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綻び
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「俺は契約を望まない、お互いが同意しないとこの契約は無効だ。もうこの話は止めよう」
少年はまた寂しそうな顔をしたが、それ以上契約の話はしなかった。
「わかったよ、おじさん。でも少しでも僕に出来る事があれば言って!おじさんが物に触れないなら僕が代わりにやる。話したい人が居るなら僕が話しかける!それ位は手伝わせて。」
少年は真剣な眼差しで真っ直ぐにこちらを見て話した。
その瞳は嘘偽り無くただ俺を助けたい、そう訴えかけていた。
その善意は振り解けなかった、むしろありがたかった。
ただ、あまりこの少年を危険には巻き込みたく無い。最低限の事だけ頼むか…
「分かった、ありがとな。じゃあ早速なんだが少し手伝って欲しい事がある」
俺がそう言った瞬間少年は嬉しそうに微笑んで二つ返事でやる!と言った。
あまりに手掛かりが少なすぎる。
まだ聞き込みが必要だ、しかし俺は人に話しかける事が出来ない。
少年に頼んで学園内の聞き込みを頼みたかったのだ。
「あの行方不明になってる中等部の2年3組の星野みよ。今探してるんだが、手掛かりが無くてこの学園に来たんだ。俺の代わりに星野みよについて聞いて回って欲しい。頼めるか?」
小学生に頼むには少しハードルの高い作業だ、だがこの少年は少し大人びた雰囲気だが見た目は可愛らしい綺麗な顔立ちをしている。
話し方や佇まいも子供らしくなく、この少年ならきっとこなせる気がしたのだ。
少年は嬉しそうに「わかった!じゃあ2年3組の教室に行こう!」と言い、元気に駆け出した。
教室に向かいながら、中等部の生徒がチラチラ少年を見る。
そりゃあそうだ、同じ学園とは言え少年は小学生だ。
「悪りぃな、こんなとこ来させて。中等部なんて来ることあんまねぇから気まずいだろうに」
小声で少年は話す。
「大丈夫!いずれは僕も進学したらこの校舎に来るし、それに兄弟でこの学園に通ってる子もいるから。学園内の施設は小~高等部まで共有出来るし僕ならそんな怪しまれないよ」
随分余裕のある返答だ、やはりどこか歳にそぐわない思考と言うか…小学生にしてはしっかりしているな。
「それに僕もう6年生で来年から中学生だし、見た目程そんな子供でもないよ」
俺の言葉を見透かしたような発言をして度肝を抜かれた。
2年3組の教室に着くやいなや、少年は教室にいる少年は垢抜けた感じの3人の女生徒のグループに話しかけた。
「おっ、おい、ちょっ…」
まだ具体的に何を聞いてくれとか話してないし、詳しい作戦会議もしていない、何聞くつもりだ。
「すみません、僕このクラスの星野みよの親戚の者です。今行方不明になっているんで手掛かりを探しているんですが、何かご存知じゃないですか?」
小学生にしちゃあよく機転がきくな。
口も達者だ、家柄がちゃんとしてるからか?
すげぇな。
「わざわざこんなとこまで聞きに来たの?偉いね、超可愛い!」
「星野さん行方不明で心配だよね?でも私達そんな話はした事なくて…」
「あっ、ただ星野さん図書委員だから放課後はいつも図書室にいたよね。あとはたまーに1組の椎名さん達に呼び出されてどっか行ったり…何か揉めてたのも見たけど」
「ちょっと!あんた!余計な事言わないの!面倒臭い事になったらどうすんの!」
「そういや椎名さん達も今日休みじゃ無い?」
「うるさい!ごめんねぇ~私達星野さんの居場所まではちょっと分かんないんだ」
少年は笑顔で会釈をし、お礼をしてその場を立ち去った。
「おじさん、1組の椎名さんって人ならなんか知ってるんじゃないかな?今日お休みみたいだけど」
「俺も話だけさっき聞いてきたんだが、どうやらその1組の椎名ってやつら怪しいんだ。
嫌がらせだが何だかしてたとか…」
「なんか匂うね、このタイミングでお休みなんて。1組で椎名さんの事聞いてみる?」
「ああ、そうだな」
俺達は1組の教室に向かった。
教室の中から微かに声が聞こえて来た。
「椎名のやつ、ここ三日休んで星野も暫く行方不明で来てねぇし二年の図書委員の仕事俺全部一人でやってんだけど」
「帰っちまえば?俺ならバックれるな、椎名はサボりじゃね?!あいついつも星野に仕事押し付けてたし」
「まじやってらんねぇ、はぁぁ。じゃあ俺行くわ」
「なんだかんだお前やるんだ、真面目だな」
「じゃあなー」
ガラガラ
教室から図書委員らしき学生が出てきた。
物珍しそうに少年を一瞬見たが、そのまま立ち去って行った。
「おじさん、椎名って人も図書委員だって」
「ああ、図書委員の今のやつ他にも何か知ってるかもな、尾行してみるか。お前図書館入れるんだよな?」
「うん!行こう!」
二人は先程の学生と距離をとりながら図書館に向かった。
少年はまた寂しそうな顔をしたが、それ以上契約の話はしなかった。
「わかったよ、おじさん。でも少しでも僕に出来る事があれば言って!おじさんが物に触れないなら僕が代わりにやる。話したい人が居るなら僕が話しかける!それ位は手伝わせて。」
少年は真剣な眼差しで真っ直ぐにこちらを見て話した。
その瞳は嘘偽り無くただ俺を助けたい、そう訴えかけていた。
その善意は振り解けなかった、むしろありがたかった。
ただ、あまりこの少年を危険には巻き込みたく無い。最低限の事だけ頼むか…
「分かった、ありがとな。じゃあ早速なんだが少し手伝って欲しい事がある」
俺がそう言った瞬間少年は嬉しそうに微笑んで二つ返事でやる!と言った。
あまりに手掛かりが少なすぎる。
まだ聞き込みが必要だ、しかし俺は人に話しかける事が出来ない。
少年に頼んで学園内の聞き込みを頼みたかったのだ。
「あの行方不明になってる中等部の2年3組の星野みよ。今探してるんだが、手掛かりが無くてこの学園に来たんだ。俺の代わりに星野みよについて聞いて回って欲しい。頼めるか?」
小学生に頼むには少しハードルの高い作業だ、だがこの少年は少し大人びた雰囲気だが見た目は可愛らしい綺麗な顔立ちをしている。
話し方や佇まいも子供らしくなく、この少年ならきっとこなせる気がしたのだ。
少年は嬉しそうに「わかった!じゃあ2年3組の教室に行こう!」と言い、元気に駆け出した。
教室に向かいながら、中等部の生徒がチラチラ少年を見る。
そりゃあそうだ、同じ学園とは言え少年は小学生だ。
「悪りぃな、こんなとこ来させて。中等部なんて来ることあんまねぇから気まずいだろうに」
小声で少年は話す。
「大丈夫!いずれは僕も進学したらこの校舎に来るし、それに兄弟でこの学園に通ってる子もいるから。学園内の施設は小~高等部まで共有出来るし僕ならそんな怪しまれないよ」
随分余裕のある返答だ、やはりどこか歳にそぐわない思考と言うか…小学生にしてはしっかりしているな。
「それに僕もう6年生で来年から中学生だし、見た目程そんな子供でもないよ」
俺の言葉を見透かしたような発言をして度肝を抜かれた。
2年3組の教室に着くやいなや、少年は教室にいる少年は垢抜けた感じの3人の女生徒のグループに話しかけた。
「おっ、おい、ちょっ…」
まだ具体的に何を聞いてくれとか話してないし、詳しい作戦会議もしていない、何聞くつもりだ。
「すみません、僕このクラスの星野みよの親戚の者です。今行方不明になっているんで手掛かりを探しているんですが、何かご存知じゃないですか?」
小学生にしちゃあよく機転がきくな。
口も達者だ、家柄がちゃんとしてるからか?
すげぇな。
「わざわざこんなとこまで聞きに来たの?偉いね、超可愛い!」
「星野さん行方不明で心配だよね?でも私達そんな話はした事なくて…」
「あっ、ただ星野さん図書委員だから放課後はいつも図書室にいたよね。あとはたまーに1組の椎名さん達に呼び出されてどっか行ったり…何か揉めてたのも見たけど」
「ちょっと!あんた!余計な事言わないの!面倒臭い事になったらどうすんの!」
「そういや椎名さん達も今日休みじゃ無い?」
「うるさい!ごめんねぇ~私達星野さんの居場所まではちょっと分かんないんだ」
少年は笑顔で会釈をし、お礼をしてその場を立ち去った。
「おじさん、1組の椎名さんって人ならなんか知ってるんじゃないかな?今日お休みみたいだけど」
「俺も話だけさっき聞いてきたんだが、どうやらその1組の椎名ってやつら怪しいんだ。
嫌がらせだが何だかしてたとか…」
「なんか匂うね、このタイミングでお休みなんて。1組で椎名さんの事聞いてみる?」
「ああ、そうだな」
俺達は1組の教室に向かった。
教室の中から微かに声が聞こえて来た。
「椎名のやつ、ここ三日休んで星野も暫く行方不明で来てねぇし二年の図書委員の仕事俺全部一人でやってんだけど」
「帰っちまえば?俺ならバックれるな、椎名はサボりじゃね?!あいついつも星野に仕事押し付けてたし」
「まじやってらんねぇ、はぁぁ。じゃあ俺行くわ」
「なんだかんだお前やるんだ、真面目だな」
「じゃあなー」
ガラガラ
教室から図書委員らしき学生が出てきた。
物珍しそうに少年を一瞬見たが、そのまま立ち去って行った。
「おじさん、椎名って人も図書委員だって」
「ああ、図書委員の今のやつ他にも何か知ってるかもな、尾行してみるか。お前図書館入れるんだよな?」
「うん!行こう!」
二人は先程の学生と距離をとりながら図書館に向かった。
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