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97話目 ケルピー
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洞窟内は、水の流れる音が反響し、低いような、高いようなよくわからないような音によって不気味な雰囲気が醸し出されている。
しかし、その不気味さの中にはなぜか幻想的な雰囲気もあり、得も言われぬ感情を抱く。
しかし、ここはフィールドの中の為、いつどこでモンスターが現れるかなど、予想はつかない。
「前方!1体来ます!正体不明!」
全員で警戒しながら探索していたところ、後方のアルミから声が上がった。
どうやら探索魔法であたり一帯を警戒してくれていたようだ。
「「「了解!」」」
あんまり長々と返事をしていても、時間がロスになってしまうため、私たちは一言で返事を済ませる。
「来た!」
曲がり角から現れたのは、全身をうろこでおおわれた、ひれのついた馬であった。
「馬?」
遭遇しても、あちらから襲ってくる様子はなく、こちらの様子をうかがっている。
「これは、敵対モンスターじゃない?」
どうやら敵対してくるものではないらしい。
人懐っこそうな目をしながら、こちらの方へゆっくりと近づいてきている。
それを見て、私も近づいてみた。
「危ないよ!」
「大丈夫だよ。」
どうやらほんとに敵対意識がないようで、近づいても一切攻撃はしてこない。
触れるのでは?とおもい、少し触ってみたら、気持ちよさそうな声を出して目を細めている。
「そういえばメアリー、このゲームって馬に乗れたっけ?」
「乗れるはずだけど……。」
「じゃあちょっと乗ってみるか!」
三人からは驚きの声が上がったが、何となく大丈夫な気がするので乗ってみた。
「おほー!乗れた乗れた!」
魚っぽい馬は一切抵抗することなく、私を乗せて指示に従っている。
乗り始めてしばらくたった頃、メアリーが何かを思い出したようで、突如として私に向かって叫んだ。
「ユウヒ!それはケルピーよ!早く降りて!!」
「ふぇ?」
その声を聴くと、その魚っぽい馬は先ほどまでおとなしかったのが嘘であるかのように流れのはやい川の方へと走り出した。
「なッ!降りれない!」
降りようと思いもがいてみたのだが、完全にロックされてしまって降りることはできない。
その光景を見て、焦ってこちらへ駆け寄ってきた3人であったが、一足遅かったようで、ユウヒとケルピーの姿はなかった。
「やばいよ!助けに行かないと!」
「無理ですよ!メアリーさん!先ほどとは違って、今は川の流れが非常に速いです!こんなところに入ったら流されてしまいますよ!」
「クソッ!」
メアリーは先ほど鬣の代わりにひれをつけ、足には水かきのついた不思議な馬を見た時、何か心の中に引っかかるものがあった。
以前見たことのあるようなないような……。
しかし、それはすぐには頭の中へと浮かんでこず、やっと浮かんだ頃にはすでにユウヒはそいつの上に跨いでしまっていた。
ケルピーとは、馬の姿に化けて水辺に現れるモンスターで、うっかりその背に乗ってしまうと、水中に引きずり込んで、プレイヤーを溺れさせてしまう。
「もっと早く思い出せていたら!」
「メアリー、今はとりあえず町へ引き返そう。ユウヒなら大丈夫だよ。あんなに強いんだから。」
メアリーはその言葉に同意し、心配そうに川を見ながらゆっくりと町の方へ引き返していった。
しかし、その不気味さの中にはなぜか幻想的な雰囲気もあり、得も言われぬ感情を抱く。
しかし、ここはフィールドの中の為、いつどこでモンスターが現れるかなど、予想はつかない。
「前方!1体来ます!正体不明!」
全員で警戒しながら探索していたところ、後方のアルミから声が上がった。
どうやら探索魔法であたり一帯を警戒してくれていたようだ。
「「「了解!」」」
あんまり長々と返事をしていても、時間がロスになってしまうため、私たちは一言で返事を済ませる。
「来た!」
曲がり角から現れたのは、全身をうろこでおおわれた、ひれのついた馬であった。
「馬?」
遭遇しても、あちらから襲ってくる様子はなく、こちらの様子をうかがっている。
「これは、敵対モンスターじゃない?」
どうやら敵対してくるものではないらしい。
人懐っこそうな目をしながら、こちらの方へゆっくりと近づいてきている。
それを見て、私も近づいてみた。
「危ないよ!」
「大丈夫だよ。」
どうやらほんとに敵対意識がないようで、近づいても一切攻撃はしてこない。
触れるのでは?とおもい、少し触ってみたら、気持ちよさそうな声を出して目を細めている。
「そういえばメアリー、このゲームって馬に乗れたっけ?」
「乗れるはずだけど……。」
「じゃあちょっと乗ってみるか!」
三人からは驚きの声が上がったが、何となく大丈夫な気がするので乗ってみた。
「おほー!乗れた乗れた!」
魚っぽい馬は一切抵抗することなく、私を乗せて指示に従っている。
乗り始めてしばらくたった頃、メアリーが何かを思い出したようで、突如として私に向かって叫んだ。
「ユウヒ!それはケルピーよ!早く降りて!!」
「ふぇ?」
その声を聴くと、その魚っぽい馬は先ほどまでおとなしかったのが嘘であるかのように流れのはやい川の方へと走り出した。
「なッ!降りれない!」
降りようと思いもがいてみたのだが、完全にロックされてしまって降りることはできない。
その光景を見て、焦ってこちらへ駆け寄ってきた3人であったが、一足遅かったようで、ユウヒとケルピーの姿はなかった。
「やばいよ!助けに行かないと!」
「無理ですよ!メアリーさん!先ほどとは違って、今は川の流れが非常に速いです!こんなところに入ったら流されてしまいますよ!」
「クソッ!」
メアリーは先ほど鬣の代わりにひれをつけ、足には水かきのついた不思議な馬を見た時、何か心の中に引っかかるものがあった。
以前見たことのあるようなないような……。
しかし、それはすぐには頭の中へと浮かんでこず、やっと浮かんだ頃にはすでにユウヒはそいつの上に跨いでしまっていた。
ケルピーとは、馬の姿に化けて水辺に現れるモンスターで、うっかりその背に乗ってしまうと、水中に引きずり込んで、プレイヤーを溺れさせてしまう。
「もっと早く思い出せていたら!」
「メアリー、今はとりあえず町へ引き返そう。ユウヒなら大丈夫だよ。あんなに強いんだから。」
メアリーはその言葉に同意し、心配そうに川を見ながらゆっくりと町の方へ引き返していった。
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