お前なんかに喰われてたまるかコノヤロー!

只野ぱんだ

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赤い糸

社の中

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気が付いたら暗くてぼろぼろな小屋?の様な場所にいた...ここは何処だ???

身体中に蜘蛛の糸が絡まっていて起き上がる事すらできない...何で???

『我が伴侶よ...』

何処からか声が聞こえる...何処だ?

その瞬間ぬっと上から顔を覗かれる!

「なっ!」

人間の男???日本人らしくない肌も白く彫りの深い顔...しかも目が...虹彩の色が血の様に真っ赤...髪が蜘蛛の糸のように白い男だ...

いや何かがおかしい...目を動かすと人の顔なのに身体が...そう下半身が蜘蛛なのだ!

『社は壊され、依代は割られてしまい徐々に力が失われてつつあるが、我が伴侶...お前がいれば...』

目を細め薄ら笑いを浮かべながら...その両手で顔を掴まれる。

「なんで...」

『赤子の頃よりお前を見ていた...新たな身体を産み出すに相応しい『血』の匂い...我が伴侶に相応しい女よ』

「産み出すとかって...まさか」

おぞましい事が頭に過ぎる。

『我の子を孕み...産まれたその子の糧となるのだ...』

頬を長い舌でべろりと舐められる!

「ひっ!」

『光栄に思え、我はこの地を長く納めた神『夜都賀波岐(ヤツガハギ)』...お前はその伴侶であり母になるのだ』

「嫌だ...嫌に決まってるだろうが!」

化け物の子供を産む上、糧って事は食われて死ねって意味じゃないか!

『ほぅ...お前に害を無して来た存在を亡き者とし守って来たのだぞ?』

「もしかして...高島や伊藤を殺したのはお前か?」

『あの女はお前を突き落とし...あの男は我が伴侶に手を出そうとしたからだ...他にもお前に危害を加えて来た連中は皆...』

もしかして...最近の事件だけじゃないのか?

『お前と良く一緒にいた爺はお前を叱っていたな...』

「お爺ちゃんまで!」

病気で苦しんでたと思ってたけどまさかこいつが!

「お爺ちゃんは私が悪い事したから怒ってくれただけだったんだ!それに高島や伊藤だって死ななくったって良かったんだ!人が死ぬ事なんて私はそんな事頼んじゃいないのにっ、なんて事しやがってこの化け物!」

暴れようにも蜘蛛の糸に身体中が絡まって動けない!

『それとお前を我から奪おうとした小鬼もな...』

そう言う化け物の言葉...まさか...

目だけ周囲を見回すと...近衛 慶秋の姿だ。

それそこ蜘蛛の糸に身体中巻きつかれて逆さまにぶら下がっている!

「近衛!近衛っ!」

『精々産まれて30年程度の若造の分際で生意気な...』

化け物はそう言うとぶら下がっている近衛の首に上から垂れ下がった蜘蛛の糸が巻きつき、グググと締め上げる!

「う...あっ!」

首を締め上げられて苦しむ近衛。

「近衛!」

殺されそうな近衛を見て私はただ叫ぶしか出来なかった...

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