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プロローグ
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こんな伝説を聞いたことがあるだろうか。
剣を極めし者、世界の中心のドラゴンバイト山火口より出ずるダンジョンの奥に入られたし。
深部に潜りて、双の守りし龍を倒すとき、聖剣の力を得て剣王の高みへと到達するだろう。
その時こそ光が導き魔界への扉開かれん。
と。
一人の少年がその伝説に憧れ立ち上がる。
剣を掲げ、天より降り注ぐ光に向けて誓いを立てた。
日々剣をふるった。
一日も休むことなく体に刻み込ませるようにふるった。
豆が破れ手が血に染まり、タコになっても剣をふるい続けた。
だが彼には才能がなかった。
剣を極めし者など夢のまた夢。
努力だけでは決して到達できない壁があることを知る。
剣王になることを諦めた少年は、覚えていた魔法にすがるしかなかった。
体内に残存する魔力が枯渇するまで魔法を使用する日々。
だがやはり彼には才能がなかった。
剣を振っても平凡から超えることはない。
魔法を使っても平凡から超えることはない。
なら二つを同時に使えばいい。
新しい職業、魔法戦士を作ってしまえばいい
そう夢見て歩んできた今、彼は二十五歳になっていた。
才能に敗れ、努力に裏切られた青年の名前はミナトといった。
*
夕刻、ハイアーントの酒場にて。
「もうこれ以上無理だからお前クビな」
「……ッ!」
アルコール臭いその店の一角で、酒を煽りながらの仲間の言葉に視界がぐわんと揺れた。
クビというのが、自分が所属しているパーティーからの追放だということは容易に想像できた。
彼の向いてる先には自分しかいない。
ガヤガヤと賑わう酒場で僅かに声を拾い上げた数人が、見世物でも見るような不愉快な視線を届ける。
「はっ。お前だよ、お前の事だよ。ミナト」
馬鹿にしたような口調で飛び出した名前は、確かに自分の物だった。
勇者アレックス。世界最高レベルの剣技に、世界最高レベルの魔法をその身に宿す、伝説の剣王に最も近いと呼ばれる男。
二年間一緒にパーティーをやってきた彼の瞳は、自分を見下すかのような色しか残されていない。
もうその心に自分は映っていないように思えた。
それでもすがる様な瞳で尋ねかける。
「無理って……いったいどういうことなんだよ」
「簡単に言えば使えないってことだ。分からないのか? 自分で分かってると思ってたが。
役に立たないだろう? 今日のクエストで一体お前が何の役に立ったんだ?」
口元を歪めるアレックスからは、仲間に対する労いは完全に失われていた。
ミナトを酷くおとしめることになんの躊躇もない。
今日の、というより、今日は大規模クエストから帰還してきたばかりだった。
ハイアーントから東に二日ほど進んだところにある、山岳ダンジョン――キュトレイム廃庭宮
ミデアタイトというただ硬いだけの鉱物で体を構成するモンスター群に、ミナトは実力を発揮することができなかった。
剣を使っても、魔法を使っても、その頑丈な体表に致命打を入れることができなかった。
「今回は相性が悪かったんだ。俺は頑張ってきただろ?」
「頑張ってもどうにもならないこともある。俺たちはSSランクになったんだ、本当はもっと早くこうするべきだった」
ミナトの訴えは無慈悲な言葉でたたきおとされた。
彼ら『青龍』は五日前に栄誉あるSSランクのパーティーとして、冒険者ギルドから表彰された。
SSランクと言えば彼ら以外に存在しない至高の称号。
そんな彼らが難度を上げたクエストを、とギルドに無理を頼んで受けたのが今回のクエストであり、今までにない苦戦を強いられた。
原因を追究した結果、ミナトが役に立たないという結論にいたるのに時間はかからなかった。
いや、本当は前々から少しずつそう考えていたようだ。
諦めきれないミナトがアレックスに食って掛かる。
「なんでだよ。今までずっと一緒にやってきたじゃないか」
「しつけーな!」
「ぐうっ」
涙交じりの訴えをアレックスは勢いのある蹴りで返した。
SSランクにして最強と呼ばれる彼の蹴りは、鍛え上げているミナトの腹筋を容易く貫通する。
ミナトの口の中に喉の奥から鉄の味が広がる。
さすがの事態に酒場中の視線が彼らに集まる。
だが、大半はおびえるようにその目を戻した。
アレックスが、何見てんだよ、こら、と言った目つきでグルンと視線を向けたからだ。
酒場にいる人間で、彼らがSSランクのパーティーだということを知らぬ者はいなかった。
実力さえあれば横暴も許される。アレックスにはそう考えている節がある。
そんなことを気にもせず、横に座っていた魔法使いメアリーがそれを見て嘲笑した。
頬に施された丸いペイントの上の切れ長なオレンジ色の瞳が、ミナトに向けて注がれる。
「あんたは剣も雑魚い、魔法も雑魚い。なのに燃費が悪くて貴重なポーションばかりを無駄にがぶがぶと飲み干す。
それだけでも金がかかって仕方がないというのに、剣と魔法用にと二重に金をパーティーから攫っていく」
「けど、俺は一人で両方こなすことができるだろ?」
「じゃあ聞くけど、あんた剣の腕でアレックスやゴンザレスに勝てるっていうの? 魔法であたしに勝てるっていうの?
ていうか、アレックスには剣も魔法も足元にも及ばないじゃない。何が魔法戦士? 半端戦士に改名をお勧めするわよ」
ゴンザレスは大きな剣を振り回す重戦士で、その膂力は甚大としか言いようがない。
顔にはいくつも深い傷を持ち、笑っていないと通りすがる子供が泣き出すほどだ。
メアリーも、その小さな手と体から放たれる魔法は、SSランクに相応しい大規模高威力をほこる。
今回のクエストでも、ミナトがまるで太刀打ちできない大型モンスターを、その魔法の一撃で仕留めている。
そしてアレックスはその両方を一人で備えている化物。
メアリーの言葉をミナトは否定する力を持っていなかった。
「それは……無理だけど、だけど」
「中途半端なのよ、何もかも。なんでどっちかを極めようと思わなかったわけ?
私は冒険者になると決めたその瞬間から、ただひたすらに魔法だけに絞って高めてきた。そして今の私がある。
あんたみたいに、あっちやこっちやふらふらしてんのは、見てるだけで腹が立つのよ」
それは彼がどんなに頑張っても手が届かない光だったからだ。
どれだけ手を伸ばそうとも掴めない光だったからだ。
一つを極めるには努力だけでは越えられない壁があったからだ。
「今私たちに必要なのは仲間を回復できるヒーラー、回復術師がいるのよ。それはあんたでも理解できるわよね?」
アレックスとゴンザレスが、うんうん、と大きく頷く。
回復術師が必要だということはミナトも重々承知していた。
パーティーは四人でしか組むことができないと決められている。
これは冒険者ギルド開闢以来の取り決めであり、変えることができない。
つまりミナトを追放しない限り、必要な回復術師をパーティーに加えることができなかった。
「でも、こんなひどい扱いしなくてもいいじゃないか」
「うるせえ!」
ミナトの訴えにゴンザレスが回し蹴りで返した。
腰に直撃したそれに、ミナトの体がくの字に曲がる。
テーブルに身体を打ち付け、零れた瓶から酒がバシャバシャと頭にふりかかる。
再度口の端から血がしたたり、腕とふくらはぎに大きな擦過傷が刻まれた。
驚いた酒場の店主が駆け寄ってくる。
が、アレックスが「迷惑料だ」と、もっとも価値の低い銅貨を一枚渡すとそれだけで行ってしまった。
SSランクである彼らに本気でキレられたら、店は軽々と粉砕する。
「俺たちはな、お前が未練を残さないように、わざわざ心を鬼にして言ってやってるんだ。なぜそれが分からない!」
ミナトは唖然とする。
誰がそんなありがたいことを頼んだのか、と。
誰がそんな高みから気を遣ってくださいと頼んだのか、と。
「言っても無駄さ、ゴンザレス。もしそれが分かるなら、とっくの昔に自分からパーティーを去っていたはずだ」
「確かにそれもそうだな」
三人の大きな笑い声が、紫に濡れた前髪を揺らした。
許せなかった。今までずっと自分を邪魔に思ってたのが分かって許せなかった。
アレックスはともかくとして、ゴンザレスを助けたことはある。メアリーも助けたこともある。
勿論逆もあるが、それが仲間ってものだろう。
だが、そう思っていたのは自分だけだったようだ。
もう食い下がる気持ちも失せたミナトは、パーティーを抜ける決意をした。
「分かったよ。もういいよ。俺が出ていけばいいんだろ?」
「ああ、そういうこったな。もう次に加入するメンバーは決まってるんだ」
「は? まだ俺がいるのに募集してたのかよ。それはギルドのルール違反だろうに!」
パーティーメンバーの不当な独占を防ぐために、メンバーの数は四人と決められている。
そして、入れ替えは必ず前任者がいなくなってからしなくてはいけないという不文律がある。
これを破ったところで特別な罰則はないが、違反者としてのレッテルは張られてしまう。
「お前が抜けるのはもう決定してたからいいんだよ」
「そうかいそうかいそうかいそうかい! 俺の居場所なんてとっくになかったんだな」
「おい、ミナト! 装備しているものを置いてけとは言わないがな、今日の稼ぎは置いて行けよ。
俺たちはお前をメンバーと思ってなかったんだからな。勝手に持っていかれたら窃盗としてギルドに報告させてもらう」
「は? 俺が戦って得たものだろ、これは」
「あんたはただ私たちの足を引っ張り続けてただけじゃない」
再度三人の笑い声が響いた。
もう何も言いたくなかった。彼らと言葉を交わすのも嫌だった。
アレックスが汚い足をのせている酒場のテーブルに、今日得た素材と金を叩きつけ、その場を後にした。
背後から聞こえる悪口が少しずつ遠のいていく。
こうしてミナトはハイアートの酒場で一人追放されることになった。
剣を極めし者、世界の中心のドラゴンバイト山火口より出ずるダンジョンの奥に入られたし。
深部に潜りて、双の守りし龍を倒すとき、聖剣の力を得て剣王の高みへと到達するだろう。
その時こそ光が導き魔界への扉開かれん。
と。
一人の少年がその伝説に憧れ立ち上がる。
剣を掲げ、天より降り注ぐ光に向けて誓いを立てた。
日々剣をふるった。
一日も休むことなく体に刻み込ませるようにふるった。
豆が破れ手が血に染まり、タコになっても剣をふるい続けた。
だが彼には才能がなかった。
剣を極めし者など夢のまた夢。
努力だけでは決して到達できない壁があることを知る。
剣王になることを諦めた少年は、覚えていた魔法にすがるしかなかった。
体内に残存する魔力が枯渇するまで魔法を使用する日々。
だがやはり彼には才能がなかった。
剣を振っても平凡から超えることはない。
魔法を使っても平凡から超えることはない。
なら二つを同時に使えばいい。
新しい職業、魔法戦士を作ってしまえばいい
そう夢見て歩んできた今、彼は二十五歳になっていた。
才能に敗れ、努力に裏切られた青年の名前はミナトといった。
*
夕刻、ハイアーントの酒場にて。
「もうこれ以上無理だからお前クビな」
「……ッ!」
アルコール臭いその店の一角で、酒を煽りながらの仲間の言葉に視界がぐわんと揺れた。
クビというのが、自分が所属しているパーティーからの追放だということは容易に想像できた。
彼の向いてる先には自分しかいない。
ガヤガヤと賑わう酒場で僅かに声を拾い上げた数人が、見世物でも見るような不愉快な視線を届ける。
「はっ。お前だよ、お前の事だよ。ミナト」
馬鹿にしたような口調で飛び出した名前は、確かに自分の物だった。
勇者アレックス。世界最高レベルの剣技に、世界最高レベルの魔法をその身に宿す、伝説の剣王に最も近いと呼ばれる男。
二年間一緒にパーティーをやってきた彼の瞳は、自分を見下すかのような色しか残されていない。
もうその心に自分は映っていないように思えた。
それでもすがる様な瞳で尋ねかける。
「無理って……いったいどういうことなんだよ」
「簡単に言えば使えないってことだ。分からないのか? 自分で分かってると思ってたが。
役に立たないだろう? 今日のクエストで一体お前が何の役に立ったんだ?」
口元を歪めるアレックスからは、仲間に対する労いは完全に失われていた。
ミナトを酷くおとしめることになんの躊躇もない。
今日の、というより、今日は大規模クエストから帰還してきたばかりだった。
ハイアーントから東に二日ほど進んだところにある、山岳ダンジョン――キュトレイム廃庭宮
ミデアタイトというただ硬いだけの鉱物で体を構成するモンスター群に、ミナトは実力を発揮することができなかった。
剣を使っても、魔法を使っても、その頑丈な体表に致命打を入れることができなかった。
「今回は相性が悪かったんだ。俺は頑張ってきただろ?」
「頑張ってもどうにもならないこともある。俺たちはSSランクになったんだ、本当はもっと早くこうするべきだった」
ミナトの訴えは無慈悲な言葉でたたきおとされた。
彼ら『青龍』は五日前に栄誉あるSSランクのパーティーとして、冒険者ギルドから表彰された。
SSランクと言えば彼ら以外に存在しない至高の称号。
そんな彼らが難度を上げたクエストを、とギルドに無理を頼んで受けたのが今回のクエストであり、今までにない苦戦を強いられた。
原因を追究した結果、ミナトが役に立たないという結論にいたるのに時間はかからなかった。
いや、本当は前々から少しずつそう考えていたようだ。
諦めきれないミナトがアレックスに食って掛かる。
「なんでだよ。今までずっと一緒にやってきたじゃないか」
「しつけーな!」
「ぐうっ」
涙交じりの訴えをアレックスは勢いのある蹴りで返した。
SSランクにして最強と呼ばれる彼の蹴りは、鍛え上げているミナトの腹筋を容易く貫通する。
ミナトの口の中に喉の奥から鉄の味が広がる。
さすがの事態に酒場中の視線が彼らに集まる。
だが、大半はおびえるようにその目を戻した。
アレックスが、何見てんだよ、こら、と言った目つきでグルンと視線を向けたからだ。
酒場にいる人間で、彼らがSSランクのパーティーだということを知らぬ者はいなかった。
実力さえあれば横暴も許される。アレックスにはそう考えている節がある。
そんなことを気にもせず、横に座っていた魔法使いメアリーがそれを見て嘲笑した。
頬に施された丸いペイントの上の切れ長なオレンジ色の瞳が、ミナトに向けて注がれる。
「あんたは剣も雑魚い、魔法も雑魚い。なのに燃費が悪くて貴重なポーションばかりを無駄にがぶがぶと飲み干す。
それだけでも金がかかって仕方がないというのに、剣と魔法用にと二重に金をパーティーから攫っていく」
「けど、俺は一人で両方こなすことができるだろ?」
「じゃあ聞くけど、あんた剣の腕でアレックスやゴンザレスに勝てるっていうの? 魔法であたしに勝てるっていうの?
ていうか、アレックスには剣も魔法も足元にも及ばないじゃない。何が魔法戦士? 半端戦士に改名をお勧めするわよ」
ゴンザレスは大きな剣を振り回す重戦士で、その膂力は甚大としか言いようがない。
顔にはいくつも深い傷を持ち、笑っていないと通りすがる子供が泣き出すほどだ。
メアリーも、その小さな手と体から放たれる魔法は、SSランクに相応しい大規模高威力をほこる。
今回のクエストでも、ミナトがまるで太刀打ちできない大型モンスターを、その魔法の一撃で仕留めている。
そしてアレックスはその両方を一人で備えている化物。
メアリーの言葉をミナトは否定する力を持っていなかった。
「それは……無理だけど、だけど」
「中途半端なのよ、何もかも。なんでどっちかを極めようと思わなかったわけ?
私は冒険者になると決めたその瞬間から、ただひたすらに魔法だけに絞って高めてきた。そして今の私がある。
あんたみたいに、あっちやこっちやふらふらしてんのは、見てるだけで腹が立つのよ」
それは彼がどんなに頑張っても手が届かない光だったからだ。
どれだけ手を伸ばそうとも掴めない光だったからだ。
一つを極めるには努力だけでは越えられない壁があったからだ。
「今私たちに必要なのは仲間を回復できるヒーラー、回復術師がいるのよ。それはあんたでも理解できるわよね?」
アレックスとゴンザレスが、うんうん、と大きく頷く。
回復術師が必要だということはミナトも重々承知していた。
パーティーは四人でしか組むことができないと決められている。
これは冒険者ギルド開闢以来の取り決めであり、変えることができない。
つまりミナトを追放しない限り、必要な回復術師をパーティーに加えることができなかった。
「でも、こんなひどい扱いしなくてもいいじゃないか」
「うるせえ!」
ミナトの訴えにゴンザレスが回し蹴りで返した。
腰に直撃したそれに、ミナトの体がくの字に曲がる。
テーブルに身体を打ち付け、零れた瓶から酒がバシャバシャと頭にふりかかる。
再度口の端から血がしたたり、腕とふくらはぎに大きな擦過傷が刻まれた。
驚いた酒場の店主が駆け寄ってくる。
が、アレックスが「迷惑料だ」と、もっとも価値の低い銅貨を一枚渡すとそれだけで行ってしまった。
SSランクである彼らに本気でキレられたら、店は軽々と粉砕する。
「俺たちはな、お前が未練を残さないように、わざわざ心を鬼にして言ってやってるんだ。なぜそれが分からない!」
ミナトは唖然とする。
誰がそんなありがたいことを頼んだのか、と。
誰がそんな高みから気を遣ってくださいと頼んだのか、と。
「言っても無駄さ、ゴンザレス。もしそれが分かるなら、とっくの昔に自分からパーティーを去っていたはずだ」
「確かにそれもそうだな」
三人の大きな笑い声が、紫に濡れた前髪を揺らした。
許せなかった。今までずっと自分を邪魔に思ってたのが分かって許せなかった。
アレックスはともかくとして、ゴンザレスを助けたことはある。メアリーも助けたこともある。
勿論逆もあるが、それが仲間ってものだろう。
だが、そう思っていたのは自分だけだったようだ。
もう食い下がる気持ちも失せたミナトは、パーティーを抜ける決意をした。
「分かったよ。もういいよ。俺が出ていけばいいんだろ?」
「ああ、そういうこったな。もう次に加入するメンバーは決まってるんだ」
「は? まだ俺がいるのに募集してたのかよ。それはギルドのルール違反だろうに!」
パーティーメンバーの不当な独占を防ぐために、メンバーの数は四人と決められている。
そして、入れ替えは必ず前任者がいなくなってからしなくてはいけないという不文律がある。
これを破ったところで特別な罰則はないが、違反者としてのレッテルは張られてしまう。
「お前が抜けるのはもう決定してたからいいんだよ」
「そうかいそうかいそうかいそうかい! 俺の居場所なんてとっくになかったんだな」
「おい、ミナト! 装備しているものを置いてけとは言わないがな、今日の稼ぎは置いて行けよ。
俺たちはお前をメンバーと思ってなかったんだからな。勝手に持っていかれたら窃盗としてギルドに報告させてもらう」
「は? 俺が戦って得たものだろ、これは」
「あんたはただ私たちの足を引っ張り続けてただけじゃない」
再度三人の笑い声が響いた。
もう何も言いたくなかった。彼らと言葉を交わすのも嫌だった。
アレックスが汚い足をのせている酒場のテーブルに、今日得た素材と金を叩きつけ、その場を後にした。
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