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本編

参謀

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その人は団長室にお茶とお菓子を持ち込んでリプリ団長と談笑していた私の前に突然現れた。

「すまない。邪魔したか」
この世界に眼鏡かけたクール系の銀髪青目なんて生息してたんだ。私は大きく目を見開いて魅入ってしまった。
「いや、大丈夫だ。ガードルート、彼はこの騎士団の参謀のヴィンセントだ」
私は頭を下げた。
「ガードルートです。よろしくお願いします」
「ヴィンセントだ」
短く挨拶をするとヴィンセントさんはリプリ団長に書類を手渡してすぐに居なくなってしまった。なんだか残念。

「ヴィンセントが気になるかい?」
リプリ団長は苦笑した。私が名残惜しげに扉の方を見ていたからだ。
「参謀って何ですか?」
「戦いなどの作戦を立てたり用兵の計画を立てる人のことだよ」
リプリ団長は容姿にコンプレックスはあるのだろうが、おおらかで卑屈さが全くなくとっても話しやすい。それに物知り。私は好き。
「とっても頭が良いんですね」
団長は頷きながら笑った。
「あの容姿でさえなければ宰相も目指せたかもしれないね」
「宰相って容姿も問われるんですか?」
「いや、だが公式の場には出なければならない立場だから…暗黙の了解というか…」
実力以外で判断されるのは辛いと思う。努力を重ねていたなら尚更。

「ガードルート」
「フィース、あれ?イアンは?」
いつものセットのイアンがいない。
「ミッキーさんと買い出し行ってる」
「あ、ミッキー君ってやっぱりフィース達と年近いの?見た目幼いもんね」
「いや?」
「え?何歳?」
「あの人23くらいだと思うよ。詳しくは知らないけど」
え?思ったよりすごい年上なんだけど、ミッキー君。君つけて良いのかな。
「ちなみにフィース達っていくつ?」
「18」
「あ、そこは見た目通りなんだ」
「騎士団に入団できるのが18からだからな」
「その前は騎士学校?」
フィースは頷いた。
「三年間勉強と訓練してからだな」
「ふーん、やっぱり大変なんだね」

「…それよりガードルート、ノアさんとのキスってその…」
言いにくそうにフィースが尋ねてきた。
「したよ?」
「えっ、そうなのか。どうだった?」
どうっていうか。
「なんでそんなの聞きたいの?」
「…気になるだろ」
私はニヤニヤして言った。
「フィースもキスしたいの?」
「したいよ」
「…したくないって言うと思った」
皮肉屋フィースだし?あんなにしたのにまだしたりないのかな。
「したい。なんであの時イアンにだけキスしたんだよ」
「ほっぺにでしょ」
「それでもだ」
「して欲しい?」
「うん」
「嫌」
フィースはしょんぼりしてた。ちょっと可愛かった。
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