移動した私たちはプールで遊んで疲れた後、せっかくだからとホテル内にあるエステでくつろいで夕飯を食べてから子竜さんにとっておきの景色があると言われてこの部屋へとやって来た。
「お褒めに預かり光栄です。今夜この部屋が空いてて良かったよ。どうする? また泳ぐ?」
大仰な礼をしながら聞いて来た子竜さんに、私はプライベートプールの水面に浮かぶ満月を見て大きく頷いた。
今度用意された水着はすごく可愛いけどやっぱり面積が少ない。
じっとそれを見てからなんとなく、まあ良いか、と思った。子竜さんは雄吾さんと違って場慣れしてそうだし、私が水着姿になったからってなんとも思ってなさそう。お風呂の脱衣所で手早く水着に着替えて髪をまとめると、プールのある部屋を覗き込む。
「……子竜さん?」
子竜さんはプールの中にいた。器用に仰向けになりながら、月を見ているのか目が遠くを見ている。
「子竜さん、お待たせしました」
「……いえいえ、女の子を待つのは慣れているって言ったろ?」
私と目を合わせず、月を見ている。その時私は気がついた。ふわふわと浮いている中に鮮やかな赤い尻尾も浮いているのだ。
くすくすと笑い出してしまう。
「もしかして、興奮してます?」
「好きな女の子のビキニ姿を見られると知っていて興奮しない雄はいないかな」
苦笑した顔をしながらも私の方を向いた。
私は微笑んでプールに浸かると、満月の浮いている水面の水をすくった。当たり前なんだけど、それで空の上にあるお月さまが手に入るわけじゃない。
「ビキニ用意したのって子竜さんですよね?」
「……いや、秘書だよ。報告は聞いていたけど、本当に良い仕事するな。あいつ」
じっと私の黒地に白の水玉模様のビキニを見てくる。
「見る目がいやらしいです」
「いやらしくない雄なんか居る?」
本当に不思議そうな顔をして聞くから私は吹き出した。
「子竜さんてそう言うことにあまり興味がないのかと思っていました」
「……それはどうして?」
「なんとなく……です。大人だから?」
「残念でした、俺は大人じゃないよ。臆病なだけ。透子ちゃんには絶対に嫌われたくないからね」
ふっと笑って水に潜った。ざばっと音がして、浮き上がると一気に泳ぎ出した。子竜さんて本当に泳ぎが上手いんだよね。それにフォームがすごく綺麗。もしかしたら学生の頃、水泳の選手だったのかもしれない。
あっという間にプールの端と端になってしまった。
「それって、私が何かしないと、何もしないってことですか?」
顔を上げたままの平泳ぎで着いて行く。
やっと追いついた子竜さんは鮮やかな赤い髪から水滴をぽたぽたと落としながら首を傾げた。
「もしそうだとしたら……してくれるの?」
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
落ちて拾われて売られて買われた私
ざっく
恋愛
この世界に来た日のことは、もうあまり覚えていない。ある日突然、知らない場所にいて、拾われて売られて遊女になった。そんな私を望んでくれた人がいた。勇者だと讃えられている彼が、私の特殊能力を見初め、身請けしてくれることになった。
最終的には溺愛になる予定です。