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第二部
話は数日前にさかのぼる
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数日前。
ボーリングではこちらがコテンパンにされてしまった、なんとかして徳山の悔しがる顔が見られないだろうか、と思い悩んでいた早乙女はある秘策を考えつき、中条とともにゲームセンターに向かった。
「まず徳山のやっていなさそうなゲームを猛練習する。上達したらそのゲームで勝負を挑む。こうすれば確実に勝てるのではないだろうか!」
彼女は作戦を披露する。
それを聞いた中条は、おおーっと歓声を上げたが直後にある疑問を口にした。
「でも徳山君のやっていないゲームって何だろうね?」
「うーん。そこなんだよね」
その点は早乙女も気になっていた。彼女にとって徳山ソラは謎の人物である。彼の不得意なゲームは何なのか、皆目見当もつかない。
二人はあれこれ悩んだ挙句、音ゲーに賭けることにした。
「頼む、苦手分野であってくれ!」
そんなことを考えながら早乙女は音ゲーの練習を始めたのであった。
話は現在に戻る。早乙女は全力で徳山に謝罪していた。
「申し訳ありませんでした!」
「いいよ」
「徳山君に勝ちたくてつい姑息な手段を使ってしまいました!」
「いいってば」
「もう二度とこんなことしません! どうか許してください!」
「うん。許したよ。だからもう謝らないで、早乙女さん」
「うう」
徳山の優しさに触れ涙目になる早乙女。そして彼のそんな優しさがより一層彼女の後悔の念を強くした。私はこんな親切な人を裏切ってしまったのか。そう考えてしまいますます落ち込んでしまう。
「元気出して、早乙女さん。とりあえず何か食べようよ。向こうにアイスクリーム屋さんがあったよ。ね、アイスクリーム食べたくない? アイスクリーム食べよ?」
徳山ソラは珍しく頑張った。彼からしてみればこんな些細なことで落ち込まれても困るのである。
助けて中条さん。彼は中条に懇願するように視線を送った。彼女は小声で「がんばれ」と言い、ガッツポーズをした。
彼は意を決した。
「とにかく僕はアイス食べに行くからね」
投げやりに言い放つと、うなだれている早乙女の手を取ってそのまま連れて行ってしまった。
その様子を見届け、中条は非常に満足そうな顔をした。
ボーリングではこちらがコテンパンにされてしまった、なんとかして徳山の悔しがる顔が見られないだろうか、と思い悩んでいた早乙女はある秘策を考えつき、中条とともにゲームセンターに向かった。
「まず徳山のやっていなさそうなゲームを猛練習する。上達したらそのゲームで勝負を挑む。こうすれば確実に勝てるのではないだろうか!」
彼女は作戦を披露する。
それを聞いた中条は、おおーっと歓声を上げたが直後にある疑問を口にした。
「でも徳山君のやっていないゲームって何だろうね?」
「うーん。そこなんだよね」
その点は早乙女も気になっていた。彼女にとって徳山ソラは謎の人物である。彼の不得意なゲームは何なのか、皆目見当もつかない。
二人はあれこれ悩んだ挙句、音ゲーに賭けることにした。
「頼む、苦手分野であってくれ!」
そんなことを考えながら早乙女は音ゲーの練習を始めたのであった。
話は現在に戻る。早乙女は全力で徳山に謝罪していた。
「申し訳ありませんでした!」
「いいよ」
「徳山君に勝ちたくてつい姑息な手段を使ってしまいました!」
「いいってば」
「もう二度とこんなことしません! どうか許してください!」
「うん。許したよ。だからもう謝らないで、早乙女さん」
「うう」
徳山の優しさに触れ涙目になる早乙女。そして彼のそんな優しさがより一層彼女の後悔の念を強くした。私はこんな親切な人を裏切ってしまったのか。そう考えてしまいますます落ち込んでしまう。
「元気出して、早乙女さん。とりあえず何か食べようよ。向こうにアイスクリーム屋さんがあったよ。ね、アイスクリーム食べたくない? アイスクリーム食べよ?」
徳山ソラは珍しく頑張った。彼からしてみればこんな些細なことで落ち込まれても困るのである。
助けて中条さん。彼は中条に懇願するように視線を送った。彼女は小声で「がんばれ」と言い、ガッツポーズをした。
彼は意を決した。
「とにかく僕はアイス食べに行くからね」
投げやりに言い放つと、うなだれている早乙女の手を取ってそのまま連れて行ってしまった。
その様子を見届け、中条は非常に満足そうな顔をした。
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