3 / 15
3
しおりを挟む
貴族の子息子女による社交界デビューを終えて、早3ヶ月が過ぎていた。
その間、ティリアにはホルム辺境侯爵家に嫁ぐために家庭教師による淑女の勉強が及第点を与えられるまで続いた。
家庭教師はホルム辺境侯爵家からの紹介によって派遣されたため、他家の求められる水準よりも優しい部類に入る。
これはホルム辺境侯爵家当主が、婚約相手の貴族家の地位が子爵であることを考慮した上での人選であった。
貴族家によってはその家に相応しくあり続けるために、より厳しい教育が設けられることが多い。
高位貴族ともなれば、夫人自ら教鞭を振るう場合も含まれる。
だが子爵家は貴族と言っても末端貴族である。
高い水準で進めたとしても、令嬢本人が潰れてしまっては意味がない。
だからといって、教育を施さず婚姻するわけにもいかない。
そのため、必要最小限、かつ令嬢に負担の少ない水準に決定を下したのだった。
今日はホルム辺境侯爵家が主催するパーティーに婚約者として参列する日である。
ティリアに告げられている内容はヴァイトゥルスの婚約者として振る舞う、といったものだった。
だが、共に参列するグレハラ子爵夫妻には別の内容が告げられていた。
"呼んだ貴族家の話に関わり、少しでも縁を築け。"というものだった。
もちろん、ホルム辺境侯爵家の主催するパーティーには辺境侯爵家に血筋がある家系がほとんどである。
ただし、中にはホルム辺境侯爵家から招待されなくとも、他家が招待する貴族家も参列している。
基本的に侯爵家ともなれば派閥争いが盛んであるため、派閥に属さない貴族家はお断りであるが、ホルム辺境侯爵家は先代が陞爵したといっても他家より日が浅いため、辺境伯爵家だった当時と同様に許していた。
またホルム辺境侯爵家は陞爵した時から他家の派閥からは身を引き、中立を謳っている。
その所為もあって、他家の派閥もちらほら参列している。
彼らにとっては婚約者に指名されたグレハラ子爵家は敵だが、自身の派閥に取り入れようと画策している貴族家が大半である。
己の派閥に組み入れれば、いくら中立を謳うホルム辺境侯爵家でも融通を効かせるしかないだろう、と。
だがそれを知って気を許すほどホルム辺境侯爵家当主は甘くはない。
グレハラ子爵家を先導して他家を紹介しながら歩くことで、画策していた貴族家を圧倒させる。
紹介する貴族家には当主自らが口添えをしながら話し合いの場を設けさせ、その傍らで紹介された貴族家は信頼されていると安堵しながら応対する。
そうして他家の貴族家との繋がりを導いたことを見届けて、ホルム辺境侯爵家当主トルクスはパーティー全体に聴こえるように会場に告げた。
ーー本日は我が息子の婚約お披露目に参列いただき、ありがとうございます。ーーと。
その間、ティリアにはホルム辺境侯爵家に嫁ぐために家庭教師による淑女の勉強が及第点を与えられるまで続いた。
家庭教師はホルム辺境侯爵家からの紹介によって派遣されたため、他家の求められる水準よりも優しい部類に入る。
これはホルム辺境侯爵家当主が、婚約相手の貴族家の地位が子爵であることを考慮した上での人選であった。
貴族家によってはその家に相応しくあり続けるために、より厳しい教育が設けられることが多い。
高位貴族ともなれば、夫人自ら教鞭を振るう場合も含まれる。
だが子爵家は貴族と言っても末端貴族である。
高い水準で進めたとしても、令嬢本人が潰れてしまっては意味がない。
だからといって、教育を施さず婚姻するわけにもいかない。
そのため、必要最小限、かつ令嬢に負担の少ない水準に決定を下したのだった。
今日はホルム辺境侯爵家が主催するパーティーに婚約者として参列する日である。
ティリアに告げられている内容はヴァイトゥルスの婚約者として振る舞う、といったものだった。
だが、共に参列するグレハラ子爵夫妻には別の内容が告げられていた。
"呼んだ貴族家の話に関わり、少しでも縁を築け。"というものだった。
もちろん、ホルム辺境侯爵家の主催するパーティーには辺境侯爵家に血筋がある家系がほとんどである。
ただし、中にはホルム辺境侯爵家から招待されなくとも、他家が招待する貴族家も参列している。
基本的に侯爵家ともなれば派閥争いが盛んであるため、派閥に属さない貴族家はお断りであるが、ホルム辺境侯爵家は先代が陞爵したといっても他家より日が浅いため、辺境伯爵家だった当時と同様に許していた。
またホルム辺境侯爵家は陞爵した時から他家の派閥からは身を引き、中立を謳っている。
その所為もあって、他家の派閥もちらほら参列している。
彼らにとっては婚約者に指名されたグレハラ子爵家は敵だが、自身の派閥に取り入れようと画策している貴族家が大半である。
己の派閥に組み入れれば、いくら中立を謳うホルム辺境侯爵家でも融通を効かせるしかないだろう、と。
だがそれを知って気を許すほどホルム辺境侯爵家当主は甘くはない。
グレハラ子爵家を先導して他家を紹介しながら歩くことで、画策していた貴族家を圧倒させる。
紹介する貴族家には当主自らが口添えをしながら話し合いの場を設けさせ、その傍らで紹介された貴族家は信頼されていると安堵しながら応対する。
そうして他家の貴族家との繋がりを導いたことを見届けて、ホルム辺境侯爵家当主トルクスはパーティー全体に聴こえるように会場に告げた。
ーー本日は我が息子の婚約お披露目に参列いただき、ありがとうございます。ーーと。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄したので、元の自分に戻ります
しあ
恋愛
この国の王子の誕生日パーティで、私の婚約者であるショーン=ブリガルドは見知らぬ女の子をパートナーにしていた。
そして、ショーンはこう言った。
「可愛げのないお前が悪いんだから!お前みたいな地味で不細工なやつと結婚なんて悪夢だ!今すぐ婚約を破棄してくれ!」
王子の誕生日パーティで何してるんだ…。と呆れるけど、こんな大勢の前で婚約破棄を要求してくれてありがとうございます。
今すぐ婚約破棄して本来の自分の姿に戻ります!
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる