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本編

外泊

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今日はミッキー君とのデートで外泊、というか逢引用の宿屋に来ている。何故かっていうと、彼好みの可愛いレースやフリルいっぱいの部屋があるからだ。自分で住むのは嫌だけど、私がそこに居るのが見たいらしい。そういう気持ちはよく分からないけど、喜んでくれるんだったらそれで良いかな。

「殿下はあれから何も…?」
いつ見ても可愛い顔のミッキー君は首を傾げた。私は頷きながら言う。
「うん。手も繋いでないよ。お話しするだけ」
こういう進捗は気持ちが複雑になるだろうから私はあまり口には出したりしないんだけど、レオンの場合は別だ。1人だけ加わるのが同時じゃなかった彼を皆気にしているのか聞いてくる。
「そうですか…」
「気になる?」
「そうですね。気にならないと言ったら嘘になりますけど」
言葉を切るようにすると茶色いどんぐり目を私に向けた。
「ガードルートさんはどう思っているんですか?」
「どういうこと?うーん。レオンは奥手なのかなとも思うかな。別に進展がないことは特に気にしてないよ」
「…仮にも付き合っている好きな女の子を前にして何もしないっていうことはかなり我慢しているんだと思いますよ」
ミッキー君は苦笑した。私はそれを見てちょっと意外に思う。
「…ミッキー君はレオンのことはどう思っているの?」
多分私を助けに来てくれたあの時だけしかミッキー君とレオンは会っていないはずだ。それとも、恋人達会議がまた私の知らないところで行われたのかな。なんか、麻痺してきているけど、ほんとびっくりする響きだよね。

「…殿下のことはなんとも。陛下には思うところもありますが」
「…ミッキー君はレオンを卑怯だと思う?」
「いいえ。…ガードルートさんがあの時、彼を見捨てられないと泣いていた時、僕はなんだか、昔の自分を見捨てられないと言っているように思いました。昔の僕はお金や外見のことに執着していた…哀れな男です。僕はガードルートさんを愛してるので貴方が大事にするものも守りたいと思っています。…彼もまた貴方の大事な恋人だ。だから、僕は今は納得しています」
「…ありがとう。ミッキー君。大好きよ」
「僕もです。ガードルートさん、いつも貴方を想っています」

「じゃあ、この兎の衣装脱いで良い?」
私はもこもこの衣装を着ている。この部屋にあった兎の可愛い衣装だ。情報誌に書いていたらしいけど、よく見つけてきたよね。ミッキー君。
可愛いんだけど、やっぱりちょっと恥ずかしい。大事な部分は透けてるし。
「ダメです。僕が良いって言うまでずっとそのままでいて下さいね」
「いつも想ってくれてるんでしょう?」
ちょっとむくれる。なんて言っても暑いのだ。もこもこだし。もう、夏も近いし。
「それはそうですけど、可愛いのでそのままでしましょうか?」
「…ほんとに?」
「ええ。ちょっと暑いですけど我慢してくださいね」
ミッキー君はにこっと良い笑顔で笑った。
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