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樽ってそんなに大きいの
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レオニーがマティアスとリュカにそれぞれお礼状を書いてから数日後、2人は揃ってホワイト侯爵家にやってきた。レオニーの母が買い付けたというロゼワインの納品のためである。たまたまなのかわざとなのか、母は外出中だったためレオニーが応対することとなった。
「レオニー久しぶり、元気そうで良かったよ」
すっかり慣れ親しんだ口調で、リュカがにっこり荷馬車から顔を出した。一足先に降りたマティアスがさっそく荷解きをしている。
「この前は迷惑かけてごめんなさい」
「いやいや、僕達も止めなかったのが悪かったからね。あんまり美味しそうに飲み進めてたから、結構いけるんだなって思って見てたけど、やっぱり女の子だもんね。申し訳なかった」
「いやレオニーは飲み慣れたらかなりいける方だと思うぞ俺は。あんだけ阿呆ほど飲んで潰れた割には、翌朝あんなしっかりした礼状が書けるんだから、大したもんだよ」
何なら俺が鍛えてやろうか、と悪い笑みを浮かべるマティアスを、たいがいにしておけとリュカが殴る。頭を抑えてうずくまるマティアスに、レオニーはくすくすと小さく笑った。
「2人は仲が良いのね」
「まあね」
「仕事で知り合って何だか馬が合って、今じゃこうやって家の商売まで一緒にやってるからな」
「それにしても、レオニーの母君は器の広い方だね。てっきり怒鳴られるもんだと覚悟してたのに、こんなに買い付けてくださるなんて」
「うちの初めての大口顧客だよ」
「うん、それは良かった」
あの人はただ単に自分の興味が湧くものに貪欲なだけで、尊敬には値しない、と内心毒づきながらも、レオニーは曖昧に微笑んで聞き流しておいた。
ワイナリーに足を運んだこともないレオニーには、樽1ダースがグラス何杯分の量になるか検討もつかない。しかし2人が今日運んできてくれた木箱の山で、まだ半分以下らしい。改めて自分の母親の型破り具合に呆然とする。
リュカが申し訳なさそうに頭を下げた。
「残りはまた用意出来次第ご連絡しますと伝えておいてくれる? なんせ急だったからラベリングとか色々追いつかなくて」
「気にしないで。これだけあればひとまずは喜ぶと思うから」
「そう? それなら良いんだけど」
ひととおり荷を下ろしすべて屋敷内に運び終えたところで、レオニーは2人をお茶に誘ったが、マティアスが首を横に振る。
「せっかくだが遠慮させてもらう。レオニーの侍女がものすごい目でこっち見てるからな」
言われて後ろを振り向くと、玄関先でクロエが切れ長の瞳をさらに細めてこちらを睨みつけていた。
「誤解だって言ったんだけど。ごめんなさい」
「職務を全うしてるんだから良いんじゃないか? よくできた侍女だよ。さすが侯爵家」
念のためリュカにも声をかけたが、同じように断られた。
「気持ちは嬉しいけど、家の人にあれだけ警戒されてるとね。今日はまだ他の納品もあるしこれで」
残念そうに俯くレオニーの肩を、マティアスがごつごつした大きな手でばしばしと叩いた。
「そんなに落ち込むことない。どこぞの舞踏会でいずれまた会えるさ。その時は、あの侍女は家に留守番だろ?」
「マティアス、その手はやばいって。あ、ほらめっちゃ睨まれてる」
「しまった! じゃあなレオニー」
背後から殺気めいたものを感じ、2人はそそくさと荷馬車に乗り込んで帰って行った。
なるほど舞踏会か。元々そこで出会ったのだから、舞踏会に行けばまた会えるというのはもっともだ。
レオニーは苦手な社交の場で出会った2人と、もっと話をしてみたいと感じていた。屋敷にこもりがちなレオニーにとって、仕事や領地の話が次々と飛び出す2人の会話は初めて知ることばかりで、聞いているだけで楽しかった。
彼らはレオニーのことを、女性だからと言って変に距離を取ったりせず、同じように扱ってくれた。ただ単に1人の人間として見てくれている気がした。ユーグの婚約者、伯爵令嬢、氷霜の姫君、色々言われてきたけれど、そのどれでもない自分であの夜は過ごせた気がした。
ただやっぱり、最後の方の記憶がほぼないのがいただけない。思い出す度に恥ずかしくて顔から火が出そうになる。
マティアスとリュカを見送った後、やりかけだった刺繍に手を付けようとしたところで、ふとレオニーは控えていたクロエに声をかけた。
「ねえクロエ、次の舞踏会はいつ頃あるのかしら」
「舞踏会でございますか」
主人からの初めての質問に少し面食らったような表情をしたクロエは、けれどすぐにいつもの涼しげな顔に戻った。
「5日後、モルガン伯爵家で行われる夜会が最短かと思われます。ご息女の誕生日のお祝いに開催されるものですので、王宮の夜会よりは小規模です。出席なさるようでしたら、招待状をいただく必要がございます。モルガン伯爵様とご主人様は面識がございますので、手に入れることは容易ではございますが」
「それじゃお願い」
「かしこまりました」
その夜会にあの2人も来るのかどうかはわからない。けれどレオニーは、前ほど社交の場がこわいとは思わなくなっていた。
モルガン伯爵家の夜会は、淡いグリーンのシンプルなドレスで行くことにした。くれぐれも飲みすぎないようにと、夢に出そうなほどクロエに何度も言い聞かされ、馬車に乗り込んだ。
クロエの事前情報によるとモルガン伯爵家の1人娘はレオニーと同い年で、今回の招待客も若い世代が中心だという。おかげですんなりと招待状を貰うことができ、今夜は一人で参加することとなった。
会場に着くなり、レオニーは辺りをキョロキョロと見回した。それほど人が多いわけではないが、入り口付近はそこそ混み合っていて、しっかり足を踏ん張っていないと人波に呑まれてしまいそうだった。
すぐに少し離れたところにマティアスがいるのがわかった。ワインの納品で再会した時に初めて気づいたが、マティアスは背が高く遠目にはかなり目立つ体格だった。それに対しリュカは男性にしては小柄な方で、向かい合ったときの目線も近い。
人混みをかき分けて近づいていくと、あちらもすぐに気づいて手を振ってくれた。すぐ隣からリュカもひょこっと顔を出した。
「こんばんはレオニー。また会えたね」
「5日ぶりだな」
「こんばんはリュカ、マティアス。また会えて嬉しいわ」
「マティアス、こちらは?」
鈴の音のよう可愛らしい声がしてよく見ると、マティアスの反対側の隣に美しいブロンドの髪をまとった令嬢がちょこんと立っていた。
「あ、そうか会うのは初めてか。こちらはレオニー・ホワイト嬢」
「まあ貴方が? 初めまして、ブランシュ・モルガンと申します。お会いできて光栄です」
ブランシュ・モルガンと言えば今夜の主役だ。レオニーも慌てて居住まいを正す。
「初めまして、レオニー・ホワイトと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。今夜はお招きいただきありがとうございます」
「私が言うのも変だけど、堅苦しい挨拶はなしにしましょう。マティアスもリュカももう友達なんでしょう? 私ともぜひ仲良くしてください」
頬を高揚させて柔らかく微笑むブランシュに、レオニーもにっこり笑い返した。
「ええ、ぜひ。私のことはレオニーと呼んでください」
「嬉しいです。私のこともブランシュと呼んでください。同い年のお友達って初めてだから本当に嬉しい」
「お前ら同い年なのか。じゃあもう敬語なしでよくないか?」
「それもそうね」
その後は4人でわいわい話が弾んだ。聞けばリュカとブランシュが従兄妹同士で、ブランシュがリュカの家に遊びに行った時に、たまたまマティアスもリュカに会いにきていて、そこから仲良くなったという。
「リュカは見ての通り、ちょっと小さいでしょう? それでマティアスは見ての通り、かなり大きいでしょう? 初めて見たとき私、リュカがマティアスに食べられちゃうんじゃないかって本気で心配したの。でもそんなの杞憂だったわ。2人とも、中身は子供のまま止まってるみたいにそっくりなんだもの」
「俺はリュカみたいにへらへら笑って手当たり次第愛想振りまいたりとか馬鹿みたいなことしない」
「はあ? 僕だってマティアスみたいに仏頂面であちこち毒吐いたりしないから。一緒にしないでくれる?」
「ほらね。同レベルでしょ?」
ブランシュの可愛らしいドヤ顔に、たまらずレオニーは吹き出した。
こうしてレオニーの2回目の舞踏会は、また1人新しい友人ができ充実した一夜となった。
もちろん、アルコールはほどほどに。
「レオニー久しぶり、元気そうで良かったよ」
すっかり慣れ親しんだ口調で、リュカがにっこり荷馬車から顔を出した。一足先に降りたマティアスがさっそく荷解きをしている。
「この前は迷惑かけてごめんなさい」
「いやいや、僕達も止めなかったのが悪かったからね。あんまり美味しそうに飲み進めてたから、結構いけるんだなって思って見てたけど、やっぱり女の子だもんね。申し訳なかった」
「いやレオニーは飲み慣れたらかなりいける方だと思うぞ俺は。あんだけ阿呆ほど飲んで潰れた割には、翌朝あんなしっかりした礼状が書けるんだから、大したもんだよ」
何なら俺が鍛えてやろうか、と悪い笑みを浮かべるマティアスを、たいがいにしておけとリュカが殴る。頭を抑えてうずくまるマティアスに、レオニーはくすくすと小さく笑った。
「2人は仲が良いのね」
「まあね」
「仕事で知り合って何だか馬が合って、今じゃこうやって家の商売まで一緒にやってるからな」
「それにしても、レオニーの母君は器の広い方だね。てっきり怒鳴られるもんだと覚悟してたのに、こんなに買い付けてくださるなんて」
「うちの初めての大口顧客だよ」
「うん、それは良かった」
あの人はただ単に自分の興味が湧くものに貪欲なだけで、尊敬には値しない、と内心毒づきながらも、レオニーは曖昧に微笑んで聞き流しておいた。
ワイナリーに足を運んだこともないレオニーには、樽1ダースがグラス何杯分の量になるか検討もつかない。しかし2人が今日運んできてくれた木箱の山で、まだ半分以下らしい。改めて自分の母親の型破り具合に呆然とする。
リュカが申し訳なさそうに頭を下げた。
「残りはまた用意出来次第ご連絡しますと伝えておいてくれる? なんせ急だったからラベリングとか色々追いつかなくて」
「気にしないで。これだけあればひとまずは喜ぶと思うから」
「そう? それなら良いんだけど」
ひととおり荷を下ろしすべて屋敷内に運び終えたところで、レオニーは2人をお茶に誘ったが、マティアスが首を横に振る。
「せっかくだが遠慮させてもらう。レオニーの侍女がものすごい目でこっち見てるからな」
言われて後ろを振り向くと、玄関先でクロエが切れ長の瞳をさらに細めてこちらを睨みつけていた。
「誤解だって言ったんだけど。ごめんなさい」
「職務を全うしてるんだから良いんじゃないか? よくできた侍女だよ。さすが侯爵家」
念のためリュカにも声をかけたが、同じように断られた。
「気持ちは嬉しいけど、家の人にあれだけ警戒されてるとね。今日はまだ他の納品もあるしこれで」
残念そうに俯くレオニーの肩を、マティアスがごつごつした大きな手でばしばしと叩いた。
「そんなに落ち込むことない。どこぞの舞踏会でいずれまた会えるさ。その時は、あの侍女は家に留守番だろ?」
「マティアス、その手はやばいって。あ、ほらめっちゃ睨まれてる」
「しまった! じゃあなレオニー」
背後から殺気めいたものを感じ、2人はそそくさと荷馬車に乗り込んで帰って行った。
なるほど舞踏会か。元々そこで出会ったのだから、舞踏会に行けばまた会えるというのはもっともだ。
レオニーは苦手な社交の場で出会った2人と、もっと話をしてみたいと感じていた。屋敷にこもりがちなレオニーにとって、仕事や領地の話が次々と飛び出す2人の会話は初めて知ることばかりで、聞いているだけで楽しかった。
彼らはレオニーのことを、女性だからと言って変に距離を取ったりせず、同じように扱ってくれた。ただ単に1人の人間として見てくれている気がした。ユーグの婚約者、伯爵令嬢、氷霜の姫君、色々言われてきたけれど、そのどれでもない自分であの夜は過ごせた気がした。
ただやっぱり、最後の方の記憶がほぼないのがいただけない。思い出す度に恥ずかしくて顔から火が出そうになる。
マティアスとリュカを見送った後、やりかけだった刺繍に手を付けようとしたところで、ふとレオニーは控えていたクロエに声をかけた。
「ねえクロエ、次の舞踏会はいつ頃あるのかしら」
「舞踏会でございますか」
主人からの初めての質問に少し面食らったような表情をしたクロエは、けれどすぐにいつもの涼しげな顔に戻った。
「5日後、モルガン伯爵家で行われる夜会が最短かと思われます。ご息女の誕生日のお祝いに開催されるものですので、王宮の夜会よりは小規模です。出席なさるようでしたら、招待状をいただく必要がございます。モルガン伯爵様とご主人様は面識がございますので、手に入れることは容易ではございますが」
「それじゃお願い」
「かしこまりました」
その夜会にあの2人も来るのかどうかはわからない。けれどレオニーは、前ほど社交の場がこわいとは思わなくなっていた。
モルガン伯爵家の夜会は、淡いグリーンのシンプルなドレスで行くことにした。くれぐれも飲みすぎないようにと、夢に出そうなほどクロエに何度も言い聞かされ、馬車に乗り込んだ。
クロエの事前情報によるとモルガン伯爵家の1人娘はレオニーと同い年で、今回の招待客も若い世代が中心だという。おかげですんなりと招待状を貰うことができ、今夜は一人で参加することとなった。
会場に着くなり、レオニーは辺りをキョロキョロと見回した。それほど人が多いわけではないが、入り口付近はそこそ混み合っていて、しっかり足を踏ん張っていないと人波に呑まれてしまいそうだった。
すぐに少し離れたところにマティアスがいるのがわかった。ワインの納品で再会した時に初めて気づいたが、マティアスは背が高く遠目にはかなり目立つ体格だった。それに対しリュカは男性にしては小柄な方で、向かい合ったときの目線も近い。
人混みをかき分けて近づいていくと、あちらもすぐに気づいて手を振ってくれた。すぐ隣からリュカもひょこっと顔を出した。
「こんばんはレオニー。また会えたね」
「5日ぶりだな」
「こんばんはリュカ、マティアス。また会えて嬉しいわ」
「マティアス、こちらは?」
鈴の音のよう可愛らしい声がしてよく見ると、マティアスの反対側の隣に美しいブロンドの髪をまとった令嬢がちょこんと立っていた。
「あ、そうか会うのは初めてか。こちらはレオニー・ホワイト嬢」
「まあ貴方が? 初めまして、ブランシュ・モルガンと申します。お会いできて光栄です」
ブランシュ・モルガンと言えば今夜の主役だ。レオニーも慌てて居住まいを正す。
「初めまして、レオニー・ホワイトと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。今夜はお招きいただきありがとうございます」
「私が言うのも変だけど、堅苦しい挨拶はなしにしましょう。マティアスもリュカももう友達なんでしょう? 私ともぜひ仲良くしてください」
頬を高揚させて柔らかく微笑むブランシュに、レオニーもにっこり笑い返した。
「ええ、ぜひ。私のことはレオニーと呼んでください」
「嬉しいです。私のこともブランシュと呼んでください。同い年のお友達って初めてだから本当に嬉しい」
「お前ら同い年なのか。じゃあもう敬語なしでよくないか?」
「それもそうね」
その後は4人でわいわい話が弾んだ。聞けばリュカとブランシュが従兄妹同士で、ブランシュがリュカの家に遊びに行った時に、たまたまマティアスもリュカに会いにきていて、そこから仲良くなったという。
「リュカは見ての通り、ちょっと小さいでしょう? それでマティアスは見ての通り、かなり大きいでしょう? 初めて見たとき私、リュカがマティアスに食べられちゃうんじゃないかって本気で心配したの。でもそんなの杞憂だったわ。2人とも、中身は子供のまま止まってるみたいにそっくりなんだもの」
「俺はリュカみたいにへらへら笑って手当たり次第愛想振りまいたりとか馬鹿みたいなことしない」
「はあ? 僕だってマティアスみたいに仏頂面であちこち毒吐いたりしないから。一緒にしないでくれる?」
「ほらね。同レベルでしょ?」
ブランシュの可愛らしいドヤ顔に、たまらずレオニーは吹き出した。
こうしてレオニーの2回目の舞踏会は、また1人新しい友人ができ充実した一夜となった。
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