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191話目
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メアリーに向けて放った一撃は彼女の大剣に当たり、私の双剣はそれを伝うようにしてゆっくりと彼女へと近づいていく。
あと少し、そういう所までいけても、彼女の小さな動作によって私の双剣は大剣から離れ、攻撃を避けるために後ろへと下がらざるを得ない。
勢いよくぶつかり合う金属は、時に火花をまき散らしながら擦れ合っていく。
今まで戦ってきた選手は確かに強かったものの、正直に言えば楽勝だった。
勝ち筋が見える。
ただ、今回は全く勝つためのルートを見いだせない。
表情を見るにそれはメアリーも同じらしい。
気がつけばもうすでに相当な時間を打ち合い続けていると思う。
一向に試合が展開しない。
当初私たちの刃の音以外にも、チームメンバーたちの戦いの音があったがいつの間にかそれは消えている。
本当は最後の最後までみんなでそろって勝利したかったけれど、これに関しては後で謝罪をしたい。
私のチーム、メアリーのチームともにリーダー以外はすでに倒れてしまっている。
……正直いまはそんなことどうでもいい。
いや、どうでも良くはないけれど、私は今この場所で、配信を通してたくさんの人が見ているこの環境でメアリーと戦えていることが何よりうれしいのだ。
先ほどよりも1歩、奥へと左足を彼女のこちらから見て左側へと踏み込ませ、右足で彼女の右足をなぎ払う。
重い大剣でただでさえ重心を保っているのが難しいはずだが、私の大外刈りもどきでさらに彼女のバランスが崩れる。
地に背を向けるようにして倒れていくメアリーだが、すぐに造形を発動して体勢を立て直そうとしている。
ただ、このわずかな隙を逃せば再びあの長い打ち合いタイムが始まってしまう。
おそらくこの甲高い金属音は付近に響き渡っている。
漁夫を狙う者たちがこちらへと向かってきているのは簡単に予想ができる。
倒れ掛けるメアリーを肘で横に弾き飛ばす。
足に力を入れてその後を追うように飛び跳ね、落下地点の下へと先回りして一気に彼女を上空へと突き上げる。
ただ、上空で体をくねらせ、なんとか向きを変えた彼女はこちらに向かって一直線で飛んできた。
彼女を間近でよく見てきたからわかる。
この表情は悔しがっているときの表情だ。
彼女は空中で軌道を変えるスキルを保有していない。
となると、後は重力に従って私の元へ降りて来るのみ。
「くやしーッ!!」
そう叫びながら降りてくるメアリーを双剣でささっと倒した。
「ふう……って!? ちょっと!!」
ようやくこの戦いが終わり、一息つこうとしたところで突然視界の端に巨大な火の玉が映り込んだ。
なんとか後方に避けたものの、なぜか遠距離から攻撃を繰り出すのではなく、接近してくる魔法使い。
至近距離で繰り出されるその魔法を避けることなど出来るわけもなく、あっという間に私は倒されてしまった。
真っ黒な暗い画面に表示されているテロップ。
――You were killed by “音符猫”.
「おまえかいッ!!」
あと少し、そういう所までいけても、彼女の小さな動作によって私の双剣は大剣から離れ、攻撃を避けるために後ろへと下がらざるを得ない。
勢いよくぶつかり合う金属は、時に火花をまき散らしながら擦れ合っていく。
今まで戦ってきた選手は確かに強かったものの、正直に言えば楽勝だった。
勝ち筋が見える。
ただ、今回は全く勝つためのルートを見いだせない。
表情を見るにそれはメアリーも同じらしい。
気がつけばもうすでに相当な時間を打ち合い続けていると思う。
一向に試合が展開しない。
当初私たちの刃の音以外にも、チームメンバーたちの戦いの音があったがいつの間にかそれは消えている。
本当は最後の最後までみんなでそろって勝利したかったけれど、これに関しては後で謝罪をしたい。
私のチーム、メアリーのチームともにリーダー以外はすでに倒れてしまっている。
……正直いまはそんなことどうでもいい。
いや、どうでも良くはないけれど、私は今この場所で、配信を通してたくさんの人が見ているこの環境でメアリーと戦えていることが何よりうれしいのだ。
先ほどよりも1歩、奥へと左足を彼女のこちらから見て左側へと踏み込ませ、右足で彼女の右足をなぎ払う。
重い大剣でただでさえ重心を保っているのが難しいはずだが、私の大外刈りもどきでさらに彼女のバランスが崩れる。
地に背を向けるようにして倒れていくメアリーだが、すぐに造形を発動して体勢を立て直そうとしている。
ただ、このわずかな隙を逃せば再びあの長い打ち合いタイムが始まってしまう。
おそらくこの甲高い金属音は付近に響き渡っている。
漁夫を狙う者たちがこちらへと向かってきているのは簡単に予想ができる。
倒れ掛けるメアリーを肘で横に弾き飛ばす。
足に力を入れてその後を追うように飛び跳ね、落下地点の下へと先回りして一気に彼女を上空へと突き上げる。
ただ、上空で体をくねらせ、なんとか向きを変えた彼女はこちらに向かって一直線で飛んできた。
彼女を間近でよく見てきたからわかる。
この表情は悔しがっているときの表情だ。
彼女は空中で軌道を変えるスキルを保有していない。
となると、後は重力に従って私の元へ降りて来るのみ。
「くやしーッ!!」
そう叫びながら降りてくるメアリーを双剣でささっと倒した。
「ふう……って!? ちょっと!!」
ようやくこの戦いが終わり、一息つこうとしたところで突然視界の端に巨大な火の玉が映り込んだ。
なんとか後方に避けたものの、なぜか遠距離から攻撃を繰り出すのではなく、接近してくる魔法使い。
至近距離で繰り出されるその魔法を避けることなど出来るわけもなく、あっという間に私は倒されてしまった。
真っ黒な暗い画面に表示されているテロップ。
――You were killed by “音符猫”.
「おまえかいッ!!」
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