還暦彼氏

ハル

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9. 私の部屋で

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 食事を終えて茜の部屋に戻って二人。

「美雪とお爺ちゃんが知り合いだったなんて、もうビックリ…」

「私だって、あの時のおじ様が茜のお爺ちゃんなんでビックリして頭の中真っ白になったから…」

「だよね」

「それでどうだった、お爺ちゃんモテそうでしょ?」

美雪はまた顔を赤くして

「うん、素敵だわ」

「何言ってんの、美雪、変なこと言わないで」

「だって、優しくて、紳士的で、お金持ち、それに顔も人並み以上ときたらモテないはず無いよ…あー、私も心配だぁ」

「はぁ?、またまた何言ってんの?」

「お爺ちゃんが再婚したら私達家族は追い出されるんだから、もう、ちゃんと考えてぇ」

 美雪が茜の方をじっと見て一言。

「茜、まずお爺様が再婚する気があるか聞いて来て…再婚する気も無いのに茜の勝手な心配で振り回されたら嫌だし、ねぇ、だから今から聞いて来て、お願い」

「え~っ、何て聞けばいいのよ、そんなの嫌だぁ…」

「茜、何言ってんの、あんたが心配だって言うから相談に乗ってるのよ…」

「さぁ、」

 背中を押され部屋から出された茜は、仕方なくお爺ちゃんの部屋に入った。

「今日はありがとう。美雪がお母さんの事故の相手がいい人で良かったって喜んでたって」

 部屋にある机に向かってた祖父は振り返り

「あ、そうかい」

「…」

 続かない。

「美雪が食事行くの楽しみだって言ってた」

「それは良かった。」

「…」

「ところで茜は何かお爺ちゃんに話があるのかなぁ?」

「えっ、なんで…」

「だってお友達が来ているのに、お爺ちゃんの部屋にわざわざ来てるから」

「あ、そうだね、美雪がお爺ちゃんと会えて凄く喜んでたので、それがいいた・く・て」

「…」

「ごめんねぇ、ゆっくりしてたのに」

 茜はそう言うと部屋から出て行った。

 階段を登りながら、美雪になんて言おうか考えながら自分の部屋に戻った。

「何て言ってたのお爺様?」

「お・じ・い・さ・ま?」

「だって、私のお爺ちゃんじゃ無いからお爺様って言い方変かなぁ?」

「うん、まぁそこはどうでもいいよ」

茜は勝手に話してもいない作り話を美雪に始めた。

「お爺ちゃんは、再婚する気はあるらしい、それは娘達に苦労かけさせたく無いんだって、だからいい人が現れたらその時はそうするかもって」

「いい人が現れたらかぁ?」

「どんな人がタイプなの?」

「さぁ?私も越して来るまでそんなにお爺ちゃんと会ったり、話したりしてないから…」

茜も美雪の質問に答えるのが段々飽きて来て受け答えも適当になった所で、

「今度食事に行った時に聞いてみたらいいよ、そしたら会話も弾むでしょ」

 二人はそれぞれが消化不良気味なままベッドに入って就寝した。



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