Sorry Baby

ぴあす

文字の大きさ
9 / 25
2.つながり

拍手

しおりを挟む
後半になるとハルキは相手にマークされてファールをもらってでも倒されることが増えた。

攻撃の起点のハルキがマークされてチームは思うように連携が取れないように見えた。
モニターに10分おきに更新されるボール支配率も後半のほうが低い。

2点リードしてるのにモニターにふと映った
ハルキの顔が焦っているように見えた。

後半25分、相手チームマドリードHが3人目の選手交代。
マドリードHのサポーターが一気に歓声をあげる。

「うわー、ここでフェルナンド?」

「マジ?今日勝てると思ってたのに!」

周りの反応からすると、どうやらフェルナンドは相手チームのエースみたい。
でもなんでもう終わりみたいな言い方するの? 
同じレベルが集まるリーグで戦ってるならたった一人でそんなに変わることがあるんだろうか?

「フェルナンド、セカンドチーム半年じゃん。
そろそろトップチーム戻ってくれないかな。」

「怪我のリハビリっていってセカンドチームに来たけど動き見た限りもう治りきってるのにね。」

フェルナンドにボールが渡ると巧みなフェイントで相手を交わしすぐにゴール前。
ゴールにフェルナンドが近づくにつれて、マドリードHのサポーターのボルテージもどんどん上がっていった。

「あー!!フリーにしたらだめだって!!」

「相変わらず速すぎ…。」

1点返される、そう思ったときに…。
ボールはピッチの外に出て笛が鳴らされた。

ピーッ!

「…ハルキ、いつの間に。」

前線にいたはずのハルキがいつの間にかゴール前に戻り、ボールを蹴り上げていた。

客席からは拍手と歓声が送られる。

「さすが南沢!」

「マジで危なかった!!!」

「よくやった!!」

でもまだ相手のフリーキック。
思わず手にグッと力が入る。

マドリードHの選手のフリーキックは綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれそうになったがGKのウーゴがなんとかキャッチ。

「よし!」

拍手と歓声。 
ドキドキ、ワクワクする。

ハルキにボールが渡ると相手を寄せ付けない速さのドリブルであっという間にゴール前。
でも一人だけ、ハルキを阻む選手がいた。

「フェルナンド…!」

「今日の試合はあの二人が群を抜いてるよな。」

モニターに映ったハルキの顔は険しく、でもその瞬間を楽しんでいるようにも見えた。

「ハルキ…?」

ハルキがにやっと笑ったように見えた瞬間にハルキの足元を見るとそこにボールはなかった。  

フェルナンドがはっとしたようにゴールに目を向けるとボールは他の選手に渡っていた。

「南沢、フェイントからのパスなんてあんまり使わなかったのに!」

「若さって本当に恐ろしいよな!」

SCバルセロナの11番の選手のシュートがゴール右隅に突き刺さった。

後半35分。
SCバルセロナの3点リードだ。

「オォー!さすがジャン!
あいつもやっぱり決めるときは決めてくれるよな!」

「ジャンと南沢は安定のホットラインだよ!」

11番の選手はジャンというみたい。 
ハルキとは高校からのチームメイトらしくて確かに言われてみれば…そんなような人がハルキの隣にいたかも。

「残り時間10分!」

「フェルナンド相当キレてると思うぞ。」

両手を組んでぐっと握った。
このまま何事もなく…勝てますように。

フェルナンドのマークは必ず2人。
ハルキにも2人。
フェルナンドとハルキはお互いのチームのエース、キーマン、フリーにしてはいけないというのをひしひしと感じた。

…この2人は言っちゃ悪いけど両チームの他の選手とはレベルが違う。

それから、何度もマドリードHからの攻撃からゴールを守り抜いて…。

ゲームセットの笛が鳴った。
3-0でSCバルセロナの快勝だ。

『本日のヒーローインタビュー!
SCバルセロナ期待のエース、背番号7の南沢遥輝選手です!
本日の感想をまずはお願いします!』

会場からは大きな拍手が巻き起こる。

『まずは応援、ありがとうございました。
チームで勝てたっていうのが一番でかいのと、自分たちで考えてゲームできたかなと思います。
んー、色々言っちゃうと長くなっちゃうんで…。』

最後にくしゃっとした笑顔を見せるとあたしの後ろにいた女の子たちがきゃーっと黄色い歓声を上げた。

…その笑顔本当にずるい。

『相手チームのフェルナンド選手にはどのような印象をお持ちですか?』

『はい…まさか今日戦えるとは思っていなかったので光栄というか恐れ多いというか。
レベルが段違いなので、もう着いていくのがやっとでした。』

フェルナンドがハルキとリポーターをめがけて歩いてくるのが見えた。
客席がざわつく。

「フェルナンド何する気だ!?」

「逃げて!!」

プレー中、気が荒いと思える態度や行動があったから、あたしも少し身構えた。

『あ、ちょっと!?フェルナンド選手!?』

『20歳のガキにまんまとコケにされたフェルナンドです。どうも。』

マイクを取り上げ自虐気味のフェルナンド。
意外とおちゃめな一面もあるんだと思わず笑ってしまった。

『本当に彼は素晴らしい。
セカンドチームにいるなんて勿体無いレベルの選手だよ。
来季はお互いにトップチームで戦いたいね。』

『…ぜひ!』

二人が固い握手を交わすと客席からは歓声と拍手が絶えなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

処理中です...