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ホルム辺境侯爵家当主による婚約者お披露目パーティーも終盤となり、参列した貴族家の代表者がトルクスのもとへ祝いの挨拶を済ませて会場を後にしていく。
貴族家によって代表者はそれぞれであり、大半は当主自らか夫人が挨拶に向かうが、来ることのできなかった貴族家ではその家系での長男や長女が挨拶をすることが慣例となっている。
このパーティーでは派閥に関係なく集まったが、大抵のパーティーは招待された貴族家しか入場できず、派閥ごとに固まる必要がある。
貴族派閥のテーブルに別の貴族派閥がいればスパイと疑われることがあり、それは令息や令嬢も含まれる。
仮に仲が良い令息や令嬢と集まる事があったとしても、当主が派閥に入っていたら分かれなければならないというものもある。
お披露目を終えて家族と帰宅してから、数日が経った頃。
グレハラ子爵家にティリア宛ての招待状が届いた。
内容は伯爵家の令嬢との茶会と記されていたが、向かう日が明日と書かれていることに驚くが、夫人が服飾店にドレスの調整へ向かった。
翌日にはドレスアップされ、馬車を用いて会場である伯爵邸に向かう。
茶会とは言われているが、派閥や婚約者を求める者達にとっては情報戦である。
既に婚約を済ませているティリアが茶会に呼ばれる筈はないのだが、招待された以上は逆らうことは許されない。
ーーーとある伯爵家
「この私が開く茶会に遅れてやってくるなんて、良い度胸をお持ちですわね。」
「そうですわね。ラーナ令嬢の言う通りですわ。既に婚約者がおられる方はやはり余裕があって良いですわね。」
招待状に書かれた時間帯よりも早く到着できたティリアだったが、茶会の会場に赴けば険しい目付きで睨まれる事となってしまった。
「申し訳ありません。この度は招待してくださりありーー」
ーーパシャッ
「!?」
淡い薔薇色のドレスを着ていたティリアは正面に佇む令嬢の持つグラスに入った物を投げつけられていた。
少々値の張る布地のドレスが時間が経つほど染み込んで、もとあった色を変えていく。
「あら。驚いていらっしゃるようだけれど、どうしたのかしら?謝意が全く伝わらなくてよ!今回の茶会に呼んだのは間違いでしたわね。もう出て行ってちょうだい!」
「えっ。しかしーー」
「お前たち、グレハラ子爵令嬢がお帰りよ!」
ある令嬢の一言で周囲に控えていた侍従に拘束されたティリアは屋敷に来た際の子爵家の馬車ごと追い出されるように連れ出された。
迎え入れた御者はティリアのドレスを見るなり、慌てて馬車に詰め込んでいたケープをかけてから帰路に着いた。
静かに俯くティリアとは打って変わり、御者は子爵邸が近付くほど顔色が変わった。
ーー青く青く…真っ青な顔色に。
貴族家によって代表者はそれぞれであり、大半は当主自らか夫人が挨拶に向かうが、来ることのできなかった貴族家ではその家系での長男や長女が挨拶をすることが慣例となっている。
このパーティーでは派閥に関係なく集まったが、大抵のパーティーは招待された貴族家しか入場できず、派閥ごとに固まる必要がある。
貴族派閥のテーブルに別の貴族派閥がいればスパイと疑われることがあり、それは令息や令嬢も含まれる。
仮に仲が良い令息や令嬢と集まる事があったとしても、当主が派閥に入っていたら分かれなければならないというものもある。
お披露目を終えて家族と帰宅してから、数日が経った頃。
グレハラ子爵家にティリア宛ての招待状が届いた。
内容は伯爵家の令嬢との茶会と記されていたが、向かう日が明日と書かれていることに驚くが、夫人が服飾店にドレスの調整へ向かった。
翌日にはドレスアップされ、馬車を用いて会場である伯爵邸に向かう。
茶会とは言われているが、派閥や婚約者を求める者達にとっては情報戦である。
既に婚約を済ませているティリアが茶会に呼ばれる筈はないのだが、招待された以上は逆らうことは許されない。
ーーーとある伯爵家
「この私が開く茶会に遅れてやってくるなんて、良い度胸をお持ちですわね。」
「そうですわね。ラーナ令嬢の言う通りですわ。既に婚約者がおられる方はやはり余裕があって良いですわね。」
招待状に書かれた時間帯よりも早く到着できたティリアだったが、茶会の会場に赴けば険しい目付きで睨まれる事となってしまった。
「申し訳ありません。この度は招待してくださりありーー」
ーーパシャッ
「!?」
淡い薔薇色のドレスを着ていたティリアは正面に佇む令嬢の持つグラスに入った物を投げつけられていた。
少々値の張る布地のドレスが時間が経つほど染み込んで、もとあった色を変えていく。
「あら。驚いていらっしゃるようだけれど、どうしたのかしら?謝意が全く伝わらなくてよ!今回の茶会に呼んだのは間違いでしたわね。もう出て行ってちょうだい!」
「えっ。しかしーー」
「お前たち、グレハラ子爵令嬢がお帰りよ!」
ある令嬢の一言で周囲に控えていた侍従に拘束されたティリアは屋敷に来た際の子爵家の馬車ごと追い出されるように連れ出された。
迎え入れた御者はティリアのドレスを見るなり、慌てて馬車に詰め込んでいたケープをかけてから帰路に着いた。
静かに俯くティリアとは打って変わり、御者は子爵邸が近付くほど顔色が変わった。
ーー青く青く…真っ青な顔色に。
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