45 / 155
本編
先手
しおりを挟む
「君は騎士が憧れだと言っていたが、黒竜騎士団で働き出したのもそれが理由なのか?」
私はコクンと頷いた。
「あと、結婚相手も探したいなぁって思いました」
ヴィンセントさんは目を丸くした。
「それは…白龍騎士団で?」
ふるふる、と首を振る。
「黒竜騎士団で、です」
「なぜ?」
「えっと…」
ここまで突っ込まれて聞かれたのははじめてだけど、嘘ついてもしょうがないから言おう。
「私は黒竜騎士団の人達がとっても格好良く見えるんです。白龍騎士団の人達は反対で…だから、私が魅力的に感じるのは黒竜騎士団の皆さんなんです」
ヴィンセントさんは言葉もないように、黙っている。
「その、ちょっとおかしいと思われるかもしれないんですけど、本当にそうで。ヴィンセントさんのことも、知的眼鏡クール美形にしか見えません」
「それは、本当なのか」
ちょっと時間が経ってからヴィンセントさんは噛み締めるように言った。
「はい」
「そうか…ちなみに君には今決まった恋人は居るのか」
「居ません」
ヴィンセントさんは顎に手を持って言って考え顔だ。
どうしたんだろう?
「あの、ヴィンセントさん?」
「…いや、なんでもない。ありがとう。参考になった」
「それは良かったです?」
「…例えば、だが、君と今キスをしたいと言ったらどうなる?」
「…したいんです?」
「ああ」
私は身を乗り出してちゅ、と唇にキスをした。
「…深いキスは?」
身を傾けたそのままの状態で聞いてきた。
「えっと、します?」
静かにヴィンセントさんは頷く。
ヴィンセントさんは口をすこし開けて待っていた。するり、と私の舌が入り込む。
彼はすぅっと舌を強く吸い込むとコクンと唾液を飲んだ。ヌメヌメと擦れ合ってすごく気持ち良かった。
ヴィンセントさんは私の目を見つめた。
「君は、私のことが気持ち悪くないんだな」
「はい」
「じゃあ、私を恋人候補にしてくれないか」
「は…え?」
「返事はすぐじゃなくて良い」
「え、ええと」
私は混乱した。恋人は欲しいと思っていたけど、こういう展開になるとは想像していなかったのだ。
「先手必勝と言うだろう?」
というと、にやりと悪い笑みをした。
私はコクンと頷いた。
「あと、結婚相手も探したいなぁって思いました」
ヴィンセントさんは目を丸くした。
「それは…白龍騎士団で?」
ふるふる、と首を振る。
「黒竜騎士団で、です」
「なぜ?」
「えっと…」
ここまで突っ込まれて聞かれたのははじめてだけど、嘘ついてもしょうがないから言おう。
「私は黒竜騎士団の人達がとっても格好良く見えるんです。白龍騎士団の人達は反対で…だから、私が魅力的に感じるのは黒竜騎士団の皆さんなんです」
ヴィンセントさんは言葉もないように、黙っている。
「その、ちょっとおかしいと思われるかもしれないんですけど、本当にそうで。ヴィンセントさんのことも、知的眼鏡クール美形にしか見えません」
「それは、本当なのか」
ちょっと時間が経ってからヴィンセントさんは噛み締めるように言った。
「はい」
「そうか…ちなみに君には今決まった恋人は居るのか」
「居ません」
ヴィンセントさんは顎に手を持って言って考え顔だ。
どうしたんだろう?
「あの、ヴィンセントさん?」
「…いや、なんでもない。ありがとう。参考になった」
「それは良かったです?」
「…例えば、だが、君と今キスをしたいと言ったらどうなる?」
「…したいんです?」
「ああ」
私は身を乗り出してちゅ、と唇にキスをした。
「…深いキスは?」
身を傾けたそのままの状態で聞いてきた。
「えっと、します?」
静かにヴィンセントさんは頷く。
ヴィンセントさんは口をすこし開けて待っていた。するり、と私の舌が入り込む。
彼はすぅっと舌を強く吸い込むとコクンと唾液を飲んだ。ヌメヌメと擦れ合ってすごく気持ち良かった。
ヴィンセントさんは私の目を見つめた。
「君は、私のことが気持ち悪くないんだな」
「はい」
「じゃあ、私を恋人候補にしてくれないか」
「は…え?」
「返事はすぐじゃなくて良い」
「え、ええと」
私は混乱した。恋人は欲しいと思っていたけど、こういう展開になるとは想像していなかったのだ。
「先手必勝と言うだろう?」
というと、にやりと悪い笑みをした。
34
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
【美醜逆転】ポジティブおばけヒナの勘違い家政婦生活(住み込み)
猫田
恋愛
『ここ、どこよ』
突然始まった宿なし、職なし、戸籍なし!?の異世界迷子生活!!
無いものじゃなく、有るものに目を向けるポジティブ地味子が選んだ生き方はーーーーまさかの、娼婦!?
ひょんなことから知り合ったハイスペお兄さんに狙いを定め……なんだかんだで最終的に、家政婦として(夜のお世話アリという名目で)、ちゃっかり住み込む事に成功☆
ヤル気があれば何でもできる!!を地で行く前向き女子と文句無しのハイスペ醜男(異世界基準)との、思い込み、勘違い山盛りの異文化交流が今、始まる……
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる