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114話目 お粥
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私はおとなしくじっとしているのに、時計の針は慌ただしく動き回っている。
私がこう寝ている間にも、大会出場者は皆自身の実力をフルに発揮するための訓練を行っているのだろうと思うと、胸が締め付けられるような思いだ。
目の前で見てきたチームメイトの頑張りをただ私1人の問題で台無しにするわけにはいかない。
FoxAgainサンライズファンタジー部門の最初に1戦を待ち望んでくれている人も多い。
そんな人たちの期待を裏切るわけにはいかない。
ただ、私が今できるのはこの体調不良をどうにか収めるだけ。
何かしようとしても仕方がない。
私はおとなしく眠りにつくことにした。
2時間は経っただろうか。
そう思い目を開けると、先ほど眠りについてからまだ30分も経過していない。
体調不良も治る気配を見せないし、ただ焦りだけが私の思考を支配していく。
焦っても仕方がないことはわかっている。
「大丈夫?辛い?」
私が天井を眺めていると、横から夏海が顔を出してきた。
「まだダメみたい。」
時刻は10時を回った。
まだ大会の開始までは11時間もの時間が存在する。
ゆっくりでいい。
ゆっくりでいいから着実に直していかないと。
夏海にスポーツドリンクを飲ませてもらった私は、今度は非常に長く深い眠りについた。
目が覚め、時計に目をやると針は4時半を指していた。
どうやら5時間半もの時間を寝ていたらしい。
横に目をやっても夏海の姿はなく、おそらく彼女もほかのプレイヤーと同様にゲームに練習に入ったのだろうと思った。
ただ、しばらくして下の階から聞こえてきたものが倒れるような大きな音によって、その考えは間違いで会ったと気付く。
しばらくして、扉があいたと思ったら、夏海が大きなお盆の上に小さな土鍋を乗せて持ってきた。
「夕日、調子はどう?」
朝よりはよくなっただろう。
しかし、それは多少良くなっただけで在り、体調が完全に治っただけではない。
まだ猛烈な吐き気や頭痛に私の体は蝕まれている。
そうっとベッドの上に腰かけた夏海は、一度お盆を机の上に乗せると、私の背中を抑えて、上半身を起き上がらせてくれた。
そして、落とさないようにゆっくりとお盆を持ち、ドン・キホーテでかった安物の小さなベッドの上で使うテーブルの上にそれを置いた。
あちあちと言いながらも蓋を取ってくれ、中を見ると、そこにはお粥が入っていた。
完全に切れていない万能ねぎを見る限り、おそらく夏海が作ってくれたのだろうと察しが付く。
夏海はレンゲで少量のお粥を掬い、軽く息を吹きかけて冷ました後、ゆっくりと私の口元に運んできた。
私は夏海だけでは不安だったために、もう1度自分で息を吹きかけてそのまま口の中へと入れる。
お粥にしては少し硬いように思える物で会ったが、普段料理をしない夏海が私の為に必死に作ってくれたのだ。
それだけで十分だ。
私がこう寝ている間にも、大会出場者は皆自身の実力をフルに発揮するための訓練を行っているのだろうと思うと、胸が締め付けられるような思いだ。
目の前で見てきたチームメイトの頑張りをただ私1人の問題で台無しにするわけにはいかない。
FoxAgainサンライズファンタジー部門の最初に1戦を待ち望んでくれている人も多い。
そんな人たちの期待を裏切るわけにはいかない。
ただ、私が今できるのはこの体調不良をどうにか収めるだけ。
何かしようとしても仕方がない。
私はおとなしく眠りにつくことにした。
2時間は経っただろうか。
そう思い目を開けると、先ほど眠りについてからまだ30分も経過していない。
体調不良も治る気配を見せないし、ただ焦りだけが私の思考を支配していく。
焦っても仕方がないことはわかっている。
「大丈夫?辛い?」
私が天井を眺めていると、横から夏海が顔を出してきた。
「まだダメみたい。」
時刻は10時を回った。
まだ大会の開始までは11時間もの時間が存在する。
ゆっくりでいい。
ゆっくりでいいから着実に直していかないと。
夏海にスポーツドリンクを飲ませてもらった私は、今度は非常に長く深い眠りについた。
目が覚め、時計に目をやると針は4時半を指していた。
どうやら5時間半もの時間を寝ていたらしい。
横に目をやっても夏海の姿はなく、おそらく彼女もほかのプレイヤーと同様にゲームに練習に入ったのだろうと思った。
ただ、しばらくして下の階から聞こえてきたものが倒れるような大きな音によって、その考えは間違いで会ったと気付く。
しばらくして、扉があいたと思ったら、夏海が大きなお盆の上に小さな土鍋を乗せて持ってきた。
「夕日、調子はどう?」
朝よりはよくなっただろう。
しかし、それは多少良くなっただけで在り、体調が完全に治っただけではない。
まだ猛烈な吐き気や頭痛に私の体は蝕まれている。
そうっとベッドの上に腰かけた夏海は、一度お盆を机の上に乗せると、私の背中を抑えて、上半身を起き上がらせてくれた。
そして、落とさないようにゆっくりとお盆を持ち、ドン・キホーテでかった安物の小さなベッドの上で使うテーブルの上にそれを置いた。
あちあちと言いながらも蓋を取ってくれ、中を見ると、そこにはお粥が入っていた。
完全に切れていない万能ねぎを見る限り、おそらく夏海が作ってくれたのだろうと察しが付く。
夏海はレンゲで少量のお粥を掬い、軽く息を吹きかけて冷ました後、ゆっくりと私の口元に運んできた。
私は夏海だけでは不安だったために、もう1度自分で息を吹きかけてそのまま口の中へと入れる。
お粥にしては少し硬いように思える物で会ったが、普段料理をしない夏海が私の為に必死に作ってくれたのだ。
それだけで十分だ。
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