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本編
美男
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「ジョッシュという人にこの書類を届けて来たら良いんですか?」
うん、とリプリ団長は頷いた。結構厚めの封筒だ。これ忘れていたら洒落にならないんじゃないんだろうか。
「今は訓練所に居るはずだ。そのまま会議へ直行する予定だからね。…本当に大丈夫かい?」
心配そうに麗しい顔を歪めるリプリ団長。私は目を見張ってしまった。じっと見てしまう私に居心地悪そうな団長。
「う、うん。君は普通の人との全然反応が違うから僕らも戸惑っているんだ。それにそこに行けば強制的に訓練している奴等にも会えるだろうから、一度会ってしまえば彼等も気楽に会えるんじゃないかな」
美男子しかいない訓練とか楽園でしかないですよね?
「わかりました」
私はなるべく表情を消しながら言ったけど、目は期待で潤んでしまっていた。
訓練所に行くには城の中にある通路を通ることになる。
「やあ、君、どこに行くんだい?」
「訓練所です」
素っ気なく答える、見るからにあまりお近づきになりたくないような男性から声をかけられた、恐らくこちらでの世界の美男だ。自信満々なのもしょうがない。だって美男なんだもの。
「今あそこに行くのは良くないよ」
「仕事ですので」
「危ないよ、今は黒竜騎士団が訓練している、君もとって食われたくはないだろう?」
「そこの所属です」
え、と美男の動きが止まる。
「君みたいな可愛い子があんなところの所属になるなんて!僕が話をつけてやろう」
「必要ありません」
だって私が希望して入ったんだもん。
「とにかく駄目だ、僕が言ってやる」
と、言いながらどこかに行ってしまった。なんか面倒なことになりそうだけど、追いかけるのもイヤだ。しょうがない。放っておこう。
「ガードルート」
「フィース、イアン」
爽やかな双子を見ると目が癒される。
「どうしたの、白龍騎士に声をかけられてなかった?」
白龍騎士というのは黒竜騎士団の対になる主に近衛の担当の騎士団の騎士だ。いわゆる見目の良い騎士しかいないらしい。私にはぜんぜん用事のない人達だけど。
「なんでもない。ジョッシュさんという人に書類を届けるように頼まれているんだけど」
「ああ、…僕が届けておこうか?」
フィースが書類を受け取ろうとするのを私は避けた。
「私の仕事だから、持っていくよ」
私の楽しみを奪わないで。せっかく黒竜騎士団の皆さまに会える機会なのに。
「そ、そう?」
フィースはなんとも言えない顔で固まっている。イアンはいつも通り無表情だ。
「フィースとイアンはどうしたの?訓練の途中じゃないの?」
「僕らはいつも通り君の手伝いに行くところだったんだ。それなら案内するよ」
フィースは先導して歩き出した。
すごい楽しみ。
うん、とリプリ団長は頷いた。結構厚めの封筒だ。これ忘れていたら洒落にならないんじゃないんだろうか。
「今は訓練所に居るはずだ。そのまま会議へ直行する予定だからね。…本当に大丈夫かい?」
心配そうに麗しい顔を歪めるリプリ団長。私は目を見張ってしまった。じっと見てしまう私に居心地悪そうな団長。
「う、うん。君は普通の人との全然反応が違うから僕らも戸惑っているんだ。それにそこに行けば強制的に訓練している奴等にも会えるだろうから、一度会ってしまえば彼等も気楽に会えるんじゃないかな」
美男子しかいない訓練とか楽園でしかないですよね?
「わかりました」
私はなるべく表情を消しながら言ったけど、目は期待で潤んでしまっていた。
訓練所に行くには城の中にある通路を通ることになる。
「やあ、君、どこに行くんだい?」
「訓練所です」
素っ気なく答える、見るからにあまりお近づきになりたくないような男性から声をかけられた、恐らくこちらでの世界の美男だ。自信満々なのもしょうがない。だって美男なんだもの。
「今あそこに行くのは良くないよ」
「仕事ですので」
「危ないよ、今は黒竜騎士団が訓練している、君もとって食われたくはないだろう?」
「そこの所属です」
え、と美男の動きが止まる。
「君みたいな可愛い子があんなところの所属になるなんて!僕が話をつけてやろう」
「必要ありません」
だって私が希望して入ったんだもん。
「とにかく駄目だ、僕が言ってやる」
と、言いながらどこかに行ってしまった。なんか面倒なことになりそうだけど、追いかけるのもイヤだ。しょうがない。放っておこう。
「ガードルート」
「フィース、イアン」
爽やかな双子を見ると目が癒される。
「どうしたの、白龍騎士に声をかけられてなかった?」
白龍騎士というのは黒竜騎士団の対になる主に近衛の担当の騎士団の騎士だ。いわゆる見目の良い騎士しかいないらしい。私にはぜんぜん用事のない人達だけど。
「なんでもない。ジョッシュさんという人に書類を届けるように頼まれているんだけど」
「ああ、…僕が届けておこうか?」
フィースが書類を受け取ろうとするのを私は避けた。
「私の仕事だから、持っていくよ」
私の楽しみを奪わないで。せっかく黒竜騎士団の皆さまに会える機会なのに。
「そ、そう?」
フィースはなんとも言えない顔で固まっている。イアンはいつも通り無表情だ。
「フィースとイアンはどうしたの?訓練の途中じゃないの?」
「僕らはいつも通り君の手伝いに行くところだったんだ。それなら案内するよ」
フィースは先導して歩き出した。
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