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2.つながり
ハーフタイム
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真っ赤なユニフォームの背中に大きな7という数字。
その上には「HARUKI」と彼の名前。
あたしは彼一人を45分と少し目で追い続けた。
「おねーちゃん、だれのファン?」
小学生くらいの男の子が急に話しかけてきた。
「す、すみません、突然話しかけて!」
ハーフタイムだし飲み物を買ったりするのに席を立ったのか…お母さんらしき人も一緒。
その人は男の子の口を両手で塞いだ。
「あ、いえ。いいんです。
ファンっていうか…あたしの友達が今日出てて見に来てるだけなんだ。」
「見てー!!南沢のユニフォームだよ!」
ハルキのだ…。
そりゃハルキに憧れる子もたくさんいるよね。
「よっぽど嬉しいみたいでみんなに自慢して歩いてるんです。
ルカ…この子が言うには、SCバルセロナで7番っていうのはセカンドチームでもエースナンバーらしくて今注目の選手みたいです。」
「へぇ…そうなんですか…。」
驚いてこれ以上返す言葉が見つからなかった。
事前にハルキが試合中にどこにいるかわからなくならないように背番号は調べて来てたけど…7番がエースナンバーなんて知らなかった。
2-0で前半終了。
今日のハルキは前半10分で1ゴール。
30分には1アシスト。
前半終了間際でも得点のチャンスに絡む大活躍だった。
「おねーちゃんの友達って誰?
イバン?サンス?ビニシオ?」
「えっと…。」
あたしの横の通路を真っ赤なユニフォームを着た女性が三人興奮した様子で話しながら通りすぎた。
「今日の南沢いつにもましてかっこよすぎない?」
「見た?モニターに映ったときの笑顔!
犬みたいで可愛すぎた~。」
「南沢もいいけど、サンスもセクシーだから!」
彼女たちはあたしの何段か上の席に座っていたらしく、まるで選手を今人気の俳優みたいにあの選手は、この選手は、という話をしばらくしてるみたいだった。
あたしハルキのことナメてた。
めちゃくちゃ人気選手じゃない…?
「南沢選手、確かに可愛い顔してるし日本人なのに背高いから人気あるのも納得ですよね。」
ルカのお母さんが苦笑いして、女性グループの方に目配せした。
「ママわかってないな~!
プレーを見てよ!プレーを!」
「ごめんごめん。
ルカ、トイレは大丈夫なの?
試合中に行ったら得点の瞬間見逃しちゃうかもよ?」
「え!絶対やだ!」
ルカがトイレの方に走り出したルカを見て、お母さんも挨拶もそこそこに後を追った。
…あたしも小さい頃、ママと一緒にパパの試合見に来てたな…。
もちろんこんな立派な席じゃないけど。
切ないような懐かしいような。
ルカの姿見てなんだか思い出しちゃった。
パパのプレーにママと一喜一憂して…。
ヒーローインタビューでピッチに連れて行かれたこともあったっけ。
モニターを見ると選手紹介のVTRが流れていて、ちょうどハルキのVTRに切り替わったところだった。
「…ねぇさっきから思ってたけどVIPシートのあの子ってさ。」
「見たよ、顔。
白崎未蘭乃だよね。
VIPシートなんて選手の取り置きか大金積んで買うかじゃない?」
「でも親がサッカー選手だったし、いまも仕事でサッカーに関わってるんだったら簡単に取れるのかもしれないよ?」
さっきの女性グループだ。
少し上の方から聞こえてくる声に思わず反応しそうになるけど…絶対に振り返らない、目は合わせない。
下手に詮索されたら困るし、ただ見てるだけだし。
「なんか実物ちんちくりんすぎない?
本当に18?」
「日本人ってヨーロッパから見ると幼いっていうか。
でも実物写真とほんとに変わらないんだね。
加工かと思ってた。」
ただ必死にモニターのハルキのVTRを見て気にしないようにって考えてたけど、本当は周りからどんな目で見られてるかちょっと不安であんまり集中できなかった。
その上には「HARUKI」と彼の名前。
あたしは彼一人を45分と少し目で追い続けた。
「おねーちゃん、だれのファン?」
小学生くらいの男の子が急に話しかけてきた。
「す、すみません、突然話しかけて!」
ハーフタイムだし飲み物を買ったりするのに席を立ったのか…お母さんらしき人も一緒。
その人は男の子の口を両手で塞いだ。
「あ、いえ。いいんです。
ファンっていうか…あたしの友達が今日出てて見に来てるだけなんだ。」
「見てー!!南沢のユニフォームだよ!」
ハルキのだ…。
そりゃハルキに憧れる子もたくさんいるよね。
「よっぽど嬉しいみたいでみんなに自慢して歩いてるんです。
ルカ…この子が言うには、SCバルセロナで7番っていうのはセカンドチームでもエースナンバーらしくて今注目の選手みたいです。」
「へぇ…そうなんですか…。」
驚いてこれ以上返す言葉が見つからなかった。
事前にハルキが試合中にどこにいるかわからなくならないように背番号は調べて来てたけど…7番がエースナンバーなんて知らなかった。
2-0で前半終了。
今日のハルキは前半10分で1ゴール。
30分には1アシスト。
前半終了間際でも得点のチャンスに絡む大活躍だった。
「おねーちゃんの友達って誰?
イバン?サンス?ビニシオ?」
「えっと…。」
あたしの横の通路を真っ赤なユニフォームを着た女性が三人興奮した様子で話しながら通りすぎた。
「今日の南沢いつにもましてかっこよすぎない?」
「見た?モニターに映ったときの笑顔!
犬みたいで可愛すぎた~。」
「南沢もいいけど、サンスもセクシーだから!」
彼女たちはあたしの何段か上の席に座っていたらしく、まるで選手を今人気の俳優みたいにあの選手は、この選手は、という話をしばらくしてるみたいだった。
あたしハルキのことナメてた。
めちゃくちゃ人気選手じゃない…?
「南沢選手、確かに可愛い顔してるし日本人なのに背高いから人気あるのも納得ですよね。」
ルカのお母さんが苦笑いして、女性グループの方に目配せした。
「ママわかってないな~!
プレーを見てよ!プレーを!」
「ごめんごめん。
ルカ、トイレは大丈夫なの?
試合中に行ったら得点の瞬間見逃しちゃうかもよ?」
「え!絶対やだ!」
ルカがトイレの方に走り出したルカを見て、お母さんも挨拶もそこそこに後を追った。
…あたしも小さい頃、ママと一緒にパパの試合見に来てたな…。
もちろんこんな立派な席じゃないけど。
切ないような懐かしいような。
ルカの姿見てなんだか思い出しちゃった。
パパのプレーにママと一喜一憂して…。
ヒーローインタビューでピッチに連れて行かれたこともあったっけ。
モニターを見ると選手紹介のVTRが流れていて、ちょうどハルキのVTRに切り替わったところだった。
「…ねぇさっきから思ってたけどVIPシートのあの子ってさ。」
「見たよ、顔。
白崎未蘭乃だよね。
VIPシートなんて選手の取り置きか大金積んで買うかじゃない?」
「でも親がサッカー選手だったし、いまも仕事でサッカーに関わってるんだったら簡単に取れるのかもしれないよ?」
さっきの女性グループだ。
少し上の方から聞こえてくる声に思わず反応しそうになるけど…絶対に振り返らない、目は合わせない。
下手に詮索されたら困るし、ただ見てるだけだし。
「なんか実物ちんちくりんすぎない?
本当に18?」
「日本人ってヨーロッパから見ると幼いっていうか。
でも実物写真とほんとに変わらないんだね。
加工かと思ってた。」
ただ必死にモニターのハルキのVTRを見て気にしないようにって考えてたけど、本当は周りからどんな目で見られてるかちょっと不安であんまり集中できなかった。
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