8 / 60
08 観覧席
しおりを挟む
ここ数年恒例のように続いている通り、王太子ギャレット様が闘技大会で優勝したので、婚約者の私は勝利の女神の代理として彼の頭に瑞々しい葉で造られた葉冠を被せた。
広い広い闘技場はギャレット様への声援で溢れ、自国の王太子への喝采を贈っていた。
半年前にギャレット様の婚約者となって、私は初めて闘技大会を観戦したのだけど、これは彼の持つ地位彼の父親などの忖度などは全く関係なく、単に実力通りの結果だった。
まずギャレット様が持つ『雷の子』という二つ名が何を意味しているかと言うと、恐らく落雷の如き動きの速度と何か魔力を纏った剣が振り下ろされる音が、闘技場に鳴り響き尋常な威力ではなかった。まさしく、豪雨に鳴り響く落雷のような。
……ギャレット様は、ずるい。
正統派美形でありつつ、戦闘には天賦の才を持ち、政務の勉強はサボるもことなく真面目で、女性相手の恋愛には少々不器用で可愛らしい一面も持つ。
そんな彼の評判を知れば、うら若い未婚女性は誰しもギャレット様のお嫁さんになりたいと夢見るだろうし、自身も持つものに自信のある女性ならなんとかして手に入れたいと思うのも道理だろう。
私はほど近くにある貴賓席に座る女性の姿を見つけ、やはり今日も来ていたのかと小さくため息をついた。
当然よね。彼女は前々からギャレット様に好意があることを、全く隠そうともしないもの。
一際目立つ豪華なドレスを纏い派手な髪型をしている彼女は、とある大国のお姫様。あんなにも目を引く格好をしているけど、表向きはお忍びでミスヴェア王国へやって来ている。
世界でも有名な彼女ほどの人が公式に国に出入りすれば、こちらの国もあちらの国もそのために多くの人員を割くことになるだろう。だから、一応はお忍び。けれど、非公式だとしも主張の強い姫君であることは隠せない。
つまり、半年前ほどにかの高貴な女性はギャレット様のことを気に入り、無理にでも彼との婚約の交渉を押し進めようとしたらしい。
予定外の事態に焦った王妃様は、自分の姪が成人するまでの短期間ギャレット様の婚約者の席を埋めるだけの人材を慌てて探した。
それが、私。
広い広い闘技場はギャレット様への声援で溢れ、自国の王太子への喝采を贈っていた。
半年前にギャレット様の婚約者となって、私は初めて闘技大会を観戦したのだけど、これは彼の持つ地位彼の父親などの忖度などは全く関係なく、単に実力通りの結果だった。
まずギャレット様が持つ『雷の子』という二つ名が何を意味しているかと言うと、恐らく落雷の如き動きの速度と何か魔力を纏った剣が振り下ろされる音が、闘技場に鳴り響き尋常な威力ではなかった。まさしく、豪雨に鳴り響く落雷のような。
……ギャレット様は、ずるい。
正統派美形でありつつ、戦闘には天賦の才を持ち、政務の勉強はサボるもことなく真面目で、女性相手の恋愛には少々不器用で可愛らしい一面も持つ。
そんな彼の評判を知れば、うら若い未婚女性は誰しもギャレット様のお嫁さんになりたいと夢見るだろうし、自身も持つものに自信のある女性ならなんとかして手に入れたいと思うのも道理だろう。
私はほど近くにある貴賓席に座る女性の姿を見つけ、やはり今日も来ていたのかと小さくため息をついた。
当然よね。彼女は前々からギャレット様に好意があることを、全く隠そうともしないもの。
一際目立つ豪華なドレスを纏い派手な髪型をしている彼女は、とある大国のお姫様。あんなにも目を引く格好をしているけど、表向きはお忍びでミスヴェア王国へやって来ている。
世界でも有名な彼女ほどの人が公式に国に出入りすれば、こちらの国もあちらの国もそのために多くの人員を割くことになるだろう。だから、一応はお忍び。けれど、非公式だとしも主張の強い姫君であることは隠せない。
つまり、半年前ほどにかの高貴な女性はギャレット様のことを気に入り、無理にでも彼との婚約の交渉を押し進めようとしたらしい。
予定外の事態に焦った王妃様は、自分の姪が成人するまでの短期間ギャレット様の婚約者の席を埋めるだけの人材を慌てて探した。
それが、私。
32
あなたにおすすめの小説
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。
第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。
「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。
「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。
だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。
全43話+番外編です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
この人が私の夫……政略結婚だけど、一目惚れです!
12歳にして、戦争回避のために隣国の王弟に嫁ぐことになった末っ子姫アンジェル。15歳も年上の夫に会うなり、一目惚れした。彼のすべてが大好きなのに、私は年の離れた妹のように甘やかされるばかり。溺愛もいいけれど、妻として愛してほしいわ。
両片思いの擦れ違い夫婦が、本物の愛に届くまで。ハッピーエンド確定です♪
ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/07/06……完結
2024/06/29……本編完結
2024/04/02……エブリスタ、トレンド恋愛 76位
2024/04/02……アルファポリス、女性向けHOT 77位
2024/04/01……連載開始
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる