病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

96話目 “私の”双剣再び

「で、はいこれ。」

「なにこれ？」

2人に装備を渡し終わった後、メアリーはアイテムボックスから２つの短剣、つまり私用の双剣を取り出した。

「え？私前作ってもらったのがあるよ。」

「前作ったのって、このゲームリリースから間もないころのやつでしょ。今は新しい素材とかあるんだから。」

私は以前メアリーに作ってもらった双剣で十分だったのだが、どうやらメアリーは私の新しい武器を作ってくれたらしい。

今までの武器は白い透明感のあるものだったのだが、新しく渡されたのは淡い黄色をしている者だった。

「ユウヒの髪の毛や防具は奇麗な金色だから、いっそのこと揃えたらどうかなって思ったんだよね。」

私が今使っている防具は、１層攻略の時に運営からもらったもので、色は金色である。

そのまま使ってもよかったのだが、軽くメアリーに改造してもらったりメンテナンスをしてもらっているので、軽く強いものになっている。

私は金髪ロングと金色の防具で結構黄色に包まれているんだけど、双剣だけ色が違ったんだよね。

「もしよかったら使ってよ。」

「うん！ありがとメアリー！」

私はメアリーから双剣を受け取り、軽く握ってみる。

……軽く握っただけでもわかる。

長年この双剣を使ってきたかのようなフィット感や私にちょうどいいサイズ感。

「これすごい。」

「ありがとう。そりゃ一緒に住んでるわけだから、どういうのがユウヒに合ってるかが分かるようになったのよ。」

後から聞いたことなのだが、この武器は結構前から構想自体は練っていたものの、時間がなくてあまり実行に移せていなかったらしい。

２人の装備を作るならと、この期間に完成させたとか。

「じゃあ早速！試しにどこか狩りにでもいってみよう！」




私たちは３層のダンジョンがあったところとは反対側にある、地底湖エリアに来ている。

「すごく幻想的ですね。」

地底湖エリアでは、夜光結晶が至る所にあり、全体的に青白くライトアップされていた。

「ちめたッ！」

ちゃらちゃらと美しい音を奏でながら流れている水に触れると、冬の時期の水道水かッ！ってくらい冷たかった。

それにしてもすごい景色である。

空間自体は狭いものの、水面に反射している景色や、夜光結晶のおかげもあってか、開放感のある涼しい空間になっていた。

私たちはこの空間に見惚れており、油断していたところをメアリーが声をかける。

「ほら！フィールドなんだからいつモンスター出るかわからないよ！」

ハッ！そうだった！

ついこの前油断はよくないって説教したばかりなのに、私が油断をしてしまっていた。

気持ちを切り替え、それぞれ自身の武器を握りしめながら、私たちは奥へと足を進めていった。