花は風と共に散る【美醜逆転】

待鳥園子

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本編

作戦決行

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私は上層階にある応接室の一つに居て、ごくり、と息を飲んだ。
例のランスロット・デュロイさんからいよいよ呼び出しの手紙が届いたのだ。
「やぁ、すまないな。待たせてしまった」
「いえ。大丈夫です。なんの御用でしょうか?」
約束の時間より少し遅めに来たランスロットさんに微笑む。
「いや、君が何か困っていることはないかと思ってな…」
「えっと、特にはありません」
「嘘はつかなくて良い」
「ついていません」
「…それではそういうことにしておこう」

「えっと、用はそれだけですか?」
私は手早くその場を去る準備を始めた。
「いや…ちょっと待ってくれ。違うんだ…そうではなく。その…」
「何ですか?」
言い淀むランスロットさんにいらいらとしてしまう。
「…君が望むのなら結婚してやっても良い」

は?

「僕のような人間と結婚するのは君も気遅れすることもあるだろうが、大丈夫だ。僕がきちんと周りに話をつける。どうだ。ガードルート」
「ごめんなさい」
無理です。と言わなかったのは私のささやかな礼儀だ。言いにくそうに口籠られても正直、ぜんぜんときめかないし。

「なぜだ…」
「なぜって言われましても、もう私結婚を前提にしてお付き合いしている人が居ます」
「…だからなんだ!なんであんな奴らが良くて僕が駄目なんだ!僕の方が容姿も役職だって上だ!何が不満なんだ!」
いやだから、容姿役職は置いておいてもそういう意味のわからないこと言う性格とかもぜんぶ無理。
「…ごめんなさい」

ランスロットさんは立ち上がり、私の胸ぐらを掴み上げると右手を振り上げた。

チャキっと音がしてランスロットさんの首元にナイフが突きつけられる。
「そこまでです。デュロイ副団長」
「…ミッキー・ハーディングか。なぜここに」
「恋人を男と2人にすると思いましたか」
「くそっ」
私から乱暴に手を離すとランスロットさんは呻いた。

「デュロイ副団長、困りましたね。あなたのように役職のある男性が軽率にすることではない」
影に隠れていたヴィンセントさんが出てくる。ノアさんが私を抱き上げてランスロットさんを睨んだ。

「…何が望みだ」
「おや、話の早いことだ。察しの良い人は好きですよ」
「お前に好かれたくはない」
「奇遇ですね。同感だ」
ヴィンセントさんは笑顔を崩さない。

「簡単ですよ。ある令嬢をあなたが誘惑してくれたら良い。それでこの1件は手を打つことにしましょう。
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