病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

べちてん

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156話目 退院

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「夕日さん、こんにちは。」

「え!?看護師さ、んじゃなかった。桜井さん!」

アルミこと桜井翼、以前までこの病院で働いており、私の看護師をしてくれていた人。

そんな人と病院の、今まで入院していたこの病室で会うのだ。

いくら相手が看護師の服ではないとしても真っ先に出てきてしまう名前は「看護師さん」というのも頷けるだろう。

「えっと、こんにちは。」

「お久しぶりです。体調の方は大丈夫ですか?」

「はい。おかげさまでどうにか……」

「それはよかったです。」

私が体を起こそうとすると、すかさず止めに入り、無理に体を起こさなくてもよい角度で接してくれる。

やはり元看護士というだけあって慣れているのか、非常にありがたい。

夏海ときたらそんなの気にせずがつがつ来るもんだから大変だ。

「あの、お花を持ってきましたので花瓶に入れさせてもらいますね。」

「ありがとうございます。」

入院した時にあったマリーゴールドの花は、いつの間にかこの部屋から撤去されている。

持ってきてくれたカスミソウを基調とする優しい色合いの花束は、殺風景なこの部屋に彩を足してくれる。

「あまり長居してもなんですから、もうそろそろ帰ることにしますね。元気そうでよかったです!」

「あれ?もうちょっといてくれればいいのに。」

私がそういうと、ゆっくりと私の耳元に近づき、声を小さくして「もともと働いていた病院ですから、気まずいんです……」と言った。

「そんな理由!」

「ちょっと!笑わないでくださいよ!!」

「確かにね、気まずいもんね。今日は来てくれてありがとう!」

「はい!またゲームでお会いしましょう!」

そういってきてから10分と経たないうちに帰っていってしまった。












「夕日!退院おめでとう!!」

あれからしばらくたち、私の入院生活は終わりを迎えた。

家に帰るなり、目もちかちかするような衣装に身をくるめた夏海が、クラッカーを持って玄関に立っていた。

「……えっと、その……」

反応に困る。

「ありがとう。」

「うん。さッ!入って入って!」

おそらく1か月一人で寂しかったのだろう。

リードを外されたわんこのように、透明な尻尾をぶんぶん振りながら私をリビングへと引っ張る。

あまり急だったので、履いていた靴を投げるように脱ぎ捨て、家の中へと入っていく。

「大会のハイライトが出たの!公式から!それを見よう!」

「ほんと!?みるみる!」

夏海によって手を引かれながら入ったリビング、散らかるゴミ。

「えっと……、先に掃除しよっか。」

「はい。すみませんでした。」

先ほどまでのテンションが地の底に落ちたようだ。

どうやらこの高いテンションで言ったらこのごみの数々をごまかせると思ったらしい。

ごまかせるかッ!

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